民法改正,相続対策,アドバイス
(画像=Watchara Ritjan/Shutterstock.com)

遺産分割協議成立前に預貯金の引出しを認める「預貯金の仮払い」が、2019年7月1日から施行されている。ここでは、新制度創設の狙いを解説したうえで、Q&A形式で利用時の注意点を見ていく。

預貯金の仮払いは、どのような問題点を解消するために作られた制度なのか、以下のケースをもとに見ていきましょう。

長女が隠し財産を疑い遺産分割協議に応じず

父が亡くなりました。享年85歳。相続人は母(82歳)と長男(55歳)、長女(53歳)の3人です(図表1)。父と母は長男家族と同居していました。長女は婚姻に伴い離れて暮らしています。

ファイナンシャル アドバイザー
(画像=ファイナンシャル アドバイザー)

父の財産は、①築25年の二世帯住宅と②預貯金です。両親は息子夫婦をとても信頼しており、お金の管理等をすべて長男に任せていました。実際に両親のキャッシュカードや通帳を管理していたのは長男の妻でした。

父は勤務していた会社を退職した後も顧問の肩書で会社に残り、75歳になるまで仕事を続けていました。退職金や給与等、それなりに資産があるであろうことは、ゆとりある生活水準から想像することができました。

父の相続財産の概要がある程度つかめた時点で、相続人3人が遺産分割について話し合うことになりました。

相談していた税理士からは、「①自宅の相続税評価額は3000万円、②預貯金は900万円、合計3900万円なので、基礎控除額4800万円(=3000万円+600万円×相続人3人)を下回り、申告不要」と言われています。