不動産投資ローンとは、不動産投資を目的として組むローンのことを指す。今回は住宅ローンと比較しながら、金利や審査基準などについて詳しく解説していく。また、賢く活用して資産を最大化する方法や生命保険のように活用する方法も紹介する。

菅野陽平
監修者・菅野陽平
日本最大級の金融webメディア「ZUU online」編集長。株式会社ZUUM-A取締役。経営者向けメディア「THE OWNER」編集長。幼少期より学習院で育ち、学習院大学卒業後、新卒で野村證券に入社。リテール営業に従事後、株式会社ZUU入社。メディアを通して「富裕層の資産管理方法」や「富裕層になるための資産形成方法」を発信している。自身も有価証券や不動産を保有する個人投資家でもある。プライベートバンカー資格(日本証券アナリスト協会 認定)、ファイナンシャルプランナー資格(日本FP協会 認定)保有。編集著書に『富裕層・経営者営業大全』(一般社団法人金融財政事情研究会、2020年7月31日発売)

目次

  1. 不動産投資ローンとは?住宅ローンとの違い
    1. ローンの目的の違い
    2. 返済原資の違い
    3. 審査基準の違い
    4. 金利の違い
  2. 不動産投資にローンが不可欠な理由
  3. 不動産投資ローンのリスクを正しく認識する
  4. 金利の種類と返済期間の考え方
    1. 固定金利と変動金利、どちらが有利?
    2. 返済額と利息総額から返済期間を決める
  5. 不動産投資ローンの審査条件とは?
    1. ローンを組む人の属性
    2. 投資する物件の属性
  6. 不動産投資ローンは生命保険代わりにもなる?
  7. 不動産投資ローンの借り換え
  8. 不動産投資は将来への備えとして効果的
  9. 不動産会社を上手に活用する
  10. リスクを理解して不動産投資ローン賢く活用する

不動産投資ローンとは?住宅ローンとの違い

不動産投資ローン
(画像=PIXTA)

まずは住宅ローンと比較しながら、不動産投資ローンについて解説していこう。

ローンの目的の違い

住宅ローンと不動産投資ローンでは、ローンの目的が異なる。住宅ローンの目的は、居住用不動産の購入だが、不動産投資ローンの目的は投資用不動産の購入だ。

このことで大きく違ってくるのは、不動産投資ローンでは住宅ローン控除を適用できない点だ。

住宅ローン控除とは、ローンを組んで自宅用不動産を新築・取得・増改築すると、所得税の控除が適用できるという制度だ。

投資用不動産であっても、住宅用マンションを購入するのであれば、住宅ローン控除を適用できるのではないかと考える人もいるだろう。しかし、住宅ローン控除を適用するには、自分自身が物件に居住していなければならない。そのため、投資目的の不動産投資ローンの場合、住宅ローン控除は適用できないことになる。

また、住宅ローンとして銀行から借り入れたお金で投資用物件を購入すると、大きな問題に発展することがある。銀行はあくまで投資目的に応じて借主を審査し、融資判断や金利の設定を行っている。

不動産投資を目的としてローンを組むなら、最初から銀行にきちんとその旨を伝えておかなければならない。自宅用として購入したものの、住宅ローン返済中に訳あって他人に貸すことになった場合も、銀行に事前に相談する必要がある。

返済原資の違い

続いて、返済原資の違いについて解説する。この違いは、次に説明するローンの審査基準の違いとも密接にかかわってくる。

住宅ローンの返済原資は借主の給与収入が一般的だ。一方、不動産投資ローンでは、返済原資は収益物件から得られる家賃収入となる。

不動産投資の多くは、不動産投資ローンを組んで収益物件を購入し、家賃収入の範囲内で返済を続け、返済が終われば家賃収入が満額受け取れるというプランになっている。

住宅ローンとは違い、自分の給与収入から返済しなければならないわけではないので、その点はしっかり押さえておきたい。

審査基準の違い

住宅ローンの返済原資は給与収入であるのに対し、不動産投資ローンの返済原資は収益物件の家賃収入だ。

返済原資の違いは、当然審査基準の違いにも影響する。住宅ローンでは、借主の勤め先や勤続年数、年収といった内容が主な審査項目となる。

一方、不動産投資ローンでは、借主の属性に加えて、物件の収益性が重要な審査項目となる。たとえ社会的地位が高く高年収であったとしても、物件そのものに収益性がなければ、審査を通過するのが難しくなるケースもある。

