事業承継のスキームとして、持株会社の設立を提案されたことがある経営者は多いのではないでしょうか。持株会社は活用次第で事業承継をスムーズに進められる場合もあります。しかし、デメリットを知らないとかえって損をしてしまうこともあるため注意が必要です。

事業承継の一つの選択肢、持株会社の設立とは?

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(画像=ssguy/Shutterstock.com)

事業承継のスキームの一つとして挙げられる持株会社(資産管理会社)の設立。ホールディングス化と表現される場合もあります。

人は目新しい手法に出会うと、一気にそれで問題が解決するように錯覚しがちです。しかし、事業承継において内容を深く理解しないまま話を進めてしまうのは非常に危険です。専門用語が多いからと敬遠せず、自分なりにスキームを理解したうえで一つひとつの判断を下すことが何より重要です。

持株会社設立の一般的なスキーム

現在経営している承継したい会社をA社とします。持株会社のスキームでは、後継者が出資して全く新しくB社を設立し、B社をA社の親会社にします。

親会社にする過程で、B社はA社の株式を現在の経営者から買い取らなければなりません。そのための買い取り資金は、必要に応じて銀行から借入れます。B社はA社の株式を所有することで、A社の配当金を受け取ることができ、配当金から借入れを返済していきます。

以上が持株会社を活用したスキームの基本的な流れです。

持株会社設立前に知っておきたい3つのデメリットとは?

持株会社の設立には、さまざまなデメリットがあります。持株会社の設立を提案された場合も、デメリットに目を向け慎重な経営判断をするようにしましょう。

デメリット1:借入れリスク

1つ目のデメリットは、借入れリスクです。後継者が株式のすべてを購入できるだけの資金を出資できる場合は別ですが、通常は株式取得のために金融機関から融資を受けることになります。事業が好調で配当金から問題なく返済できるうちは問題ありませんが、返済が滞るようなことがあれば事業の継続自体が危うくなります。

業績を見極め、しっかりと返済計画を立てておかないと、将来的に返済が重くのしかかってくる危険性があります。

デメリット2:税務リスク

2つ目のデメリットは、税務リスクです。節税のみを目的とした持株会社の設立は、税務調査によって否認されることがあります。税務調査で否認されれば、本来支払うべきだった税金に加え、延滞税も負担しなければなりません。そうなるとかえって税金の負担が増え、逆効果となってしまうでしょう。

最近では持株会社による節税効果を疑問視する声もあります。節税効果が一代限りしか機能しないこと、株式譲渡で多額の現金を得ることでかえって相続税の対象となる資産総額が増加することなどを指摘する専門家もいます。

税務リスクをしっかり理解したうえで、慎重に設立の意思決定をすることが大切です。

デメリット3:事務負担の増加

3つ目のデメリットは、事務負担の増加です。持株会社を設立するということは、法人税の申告が増えることになります。税理士に支払う決算料や顧問料、司法書士に支払う登記費用などがその分増加します。

また、持株会社と事業を行っている会社の間で取引があった場合の会計処理など、取引が複雑化することで余計なコストが発生することは否めません。事務負担の増加を考慮しても持株会社を設立するメリットがあるかどうか、十分検討しましょう。

持株会社の設立が事業承継で効果を発揮するケースもある

デメリットを列挙しましたが、持株会社の設立が事業承継をスムーズにするケースも存在します。

例えば、会社を複数所有しており、まとめて後継者に引き継ぎたい場合などが該当します。この場合、持株会社を設立してそれぞれの会社を子会社とすれば、個別に株式を売買しなくても一気に事業承継が完了します。

他にも、持株会社によって複数の会社を一元管理すれば、生産性向上や競争力アップといった経営上の効果も見込めます。

このように、事業承継のみを目的として持株会社を設立するのではなく、本来の目的に沿って持株会社を設立するという発想が大切です。事業承継以外の目的があるのであれば税務リスクは下がり、事業の成功によって借入れの返済や事務負担の増加にも対応できるでしょう。(提供:ANA Financial Journal

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