従業員数20人以下(業種によっては5人以下)の個人事業主や小規模企業の役員等が加入できる「小規模企業共済」の加入者は、2018年3月末現在で約138万人となっている。

近年、加入対象者が拡大し、注目を集めつつあるiDeCo(イデコ)にも同時に加入できるのか、加入できるとしたらどちらを優先させたほうがいいのか、どのような違いがあるのか制度内容を見ていこう。

小規模企業共済とはどんな制度?

iDeCo,イデコ,小規模企業共済
(写真=chaythawin/Shutterstock.com)

「経営者の退職金制度」が主な目的の小規模企業共済。国の機関である中小機構が運営している。自分の報酬の中から掛金を積み立て、退職後の生活資金あるいは事業の再建資金等を図るための手段として利用することができる。

「個人事業の廃止」や「65歳以上で180ヵ月以上掛金を納付」等の各事由に該当した場合に、掛金納付期間に応じて一定額を受け取ることができる。また契約者貸付を受けることができ、任意解約することで資金を途中で引き出すこともできる。

小規模企業共済とiDeCo(イデコ)の違い

小規模企業共済の掛金は、全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)になる。これはiDeCo(イデコ)も同じだ。また、一時金での給付は退職所得控除、年金での給付は公的年金等控除の対象となり、この点での違いもない。

主には掛金額など、以下のような点が異なる。

【掛金】

  • 小規模企業共済:月額1,000円〜7万円(金額の変更はいつでも可能)
    ※掛金は、契約者自身の収入の中から払い込むため、事業上の損金または必要経費には算入不可
  • iDeCo(イデコ):月5,000円〜6万8,000円(自営業者等の場合)(金額の変更は年1回可能)

【受取開始】

  • 小規模企業共済:退職・廃業時等に受取り可能
  • iDeCo(イデコ):原則60歳から受取り可能

【貸付】

  • 小規模企業共済:納付した掛金の範囲内で、事業資金等の貸付が受けられる
  • iDeCo(イデコ):貸付は受けられない

【資産の運用】

  • 小規模企業共済:自分で運用しない(制度全体で運用する)
    ※経済情勢等が大きく変化した際には、共済金等の額が変更されることがある
  • iDeCo(イデコ):自分で商品を選択して運用する

【共済金(解約手当金)】

  • 小規模企業共済:小規模企業共済の給付には4種類あり、支給要件がそれぞれ定められている
    ※共済金A、B、準共済金は一定期間未満では掛け捨て。また解約手当金も一定期間未満は掛け捨てとなり、240ヵ月未満は掛金合計額を下回る
  • iDeCo(イデコ):老齢給付金、障害給付金、死亡一時金

小規模企業共済とiDeCo(イデコ)は両方加入できる 自営業の場合、最高月額13万8,000円

小規模企業共済とiDeCo(イデコ)は併用可能だ。掛金をそれぞれ別枠で上限まで拠出することができる。

自営業者の場合、iDeCo(イデコ)の掛金上限「月額6万8,000円」(国民年金の付加保険料または、国民年金基金の掛金を合算)と小規模企業共済の掛金上限「月額7万円」を合わせると、最高月額13万8,000円、年間165万6,000円積み立てることができる。

小規模企業共済とiDeCo(イデコ)とどちらがいいのか?

税制面でのメリットに両者の違いはない。ただ、資産の運用については、小規模企業共済の場合、制度に任せて運用するのに対し、iDeCo(イデコ)は自分で商品を選択する。

運用の自由度はiDeCo(イデコ)の方が高く、両者とも運用次第では元本割れのリスクがあるが、自身のリスク許容度等に応じて商品は柔軟に変更できる。年金資産の残高もWEBサイトを利用していつでも確認することができる。

ただ経営者にとって見逃せないポイントは、やはり「貸付」であろう。小規模企業共済は拠出した掛金の範囲内で「共済契約者貸付制度」を利用できる点が魅力だ。

収入が安定していれば、税制メリットの面からも2つの制度をフル活用したい。ただ実際は、それぞれの制度の特徴を活かしつつ、掛金を増減するなどして調整しながら利用するのが現実的だろう。(提供:確定拠出年金スタートクラブ

【オススメ記事 確定拠出年金スタートクラブ】
資産運用をする前に整理しておきたい「固定支出」
個人事業主のための資産形成手段を徹底比較!
資産運用は、自分の資産を「3つ」に分けて考えよう
iDeCo(イデコ)に加入していたけど、転職や離職した場合どうなるの?
企業型DCの資産は、転職したらiDeCo(イデコ)に移換できるの?