駆け出し投資家の方が資金を失い退場してしまう原因がのひとつが、「資産の守り方」を知らずに投資をはじめてしまうことです。

投資は車やバイクの運転とは違い、免許がなくてもはじめることができます。

公道に無免許で知識もなしに車道で運転してしまうのは危険です。

しかし投資の世界では右も左も分からないまま市場で取引をしなければならないため、かなり無茶な取引をしてしまいがちです。

もちろん自動車学校のように教官が隣に座って指導をしてくれるわけでもありません。

投資初心者にとって一番、大切なのは資金を守るための基本を学ぶことです。

成長株
(画像=Getty Images)

2%ルール・分散投資・ロスカットの三つを組み合わせよう

個別株投資で資金を守るために重要なのは三つです。

  • 2%ルール
  • 分散投資
  • ロスカット

この三つを組み合わせることで、市場から退場する可能性を限りなく低く抑えられます。

米国のトレーダーにも昔から知られている有名な資金管理方法です。

しかし投資初心者の多くは、この三つの基本の重要性を知る前に無茶な取引を繰り返してしまい、資金を失ってしまいます。

事前にこの三つを知るだけでも、個別株投資のリスクをかなり抑えることができます。

資金管理の基本2%ルールとは?

2%ルールでは1トレードあたりの金額が、運用資金の2%を超えるリスクをとってはいけません。

例えば、運用資金が仮に1000万円とします。

その場合1回の取引で20万円以上のリスクをとらないということです。

いいかえれば、20万円以上元本を割るならロスカットするということです。

1000万円もあるのに20万円しかリスクを1回に取れないの?と驚く人もいるかもしれません。

しかし、1回の取引で10%の100万円のリスクをとるとします。

そして運悪く10回連続で負けトレードが続いたらどうなるでしょうか。

1000万円を1回の取引でマイナス10%でロスカットのルールで10回連続負けた場合は、900万、810万、729万、・・・10回連続の負けで手持ちの資金が350万円を割りこみます。

10回連続で負けた後に2倍になる銘柄を全力で買っても700万円にもなりません。

投資を長く続けていると、運悪く連続して5回、10回ぐらい負けトレードが続いてしまう期間があるのは珍しいことではありません。

2%ルールは運悪く負け続けても市場から退場しないための昔ながらの投資家の知恵です。

10回ぐらい連続で負けることはあっても、20回、30回と連続して負けることは適切なルールでトレードをしていればあまりありません。

2%ルールは適切な運用をしていても負けが続く期間を耐えるために有効です。

アレキサンダー・エルダーの『投資苑』や、タープ博士の『トレード学校 ポジションサイジング入門』という日本語訳された本には、資金管理について詳しく書かれています。

しかし投資初心者がいきなり資金管理の勉強をすることは稀です。

分散投資をしていれば持ち株が倒産しても生き残れる

分散投資をしていれば、持ち株が一つ倒産しても投資家として生き残れます。

例えば自分が惚れ込んだ銘柄を1点集中買いで運用資金の1000万円全てを投じて、万一、コンプライアンス違反で株価が暴落したら、一夜にして市場から退場することになります。

しかし10銘柄程度に分散投資をしていれば、1つの銘柄が倒産しても残りの9銘柄が生き残っているため十分に挽回は可能です。

しかも分散投資をすることで、ある業種が不景気になっても、別の業種が調子が良いため投資パフォーマンスを補ってくれるなどの良さもあります。

そして分散投資をすることで、個別株一点集中投資よりも一般的に平均化されるため、日々の資産の増減が小さくなり、リスクを小さくすることにも繋がります。

ロスカットの値は自分のリスク許容度で決めよう

ロスカットは日本語で逆指値のことです。

日本でも米国株で逆指値ができるところが増えてきました。

ロスカットの値はリスクの許容度で決まります。

ロスカット値が浅すぎると負ける確率が上がります。

一方でロスカット値を深く設定し過ぎても意味がありません。

投資のリスク許容度から逆算して、1回あたりのロスカットの値を決めることが大切です。

2%ルール、分散投資、ロスカットを組み合わせた運用方法

具体的に2%ルール、分散投資、ロスカットの3つを組み合わせて運用する方法の一例をご紹介します。

例えば1000万円の運用資金で、

  • 分散投資:10銘柄
  • ロスカット:1銘柄の買値の8%を下回ったら売る

このルールですと、1銘柄に投資する額は100万円まで。

そして8%の92万円になったらロスカットになります。

このルールですと、1回のトレードで8万円までリスクを許容していますが、1000万円の資金全体からみると、0.8%だけリスクをとっていることになります。

2%ルールを十分に下回っています。

1回のトレードの勝率を上げることを重視するなら、ロスカットの値を深くして12%までにしても、1回のトレードで1.2%のリスクにとどまります。

分散する銘柄数と1回あたりのロスカットの値をうまく調整し、1回のトレードのリスクが2%を下回るよう意識しながら、自分好みの運用ルールを作ってみると良いでしょう。

個別株投資で一番、大切なのは生き残ること

個別株投資において一番大切なのは生き残ることです。

20世紀を代表する投資家のジョージ・ソロスも投資では生き残ることが一番大切だと説いています。

個別株投資と資金管理は切っても切り離せない関係です。

しかし駆け出し投資家が資金管理の重要性に気づくまでには時間がかかります。

最初に投資で触れる情報の多くは、株投資の注文の仕方や注目の銘柄、ローソク足の見方や基本的なPERやPBRなどのバリュー投資の指標などで、資金管理の重要性は駆け出し投資家の目には触れづらいのです。

生き残るルールの中で投資をすれば市場でも生き残れる

最低限のルールの中で投資をすれば、厳しい市場でも生き残れます。

2%ルールも分散投資もロスカットも米国の著名なトレーダーや投資家の間ではよく知られた方法です。

本格的にポートフォリオを組んで個別株投資を行うなら知っておきたい最低限の知識でもあります。

しかし、なくても困らないお金でETFの積立をしたり本格的なバリュー投資をするなら、2%ルールも絶対ではありません。

場合によっては2%ルールを考えない運用も間違いではないのです。

それでも2%ルールと分散投資の資金管理は、現在でも通用する基本的な運用ルールです。

このルールを知っているだけでも無理なレバレッジをかけたトレードや、1銘柄に全財産を投資する方法がいかにリスクが高いことなのかを理解できるでしょう。

もちろん、それを知った上でリスクをとる方が結果的に良いケースもあります。

しかし自分が一体何をしているのかを理解できるぐらいの投資リテラシーはあった方が良いのではないでしょうか。(提供: The Motley Fool Japan


免責事項と開示事項 記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。