国内の株式時価総額ランキングの上位にいるソフトバンクグループに暗雲が立ち込めています。

孫正義会長兼社長の方針によって様々なスタートアップ企業に投資をしてきましたが、期待されていたウィーワークを運営するウィーカンパニーの経営体制に対する不安が、ソフトバンクグループの株価にも影響を与えたのです。

今回は、日本が誇る大企業ソフトバンクグループがウィーカンパニーへの投資を続けようとするのか解説をします。

ディスカッション
(画像=Getty Images)

米国オフィスシェア大手ウィーワークとは

ウィーワークとは2010年に設立された、起業家のためのワークスペースを提供する会社です。

近年、起業を考える若者は社会のスピードやテンポに対応するため、事務所スペースや会議室などのオフィスを持たなくなりました。

そこで登場したのがコワーキングと呼ばれる、様々な人がオフィスをシェアできるスペースです。

コワーキングスペースを利用する人は、同じ団体に属している訳ではありません。

それぞれが別々の仕事をしていたり、時には交流を図りモチベーションを高め合ったりするのが可能な空間として注目を集めました。

ウィーワークは時代にマッチした事業を展開し、29カ国111都市に528カ所以上のコワーキングスペースを確保。

会員登録者数は50万人を突破し、なかにはマイクロソフトやアリババなどの大企業も顧客として利用しているほど急成長をしました。

日本でも2018年初めに東京で拠点を開設。11月に開業予定のヨドバシ梅田タワーにも共有オフィスが開設されます。

オフィスシェア業界のトップへと駆け上ったウィーワークは、新たな事業拡大を計画。

2019年にブランド名を「ウィーカンパニー」と改め、オフィスシェア部門のウィーワーク、共同生活型アパートのウィーライブ、小学校運営のウィーグロウの3つを再編しました。

ウィーカンパニーとソフトバンクグループの関係

ウィーカンパニーは事業を拡大するために2014年頃から資金調達を開始。

賃貸住居のウィーライブを発表するまでに、合計で17億ドル以上を集め、160億ドルもの企業価値があると評価されました。

将来的な期待が高いユニコーン企業へと成長したウィーカンパニーはさらに資金を募ると、2017年にソフトバンクグループが初回だけで3億ドルを投資。

その後も投資は続き、現時点で合計190億ドルを投資しています。ここからソフトバンクグループとウィーカンパニーの関係が始まったのです。

投資家としての孫正義氏

190億ドルを現在のレート換算すれば、2兆円以上の投資となりますが、ソフトバンクグループがこれほどまでの巨額の投資をしたのは、孫氏の将来性を見抜く力が関係します。

ここ数年、大企業は凄まじい速度で進化するテクノロジーや新しいビジネスに対応するために、スタートアップ企業に対して投資を行い、リターンとしてスタートアップ企業の事業を自社の事業に組み込む取り組みをおこなってきました。

孫氏はそれらの企業の一歩先を進んでおり、2000年の時点でアリババの創業者とたった5分だけ面会した結果、アリババに対して20億円の出資を決めました。

その後のアリババの躍進は語るまでも無く、ソフトバンクグループはアリババの成長によって企業価値を高めました。

他にも、孫氏はソフトバンクグループが主導となったビジョン・ファンドを設立。

10兆円規模のファンドは、IT先端技術や新しいビジネスに挑戦するスタートアップ企業を対象に積極的に投資。ウィーカンパニーもその投資対象となっていました。

このようにソフトバンクグループの成長と躍進には、孫氏が持つ優れた目利き力が少なからず影響を与えていました。

しかし、今回の株価下落は、そんな孫氏の持つ見抜く力に対する不安をあおる結果となってしまいました。

ウィーカンパニーの業績悪化

大規模な資金調達に成功し、シェアオフィス以外の業種にも挑戦をしていましたが、不動産価格が高い東京やニューヨークの家賃や想定した成果が出ず、最終赤字が続いていました。

さらに8月には共同創業者のアダム・ニューマンCEOが普通株の20倍の議決権を持つ株を手に入れたり、自分の所有しているドメイン名を高額で会社に買い取らせるなどの会社の私物化と経営支配権の強化が発覚。

これらの不安要素が一気に噴き出した結果、ウィーカンパニーの企業価値は6分の1近い80億ドル程度までに下落。予定されたIPOは先送りとなったのです。

孫正義氏の方針は変わらず

巨額の資本や人材などを提供してきたソフトバンクグループの孫氏ですが、ウィーカンパニーの経営悪化を受けても方針を変えようとはしません。

ウィーカンパニーは働き方を大きく変える先進的な会社だと信じているとコメントし、追加の資金を注入し経営権を握ると、自社グループの副社長マルセロ・クラウレ氏をウィーカンパニーの新しいCEOへと就任させました。

孫氏の信頼も厚いマルセロ氏はアメリカの実業家として知られている。

就任して早々に4,000人以上のリストラをすると宣言しました。

ソフトバンクグループが抱える不安要素

合計で2兆円を投じた企業の価値が8700億円以下となれば、ソフトバンクグループへの信頼も揺らぎます。

一時は株価が4000円を下回るほどになる売り注文が殺到しました。

現在は落ち着いていますが、ソフトバンクグループにはまだ不安要素があり予断を許せません。

というのも、