マーケティングにおける「1:5の法則」をご存じでしょうか。新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの5倍かかるという法則です。これは賃貸経営においても当てはまります。今回は既存顧客、つまり入居者を維持するための施策(テナントリテンション)を考えてみます。

なぜリテンションが重要か?

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(画像=fizkes/Shutterstock.com)

例えば携帯電話会社が新規顧客を獲得するには、広告を出したり他社からの乗り換え客向けに割引を行ったりと多額の費用がかかりがちです。一方、一度契約してくれた顧客は、サービス内容に大きな不満がないかぎり継続して使い続けてくれます。収益を安定させるためには、既存顧客維持のために一定の手間とコストをかけることが非常に重要です。

既存顧客を維持するための活動をリテンションといいます。リテンションには、既存顧客に対して満足感の高いサービスを提供すると同時に解約を思いとどまってもらうといった意味合いも含まれています。リテンションは賃貸経営においても重要です。既存の入居者(テナント)に入居し続けてもらう分には、ほとんどコストはかかりませんが、退去が発生した場合はどうでしょうか。

退去によって必要になる原状回復費用や入居者募集用の広告費、仲介手数料などの費用がかかります。空室期間中、本来入ってくるはずだった家賃が得られない機会損失も発生するでしょう。「新規入居者の募集には力を入れるけど一度契約した入居者に対してはあまり気を使わない」というオーナーは多いかもしれません。

しかし「1:5の法則」で考えれば、むしろ既存の入居者の維持に力を入れるべきであり、そのほうが結果として多くの収益を得られることが期待できるのです。

リテンションを実現するための施策

賃貸経営におけるリテンション施策としては、以下の5つが考えられます。

・入居者へのアンケート調査
定期的に入居者への調査を実施して不満点や要望を聞く方法があります。そして不満点はなるべく早く改善し要望にはできる範囲で応えるようにしましょう。

・契約更新のお礼を贈る
入居者は2年に一度の契約更新の際に引っ越しを検討することが多いです。そこで契約更新の際にオーナーからちょっとしたお礼を贈ることにしてはいかがでしょうか。そして管理会社が入居者に契約更新の意思をたずねる際に、お礼を贈るという話を伝えることで解約を思いとどまってもらうことができるかもしれません。

・管理会社と協力して適切な管理状態をキープ
共用部の管理・メンテナンスをきちんと行い安全で快適な状態を維持することが大事です。共用部の管理やメンテナンスは、管理会社に任せきりにする人が多いかもしれません。しかし時にはオーナー自らが視察に行き状態をチェックしてみてはいかがでしょうか。

・クレームやトラブルは早期解決
「入居者から何か要望があった」と管理会社から連絡が入ったらなるべく早くレスポンスをすることが大切です。「3社に相見積もりを取ってから決める」などとやっていると入居者に「対応の遅いオーナー/管理会社」と思わせてしまい不満をつのらせてしまう可能性もあるでしょう。

・退去の際は退去理由をしっかりと聞く
以上のようなことを実施しても退去になることはあります。しかし退去理由はきちんと聞くようにしましょう。その退去理由が例えば「隣人が騒がしい」など、すぐに改善できるような問題であれば速やかに改善することで退去を思いとどまってもらえるかもしれません。すぐに改善できないような内容であっても退去理由を把握しておけば今後に生かすことが期待できます。

テナントリテンションは工夫次第

いくつかのテナントリテンションの方法を挙げてみましたが、他にもさまざまなものが考えられるでしょう。一棟所有をしていて、かつ積極的なオーナーのなかには、「四季折々の花を飾って外構を彩る」「イベントを開催して入居者同士のコミュニケーションを図る」などの施策を行っている人もいます。そこまで手間をかけなくても入居者をキープするのに役立つ方法はあるはずです。さまざまな方法を考えて管理会社と協力して実践してみてはいかがでしょうか。 (提供:アセットONLINE


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