毎月分配型など分配金の多い投資信託は顧客の人気を集めている一方で、中長期にわたる資産運用においては不利との声もあります。ではなぜ、中長期投資において分配金の多い投資信託は否定的な見解があるのでしょうか。

運用期間が長期になるほど複利効果の差が出る

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(写真=Monster Ztudio/Shutterstock.com)

その理由に「複利効果の期待が薄れるから」が挙げられます。

そもそも投資信託の分配金は、投資信託の純資産のなかから支払われるので、支払った後は相当する金額分だけ基準価額が下がります。つまり運用するお金そのものが減少するため、中長期投資における「利益が利益を生む」複利効果が薄れてしまいます。専門家の間ではこのデメリットを問題視する声も多く、運用効率が下がる点について金融庁が指摘したこともありました(平成28年事務年度金融レポート)。

では運用効率が下がるとはどういう意味か、具体的な数値で考えてみましょう。

例えば元本1万円の投資信託Aと、分配金を支払って元本が8,000円になった投資信託Bがあるとします。ともに20%値上がりしたとき、Aは2,000円の運用成果となるのに対し、Bは1,600円と400円も差がつきます。これは元の元本1万円の4%にあたる金額です。毎月のように元本の取り崩しがあれば、その分得られるはずだった値上がり益を逃し、中長期投資の運用成果とさらに差がつく結果となります。

分配金は利益から出ていれば良い?

一時の勢いはなくなったとはいえ、毎月分配型の投資信託はまだ根強く人気といえます。金融庁のデータによれば投資信託販売額に占める毎月分配型投資信託の割合は主な銀行等で43%、主な証券会社では22%です(金融庁平成30年9月26日「投資信託等の販売会社における顧客本位の業務運営のモニタリング結果について」)。投資信託の分配金は、今なお購入者にとって大きな魅力となっていることがわかります。

投資信託には運用収益から還元される普通分配金と、購入者が積み立てた元本の一部を取り崩す元本払戻金(特別分配金)の2種類があります。通常は運用収益等の一部を分配する仕組みとなっていますが、運用状況により、必ずしも投資信託の収益から支払われるとは限りません。購入者から預かった資金を取り崩すだけの場合もあります。

もしかしたら、「運用収益から受け取る普通分配金なら、回数を多く受け取っても資産形成に影響はないのでは……」と考える方もいるかもしれません。

しかし、運用収益から受け取る普通分配金は、20.315%の課税対象となります。通常は受け取った時点で天引きされるので、再投資に回せないため運用効率が下がってしまいます。

もちろん、老後の年金の不足分を補うために毎月分配型の投資信託を利用し、家計の定期収入を増やすという考えもあるでしょう。年金の支払いは2ヵ月に一度なので、収入頻度を高めたいという目的を手軽に実践するには、毎月分配型の投資信託は身近な選択肢といえます。ただし、中長期投資の観点では、上記の通り不利な側面があることを把握しておきましょう。

商品選びは分配金受取額を含めた成績を確認

毎月分配型の投資信託は分配金利回りだけでなく、基準価額と分配金受取額の合計収益が評価の分かれ道となります。つまり、分配金受取額以上に基準価額の下落による含み損が大きくなれば、運用成果はマイナスとなります。

分配金利回りの高さだけで選ぶのではなく、基準価額と分配金受取額を足したパフォーマンスはどうなっているか、商品ページなどでチェックしておきましょう。金融機関によって異なりますが、商品ページのチャートでは「分配金込」「基準価額+分配金」などの表記とともにその推移が確認できます。

また、同じ投資対象であっても、分配金の支払い頻度(決算の頻度)を選べる投資信託もあります。商品名に「年2回決算型」「毎月決算型」などの記載があるので、複利効果の期待できる中長期投資を見据えた商品選びにおいては、決算回数の少ないタイプを優先して検討しましょう。(提供:ANA Financial Journal

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