民法改正,相続対策,アドバイス
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Q5.被相続人は「全財産を長男へ遺贈する」とした遺言を作成していましたが、次男が仮払いを受けてしまいました。長男は返金を求めることができますか?

A 長男は次男へ仮払いされた金銭の返還を求めることができます。

仮払いの対象は「遺産に属する預貯金債権」だけであり、原則として贈与または遺贈されている預貯金債権は遺産に属さないため、当該預貯金債権は仮払いの対象となりません。遺贈とは、遺言によって財産を無償で譲与することであり、「遺産分割方法の指定」と解される「相続させる」遺言とはその趣旨を異にするからです。

事例で考えてみましょう。父が亡くなりました。相続人は長男と次男の2人。母は、父に先立ち死亡しています(図表1)。

ファイナンシャル アドバイザー
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父の財産は自宅不動産、預貯金、自社株式です。

父は、70歳になったのを機に、自ら創業した会社の代表を長男へ譲りました。相続発生時の社員数は20名、小さいながら業界から一目置かれる優良企業です。

長男は大学卒業後、一般企業で10年間修行した後、父の会社に入社しました。

次男はアルバイトを転々とし、長男より早く25歳のときに父の会社に入社しました。次男は社交性に乏しく、度々社員とトラブルを起こし、長男と入れ替わるように退職。以後父から援助を受け生活していました。

父はそんな次男を心配し、生前かなりの援助を行ってきました。そこで、会社を継いでいる長男のために「すべての財産を長男に遺贈する」旨の公正証書遺言を作成し、長男にその遺言書を託していました。次男は遺言書の存在を知りません。

長男が相続手続きに着手したところ、次男が父の預貯金から仮払いを受けていることが判明しました。

遺言書に基づいて早めに名義変更し仮払いを防止