日本企業の後継者不在率は66.4%にものぼります(全国「後継者不在企業」動向調査2018 年)。また、今後10年間で70歳を超える中小企業経営者は約245万人となり、経営者の高齢化によって廃業が相次ぐことで、2025年頃までには約650万人の雇用・約22兆円分のGDPが失われる可能性が指摘されました(経済産業省が2017年に行った試算)。

後継者不足が社会問題として度々取り沙汰される一方で、当の経営者としては「一体どう手を打っていいのか分からない」というのが本音ではないでしょうか。そのようなときに、経営者の相談相手となりうるのが「事業承継アドバイザー」です。

後継者不足に悩む経営者にとって力強い存在ですが、一体どのようなことを聞けるのでしょうか。事業承継アドバイザーの選び方や相談するときの注意点を分かりやすく解説します。

経営者の味方「事業承継アドバイザー」とは?

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(画像=Freedomz/Shutterstock.com)

事業承継アドバイザーは、中小企業経営者が抱える事業承継や経営に関する悩みや課題に対してアドバイスをする専門家です。

事業承継アドバイザーには認定団体によっていくつかの資格がありますが、ここでは最もメジャーな一般社団法人金融検定協会が認定する「事業承継アドバイザー認定試験(BSA)」について紹介します。

金融検定協会の発足は1989年で、住宅ローンアドバイザー・資産査定・個人情報取扱者など、現在19科目の検定試験を実施しています。同協会の事業承継アドバイザーは、2009年に中小企業庁の事業承継ガイドラインをもとに新設されました。事業承継アドバイザーの検定試験には、税理士法人や中小企業診断士・M&Aコンサルティング会社などの各専門家が委員として携わっています。

事業承継には、主に親族内承継・従業員への承継・M&Aの3つがあります。事業承継アドバイザーは、事業承継の基礎知識や3つの事業承継の実務についてバランスよく学べる試験内容となっています。

事業承継アドバイザーに質問できることは、例えば下記のようなことです。

「3つの事業承継の違いは?」
「どの承継方法を選択すべきか?それぞれの方法のメリット・デメリットは?」
「企業の価値評価はどのように行うのか?」
「自社株承継にあたって、税金対策はできるのか?」

信頼できる事業承継アドバイザーの選び方と注意点

会社の未来を決める事業承継。専門知識があるだけでなく、心から信頼できる相手に任せたいと思うのは当然のことです。事業承継アドバイザーを選ぶときは、人柄・専門性の2つを軸に判断しましょう。

人柄については、「質問への回答は熱心で分かりやすいか」「親身に事業のことを理解してくれ、対策を練ってくれるか」といった観点から判断します。専門用語ばかりを用いて一方的に説明を押し付けてくるような事業承継アドバイザーは望ましくありません。

事業承継では、取引先・従業員への説明や後継者の育成など、デリケートな問題が次々と浮上します。こういったソフト面での対応も求められるため、コミュニケーション力があり誠実な事業承継アドバイザーを選ぶことが重要です。

専門性については、税務・法務に関する専門家ときちんと連携をとれているかを重視しましょう。事業承継アドバイザー本人が高い税務・法務の知識を有している必要はありません。こちらの質問を専門家に伝え、速やかに回答してくれるかどうかを確認しましょう。

また、事業承継アドバイザーのバックグラウンドに注意することも大切です。金融機関、税理士法人、M&Aコンサルティング会社など、バックグラウンドはさまざまです。そして、それぞれのバックグラウンドの利益に基づいたアドバイスを行っている可能性も否定できません。

そのため、事業承継に関しては必要に応じてセカンドオピニオンを実施し、さまざまな立場の意見を踏まえて判断することが大切です。

相談前に準備しておくべきことは?

事業承継アドバイザーに相談するなら、まずは経営状況を把握できる決算書、個人の確定申告書を過去3年から5年分用意しておきましょう。ただ、こういった個人情報を最初から提示する必要はありません。話す中で一定の信頼関係を構築することができ、より具体的な相談をしたい場合に提示すれば十分です。

また、その場で作成するのでも問題ありませんが、家族図と事業への参画状況(実際に事業に携わっているか・役員として在籍しているか・株式を所有しているか)をまとめておくと、話を整理しやすくなります。

他にも、家族内で事前に事業承継について相談できる状況なら、家族の意見を簡単にヒアリングしておきましょう。中小企業や個人事業主の場合、事業承継は相続の問題と絡んでくるケースも多々あります。

トラブル防止のためにも早めに専門家に相談を

早めに家族のコンセンサスを得ながら進めていくことが、将来的なトラブルを防ぐコツです。ただし、家族への相談の仕方も含めて事業承継アドバイザーの助言を求めている場合は、この限りではありません。

事業承継は非常にデリケートな問題であり、経営における最後の関門ともいえます。頭が痛くなり、逃げ出したくなる経営者も多いでしょう。しかし、無事に事業承継を成功させることができれば、雇用を継続し、商品・サービスを後世に遺すことができます。

必要に応じて適切な専門家を活用しながら、事業承継と向き合うことが大切です。(提供:ANA Financial Journal

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