多くの資産家は40代、50代のうちから相続税対策に取り組んでいます。相続税対策にはさまざまな方法がありますが、その一つに資産管理会社の設立があります。今回は資産管理会社の節税の仕組みや相続税対策としての効果を分かりやすく解説します。

相続税対策に資産管理会社の設立が効果的な理由

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(画像=Elena Dijour/Shutterstock.com)

せっかく築いた資産なら、できるだけ多く次の世代に遺したいものです。そうなると重要なのが相続税対策です。相続税対策の手法にはさまざまなものがあり、既に110万円の贈与などを実行している人も多いのではないでしょうか。

110万円の贈与とは、贈与税がかからない110万円の基礎控除の範囲内で毎年財産を贈与することです(毎年一定金額を贈与すると定期贈与とみなされ課税対象となることもあるので注意が必要です)。税金の負担なく財産を移転できるというメリットがありますが、贈与できる金額がわずかであるというデメリットもあります。

生命保険を活用した相続税対策

他にも、個人でできる相続税対策として保険の非課税枠の活用があります。通常、死亡時の生命保険金もみなし相続財産として相続税の課税対象となります。しかし、法定相続人の人数に500万円を乗じた額までは、保険金は非課税となります。

そのため、例えば妻1人子2人が法定相続人となる場合、1,500万円の保険金を受け取れる保険に加入しておけば、現金で相続する場合と比較して相続税を節税できます。しかし、相続税対策としてではなく既に保険に加入し非課税枠を使い切っていることが多く、目新しい手法とはいえません。

一般の家庭で多少相続税が発生する可能性があるという程度であれば、こういった個人でできる対策をすれば十分相続税を節税できます。しかし、資産家として一定の財産を築いている場合、金額の制限が大きい個人の相続税対策では不十分です。

そこで、多くの資産家は相続税対策として資産管理会社に目を向けるのです。

資産管理会社とは?相続税対策としての3つの効果

資産管理会社とは、不動産や有価証券などの資産の管理を目的として設立する法人のことをいいます。資産管理会社という明確な区分が存在するわけではなく、法律上は一般の法人と同じ取り扱いになります。

資産管理会社は主に節税を目的として設立されます。所得税率は最高45%ですが、法人税率は23.2%で、中小法人などの800万円以下の利益には19%という低い税率が適用されます。資産管理会社を設立することで、所得税と法人税の税率差の分だけ毎年手元に残る資金が多くなります。

節税効果は20年、30年単位で見ると数千万円にのぼることも少なくありません。できるだけ多くの資産を子どもに遺したいと考える場合、所得税の節税効果だけでも資産管理会社を設立する意義があります。

また、資産管理会社は相続税対策としても大きな効果を発揮します。3つの効果について順番に見ていきましょう。

効果1:財産の移転

1つ目は役員報酬による財産の移転です。資産管理会社を設立すれば、子どもを親族にして役員報酬を支払うことができます。役員報酬には給与所得控除を適用できるため、贈与税を支払うより少ない税金負担で財産を移転できます。

効果2:財産評価額の引き下げ

2つ目は財産評価額の引き下げです。不動産の場合は固定資産税評価額や路線価をもとに相続財産としての評価額が決まります。一方、資産管理会社に資産を移転した場合、株式が評価されます。財産構成にもよりますが、一般的に株式として評価することで財産評価額を引き下げることが可能です。

効果3:「争続」の回避

3つ目は財産の分割がしやすくなることです。個人で不動産や有価証券を所有している場合、相続財産を巡って遺族間でトラブルが発生することがあります。また、不動産や有価証券は分割が難しく、少しずつ贈与していくこともできません。

しかし、資産管理会社を設立すると不動産も有価証券も資産管理会社に帰属し、遺族は株式を相続することになります。株式であれば平等に分割することもでき、遺族間のトラブルを防ぐことにつながります。

また、株式だと生前に少しずつ贈与していくことも可能です。110万円の基礎控除を活用して株式を移転しつつ、資産管理会社から役員報酬を支払うといった臨機応変なやり方で財産の移転を進めていけるでしょう。

早く始めるほど効果が大きいのが相続税対策

一般的な家庭では、相続税対策や遺言書の準備を始めるにしても60代、70代になってからということも多いでしょう。しかし資産家は40代、50代のうちから将来の相続に備えて準備を始める人が多い傾向があります。

それは、早く始めるほど相続税対策の選択肢は多く、節税効果も大きくなるからです。「将来のことは分からない」と相続税対策を先延ばしにせず、今できることから始めて少しずつでも財産の移転を進めていくことが大切です。(提供:ANA Financial Journal

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