金利の違い

住宅ローンと不動産投資ローンでは、不動産投資ローンの方が高い金利設定となっている。

住宅ローンは、銀行側から見ると手堅い商品と言える。よほどのことがない限り、自宅を手放すことは考えづらいからだ。給与収入から滞りなく返済を続け、完済する借主も多い。

しかし不動産投資となると状況は違ってくる。物件の経営がうまくいかず、返済が滞ってしまうケースもあり得る。銀行側としてはリスクを負うことになるため、金利は高めの設定にせざるを得ない。

不動産投資ローンを組むとき、住宅ローンと同じような金利を想定していると、驚くことになるだろう。

不動産投資ローンの金利設定は、2%以上4%未満ぐらいが一般的だ。都心の物件など特殊な条件が重なれば、まれに1%台になるケースもある。相場を知ったうえで、銀行担当者と話をすることが大切だ。

不動産投資にローンが不可欠な理由

不動産投資をするとき、「ローンを組んで不動産投資をするか」「お金を貯めてキャッシュで不動産投資をするか」悩む人もいるのではないだろうか。

不動産投資を考えているなら、現金一括購入にこだわらず、不動産投資ローンを活用することをおすすめする。

現金一括購入にこだわり、購入資金を貯めている間は、何の収益も得られない。その点、不動産投資ローンを組んで早いうちから不動産投資を始めれば、家賃収入の中からローンを返済しても、残りは収益として蓄積されていく。

つまり、不動産投資ローンを組むことで、レバレッジを利かせて投資効率を向上させることができるのだ。

安定的に家賃収入を受け取れる不動産投資は、早く始めるほど効果が大きくなる。不動産投資ローンを組んで投資用不動産を所有することは、生涯所得を最大化することに直結するのだ。

人間の一生は限られており、その中で時間とお金を効果的にやりくりしなければならない。そのためには、現金一括購入にこだわらず、不動産投資ローンを活用してチャンスを引き寄せることが重要となる。

不動産投資ローンのリスクを正しく認識する

うまく活用すればメリットの多い不動産投資ローンだが、借り入れである以上、当然リスクもある。リスクを知ったうえで、賢く活用したい。

代表的なリスクとして、空室リスクがある。多額の不動産投資ローンを組んで物件を購入したものの、空室率が高く、家賃収入が入ってこない。そうなると、返済原資を確保することが難しくなる。最悪の場合、給与収入や貯金を返済原資に充てることになるだろう。

ここまでくれば、物件を売却しようと考える人がほとんどだ。しかし、すぐに買い手がつかなかった場合、持ち出しのお金ばかりが増えていくことになる。

不動産投資ローンを組むうえで、多くの人が潜在的に抱える不安は、こういったケースを想定してのものではないだろうか。

しかし、このような空室リスクも、物件選びによって最小限に抑えることが可能だ。簡単に言うと、初心者は利回りが多少低く見えても、都心の物件を購入することが安心につながる。都心の駅近物件であれば、空室リスクが格段に低くなるからだ。

万が一経営がうまくいかず空室率が上がった場合も、買い手が見つかりやすいのが都心の物件のいいところだ。買い手が見つかりさえすれば、売却益を返済原資に充当することができる。

「何となく不安だ」という気持ちを抱いたまま不動産投資をするのではなく、リスクを解剖して対処法を見出し、客観的な視点で投資判断をすることが重要だろう。

金利の種類と返済期間の考え方

続いて、金利と返済期間の考え方を簡単に説明する。

固定金利と変動金利、どちらが有利?

金利の種類は主に、「変動金利」「固定金利」「選択固定金利」の3つだ。

変動金利とは、政策金利と連動して金利が定期的に見直されるタイプだ。一方、固定金利は、ローンを申し込んだ時点での金利が全期間適用される。また、選択固定金利とは、あらかじめ定められた一定期間は固定金利が適用され、その後定期的に金利が見直される変動金利に移行するというタイプだ。

一般的に、変動金利のほうが低めに金利が設定されていることや、現在の政策金利が低い水準であることから、変動金利がおすすめと言える。しかし、変動金利の場合、金利がどのように変動しているかをきちんとチェックしておかなければならない。

その手間を惜しみたいのであれば、固定金利を選んでおくと安心だ。ローンを申し込んだ時点で、トータルで支払う利息総額が決まっており、あらかじめ決められた金額で計画的に返済していきたい人に向いているだろう。

返済額と利息総額から返済期間を決める

返済期間と利息の関係でまず押さえておきたいのは、返済期間が長くなるほど、トータルで支払う利息の金額は大きくなるということだ。

例えば、3%の金利で2,000万円を借り入れ、元利均等で返済するケースを見てみよう。返済期間が30年だと利息総額は約1,036万円だが、20年だと利息総額は約662万円だ。返済期間が10年違うだけで、支払う利息額には374万円もの差が生まれることになる。

とはいえ、返済期間を短縮して、毎月の返済に苦しむようでは、投資を始めた意味がない。無理のない範囲で返済額を設定し、返済期間を決めることが大切だ。

不動産投資ローンの審査条件とは?

