執筆者:株式会社ZUU
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“女性蔑視”だとの批判を受けて企業が炎上する例が増えている。そういったニュースを見るたびに「怖い女性が多い」と、ただ肩をすくめて終わりにするのは思考停止ではないだろうか?仕事仲間としても顧客としても“女性”は意識すべき存在である。いまやビジネスパーソンにとってフェミニズムは学んで損はないものだ。

女性たちは何に不快感を覚え何に共感するのか?そこで本記事では初心者がフェミニズムを学ぶときに参照すべき書籍を5つ紹介する。

1  『82年生まれ、キム・ジヨン』(筑摩書房)チョ・ナムジュ(翻訳・斎藤真理子)

20代,自己投資
(画像=UpU)

この本を読んだだけで女性アイドルが炎上

『82年生まれ、キム・ジヨン』は韓国で100万部を突破したベストセラー小説だ。女性アイドルが本書を読んだと発言しただけで一部の男性ファンから苛烈なバッシングを受ける騒動に発展するなど、もはや韓国では事件と呼べるような存在感を発する作品となっている。主人公のキム・ジヨン氏の誕生から学生時代、受験、就職、結婚、育児までの半生が克明に回顧される。

その中で「大学のサークルで、女性は『花』とおだてられるが、リーダーにはなれない」や「男性に怖い思いをさせられたのに、『スカートが短い』と責められる」といった女性の人生に当たり前のようにひそむ困難や差別が描かれている。

もしかすると、一つひとつの出来事はささいなものに感じられるかもしれない。しかし一人の女性の半生にこれほど違和感ある出来事が詰まっていると考えると「気にしないほうがいいよ」という言葉を気軽にかけられなくなるはずだ。

2  『女ぎらい ニッポンのミソジニ―』(朝日新聞出版)上野千鶴子

“男の生きづらさ”の原因もわかる?

東京大学入学式の祝辞で賛否両論を巻き起こした社会学者・上野千鶴子による名著。“ホモソーシャル”や“ホモフォビア”、“ミソジニー”といったフェミニズムの基本用語を解説しながら「皇室」から「婚活」「負け犬」「DV」「モテ」「少年愛」「自傷」「援交」「東電OL」「秋葉原事件」など男社会がもたらす問題を小気味よく喝破していく。

2018年の文庫化にあたり「セクハラ」と「こじらせ女子」の2本の論考が新たに収録された。「女ぎらいなんて、とんでもない。自分は女の子が大好きだ!」と反論したくなる男性もいるかもしれない。しかし実は「女の子が大好き」という感情の裏には、「いい女を手に入れて男の集団の中で認められたい」という思いもあるのではないだろうか?

男性にとっては耳が痛い話ばかりかもしれないが実は男の生きづらさにも迫っている。

3  『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』(タバブックス)イ・ミンギョン(翻訳・すんみ、小山内園子)

男性がフェミニズムを学ぶとき必要な姿勢とは?

差別問題で苦しむ女性たちのための日常会話のマニュアル書だ。2016年にソウル・江南駅で起きた女性刺殺事件を風化させないために韓国のフェミニストである著者が9日間で書き上げSNSで仲間を集い、出版社を立ち上げて発刊した。韓国内におけるフェミニズム・ムーブメントの勢いを象徴する1冊といえるだろう。

「セクシストに出会ったら 基礎編」と題された前半では、女性に向けて「あなたに答える義務はない」と繰り返し伝えている。なぜならそもそも差別構造について真摯に学ぶ気がない相手に対して自分のデリケートな部分にも触れる話題を説明することは、それ自体が大きな負担になるからだ。

男性にとっては、「質問する側にもそれなりの態度が必要なんだ」と姿勢を正す意見だろう。どんな態度でフェミニズムという学問を学ぶべきか改めて考えさせてくれるはずだ。

4  『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』(河出書房新社)チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ(翻訳・くぼたのぞみ)

“ハッピー・フェミニスト”の軽やかな語り口

ビヨンセをはじめ全米が称賛したナイジェリア出身の作家によるTEDスピーチの内容が書籍化されたものだ。ナイジェリア出身の作家アディーチェは、「少女たちは、野心をもってもいいけれど、もちすぎてはいけません。成功するのを目指さなければいけないけれど、成功しすぎてはいけません」と教えられて育つと説明。また以下のように語っている。

「わたし自身の、フェミニストの定義は、男性であれ女性であれ、『そう、ジェンダーについては今日だって問題があるよね、だから改善しなきゃね、もっと良くしなきゃ』という人たちです」

フェミニズムやフェミニストに対して「攻撃的で怖い」という印象を持っている人は多いかもしれない。しかしいわゆる“女性らしい”オシャレを楽しみ「ハッピー・フェミニスト」を自称するアディーチェの語り口は、あくまで軽やかなものだ。漠然と抱いている“フェミニスト”への苦手意識は、きっと解かれることだろう。

5  『説教したがる男たち』(左右社)レベッカ・ソルニット(翻訳・ハーン小路恭子)

“あるある”な会話の奥にひそむもの

「マンスプレイニング」という言葉を聞いたことのある人もいるかもしれない。こちらは、「man(マン)」と「explain(エクスプレイン、解説のこと)」の合成語で男性が女性に対して何か偉そうに解説する行為を指す言葉だ。

「ただ親切心で解説してあげようとしただけなのに、そんなふうに言われるとは心外だ」と感じる男性もいるかもしれないが少し考えてみてほしい。もし相手が男性だった場合も、その話題について同じように語りはじめただろうか?

「この話題は、相手のほうが詳しいかもしれない」と多少ためらった語り口になった可能性もあるかもしれない。女性と男性で態度が変わるということは、根本に「どうせ女の子は詳しくないだろう」という考えがあった可能性もあるだろう。日常のささいなやり取りにひそむ差別の構造を暴いた1冊だ。

男も女も、フェミニズムは自分ごと

もちろん女性にとってもフェミニズムを学ぶことは大切だ。学ぶことによって自分の息苦しさの原因が見つかる可能性がある。また男社会を生き抜くために無意識のうちに“名誉男性(男尊女卑的な価値観を内面化した女性のこと)”化してしまっていたことに気付くかもしれない。フェミニズムを学ぶと女の生きづらさは、男の生きづらさとも密接に結びついている。

性別関係なく考える意味のある問題であることがわかるだろう。漠然としたイメージで敬遠していてはもったいない。フェミニズムを自分ごととして捉えることができたとき視野が一気に広がるはずだ。(提供:UpU