モトリーフール米国本社、2019年11月20日投稿記事より

ソフトバンクグループ傘下のスプリント(NYSE:S)は、10年以上にわたってワイヤレス通信市場で困難な状況にあります。

最大手のベライゾン・コミュニケーションズ(NYSE:VZ、以下「ベライゾン」)や2番手のAT&T(NYSE:T)のような巨大企業ほど大きくはなく、ネットワークが小さいため、競争するために大規模なライバルよりも低価格でワイヤレスサービスを提供せざるを得ませんでした。

Tモバイル(NASDAQ:TMUS)との合併も進んでおり、連邦規制当局は承認していますが、まだ裁判所の判断を待っている状況です。

スプリントとTモバイルの合併いかんにかかわらず、ベライゾンとスプリントを比較します。

なお、特に明記のない限り、数値は執筆時点のものです。

5G
(画像=Getty Images)

ベライゾンの総資産規模はスプリントの3倍超

ベライゾンの総資産はスプリントの3倍を超えており、スプリントとTモバイルとの合併が承認されたとしても、ベライゾンはより大きな会社であり続けます。

ネットワークの大きさは、つながりやすさなどの通信品質につながります。

米国通信銘柄比較:ベライゾンとスプリント
(画像=出典:YCHARTS。2019年11月17日時点)

ベライゾンが持つ規模の優位性は、通信産業といった装置産業では非常に重要です。

そして、スプリントほど小さな会社にとって、ベライゾンに追いつくのは極めて困難でしょう。

ワイヤレス通信で重要な規模の経済

ベライゾンとスプリントの純利益と総資産利益率(ROA)を比べると、やはりベライゾンの方が優れています。

これは、ワイヤレス通信で収益をあげるには規模の経済が大きく影響することを示しています。

米国通信銘柄比較:ベライゾンとスプリント
(画像=出典:YCHARTS。2019年11月17日時点)

ベライゾンがスプリントよりも多くの利益を生み出せる理由は、より大きなネットワークを持っているため、多くの顧客を引き付け、そして高い価格を請求できるためです。

スプリントとTモバイルの合併が成功しても、この傾向は変わりません。

競合他社が少なくなる場合、ベライゾンは料金を引き上げマージンをさらに増やすことができます。

ベライゾンの優位性は、すぐには変わりません。

スプリント、5G構築で既に遅れ

次世代5Gワイヤレスネットワークは、多くのブロードバンド接続よりも大幅に高速化し、IoT(モノのインターネット)での利用も飛躍的に拡大します。

ベライゾンの5Gネットワークは構築が進んでおり、スプリントが追いつくためには何年もかかる可能性があります。

5Gにより、ワイヤレス通信キャリアは通信品質を大幅に改善できるだけでなく、家庭内ブロードバンド、仮想現実などの新しい市場にも参入できます。

スプリントの導入以前にベライゾンが大規模で信頼性の高い5Gネットワークを構築した場合、いち早く法人顧客を長期契約に導き、5Gトレンドの恩恵の享受できるでしょう。

その場合、スプリントはさらに劣勢に立たされるかもしれません。

結論

スプリントとTモバイルの合併が成立し、両社の事業が急拡大する可能性はあります。

しかし、現時点において圧倒的に優位なのはベライゾンです。

同社は、ワイヤレス通信に必要な規模を備えており、業界をリードする5Gネットワーク構築でスプリントのかなり先を進んでいます。

さらに、ベライゾンは確固たる配当を出しており配当利回りは4.0%ですが(12月6日時点)、スプリントは赤字が続いていて配当も出していません。(提供: The Motley Fool Japan


免責事項と開示事項 記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。元記事の筆者Travis Hoiumは、AT&T株とベライゾン・コミュニケーションズ株を保有しています。モトリーフール米国本社は、TモバイルUS株とベライゾン・コミュニケーションズ株を推奨しています。