「日本一フリーランスに優しい税理士」と称し、多種多様な職種のフリーランスを中心に支援する税理士の大河内薫さん。YouTubeチャンネル「税理士大河内薫の税金チャンネル」をはじめ、税金に関する情報をSNSで積極的に発信している。

マンガ家の若林杏樹さんとの共著『お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!』(サンクチュアリ出版、通称 #フリーランス税本)は、6万1000部を突破するヒット作だ。

フリーランスは自ら確定申告をするが、そのための知識や明確な判断基準を持たないまま実績を積んでしまうケースは珍しくない。年収が高くなればなるほど、正しい知識の有無は納税金の差額やリスクにつながる。

年収1000万円が見えてきたら知っておくべき税金対策の知識とは?高年収フリーランスが着目すべきトピックを、具体例を交えながら大河内さんに聞く。

(取材・宿木雪樹 / 写真・大口葉)

お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!
大河内薫さん
最新メディアやSNSでの発信が得意な税理士。Twitterフォロワー3万人超、YouTubeチャンネル登録者7万人超(12月23日時点)。日本では稀な芸術学部出身の税理士として、クリエイターやアーティストを熱烈支援。芸能・クリエイター特化型税理士事務所を経営。スーツ着ずに税知識をカジュアルに発信がモットーで「お堅い、まじめ」などの税理士イメージの打破を目指す。著書『お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!』(SANCTUARY BOOKS)は発売1年で6万部超のベストセラー。
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目指すのは「完璧な確定申告」ではなく「納得のいく確定申告」

フリーランスの資本家思考#6
(写真=大口葉撮影、ZUU online編集部)

――年収1000万円のフリーランスが税金対策として気をつけるべきポイントはありますか?

年収が上がったからといって特別な方法があるわけではありません。前提として、基本的なことができているか確認しましょう。

・青色申告(65万円の控除が可能)をする
・漏れなく経費を計上する

私が見る限り、ほとんどのフリーランスはこの「漏れなく経費を計上する」ことさえクリアできれば、高い節税効果を実感できると思います。さらに節税したいのであれば「ふるさと納税」や「iDeCo(イデコ)」などを活用するといった手段もあります。

――「漏れなく経費計上」と言いますが、最も難しいのが「どこまでが経費として認められるか」という基準ではないでしょうか。

そのとおりです。著書『お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!』にも詳しく書いていますが、経費の線引きというのは非常に難しい問題です。

インターネット上では「ここまでは大丈夫」「これはダメ」など無数の情報が散乱していますが、それは税務調査で認められたものではなく、あくまで一般論でしかなく、それが個人の事情に当てはまるかどうかは別問題です。同じ出費であっても、あるフリーランスにとっては経費にならないものが、別のフリーランスにとっては経費になる場合があります。

大前提として、脱税は違法行為なので絶対にダメです。しかし、売上につながるものを経費として計上することはまっとうな申告です。あとは、怖がらずに挑戦してみてはどうか、というのが私の個人的な考えです。

これまで数多くのフリーランスの確定申告と向き合って来た経験から言えますが、完璧な確定申告などそうそうできません。確定申告でミスをしてはいけないという認識は一度捨てましょう。目指すべきは「抜け漏れなく申告する」ことと、「経費について説明できるようにする」こと。「これはこういう理由で経費だ」と説明できるのであれば、勇気を持って経費計上してみてはどうか、というのが私の見解です。100点はとれずとも、自分が納得して説明できる確定申告を目指してほしいと思います。

フリーランスの資本家思考#6
(写真=大口葉撮影)

これは経費として認められる?グレーゾーンの見分け方

――極論を言えば、説明さえできれば何でも経費にできる?

あくまで極論の話ですが、その考え方は間違えではありません。ただし、違和感のある申告内容は税務調査の対象になりやすいです。例えば、業態は変わらず経費率が前年比数倍に上がった場合、その変化に疑問を抱かれて当然です。言うまでもないことですが、嘘はいけません。

税務署は税のプロフェッショナルですが、仕事内容に関してはフリーランスのほうがプロフェッショナルです。仕事を進めるのにどんな費用が必要なのか、税務署側がわからないから確認されること自体は決して悪い事態ではありません。したがって、いかに突飛な経費であってもそれが仕事に必要なものであれば、漏れなく計上しましょう。

――経費として認められるかどうか、微妙なラインとして代表的な項目はどのようなものがあるでしょう?