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相続人は、相続開始時から被相続人の財産に関する一切の権利義務を承継します(民法896条)。
相続人は、遺産分割を含む相続手続きの際に相続人の確認(=戸籍調査)および相続財産の確認(=遺産調査)を行うため、金融機関に対して相続預金の残高証明書の発行を依頼します。
このような依頼に対する金融機関の対応について、2009年1月22日最高裁判決により、「預金者の共同相続人の1人は、共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき、被相続人名義の預金口座の取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができる」と認められました。
この判決の前提として、預金契約には預金者からの委任契約または準委任契約の性質も含まれるため、民法645条の委任事務の処理状況を報告する義務に基づき、「金融機関は預金口座の取引経過を開示すべき義務を負う」としてています。
したがって、相続預金の残高証明書の発行については、相続人全員による依頼である必要はなく、そのうちの1人からの依頼でも問題ありません。
残高証明書は、被相続人の死亡時点のものに限らず、死亡日以前を証明日とするものの発行も可能です。取引履歴も開示請求することができます。
なお、相続開始後、遺産分割されるまでの間、相続預金は相続人が準共有していることから、この間の取引経過も開示請求することが可能といえます。