続いて、不動産投資ローンの審査条件について詳しく解説する。

ローンを組む人の属性

不動産投資ローンでも、住宅ローンと同様、借主の属性は審査に影響を与える。勤め先が大企業の場合や、勤続年数が長い、年収が高いといった場合には審査で有利となる。特に年収は、融資金額の上限にもダイレクトに影響する。

すでに不動産投資で成功した実績があると、「経営者として優れている」と判断され、審査に通りやすくなるだろう。不動産投資の実績がある場合、積極的にアピールしていきたい。

投資する物件の属性

不動産投資ローンの審査では、借主の属性に加え、投資する物件の収益性が重要な要素として影響する。物件の収益性は、立地や築年数、入居率、家賃設定などの情報をもとに総合的に判断される。

都心駅近の物件で築年数が浅く、入居率が高ければ審査に通りやすくなるだろう。逆に地方物件で築年数が古く、空室率が高ければ審査を通過するのは難しくなる可能性が高い。

不動産投資ローンは生命保険代わりにもなる?

不動産投資ローンにも住宅ローンと同様、団信がある。団信とは、団体信用生命保険の略で、借主に万一のことがあった場合、保険金によって残債がすべて支払われるという仕組みだ。

団信を活用すれば、自分に万一のことがあったときも、家族にローン完済後の収益物件を遺すことができる。こういった仕組みから、不動産投資と団信は、生命保険の代わりとして活用されることも多い。

不動産投資ローンを組んで団信に加入したときは、忘れずに加入している生命保険を見直すようにしたい。団信に加入することで既契約の生命保険料を削減できれば、家計の負担を減らすこともできるだろう。

不動産投資ローンの借り換え

過去に不動産投資ローンを組んで投資用不動産を購入したものの、借入条件に不満があるという人もいる。そんなときは、積極的に借り換えを検討しよう。

特に不動産投資ローンでは、収益物件の評価の仕方が銀行によって異なることがある。不動産投資に精通している銀行であれば、市場価値を適正に見積もってくれるため、より有利な条件で不動産投資ローンを組むことも可能だ。

資産管理会社を設立して、資産管理会社で再度不動産投資ローンを組むことを検討している人も、まずは銀行に相談してみることをおすすめする。柔軟な対応をしてくれる銀行を見つければ、借入条件が大きく改善することもあるだろう。

不動産投資は将来への備えとして効果的

2019年は、金融庁の報告書を巡る老後2,000万円問題が話題となった。公的年金だけでは豊かな老後生活を送れないという事実に、改めて不安を覚えた人も多いだろう。

安定的に家賃収入を得られる不動産投資は、将来の備えとしても非常に効果的だ。現役時代に不動産投資ローンを組んで収益物件を購入し、退職までにローンを完済すれば、老後は不動産オーナーとして家賃収入を得ることができる。

退職後も安定的に収入が得られるというのは、大きな安心感につながるだろう。

不動産会社を上手に活用する

不動産投資で成功したいなら、信頼できる不動産会社を探し、プロの意見を踏まえて投資を行うことをおすすめする。いい物件を見極めたり、入居率を維持したりするには、一定の知識が必要となる。

専業投資家で、不動産投資に十分な時間を割けるというなら、情報収集を自分で行うのも楽しみの一つと言えるかもしれない。しかし、本業にも注力しつつ不動産投資で一定の収益を上げたいなら、情報収集はプロに任せたほうが安心だろう。

特に入居者募集、賃料の督促といった不動産管理は、不動産管理会社に一任したほうが断然手間がかからない。

リスクを理解して不動産投資ローン賢く活用する

これまで不動産投資ローンの金利や審査基準、活用法について解説してきた。不動産投資ローンをうまく活用すれば、投資効率を大幅に向上させることができる。老後の生活資金を確保する手段としても、万一の場合の備えとしても、不動産投資は効果的な方法の一つと言えるだろう。

一方、不動産投資ローンにはリスクも存在する。リスクをきちんと理解したうえで、信頼できる不動産会社を自分なりに見極め、不動産投資ローンを賢く活用することが重要となる。