マイナンバーカードは、個人番号と紐づいてあらゆる行政手続きにおいて重宝される身分証明書です。

しかし、手続きの複雑さや、運転免許証の利便性の高さから、発行率は著しく低く、政府の課題となっています。

そこで政府は、マイナンバーカードの普及率上昇と、キャッシュレス決済の促進を絡めたポイント還元案を発表しました。

今回は、マイナンバーカードのポイント還元サービスについて解説します。

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(画像=Getty Images)

マイナンバーとは

マイナンバーとは、日本の市区町村に住民票がある住民全員に対して個人を識別する番号が発行される制度です。

制度が誕生した目的は、市役所などで行う手続きにおいて、特定の個人を識別しやすく、かつスピーディーに業務が行えるようにするためです。

利用方法としては、給与所得者が勤務先に扶養控除等を申込む時や、銀行などで預金口座を開設するとき、介護保険の要介護認定申請など多岐に渡っています。

個人番号を発行することで、正確な所得が把握でき、社会保障や税の給付が隅々まで行き渡り、書類を発行する手間が不要になるため国民の利便性が向上するとされていました。

ところが、マイナンバーカードの交付枚数はそれほど多くありません。

通知カードとマイナンバーカード

マイナンバー制度が始まってすぐに、通知カードが市区町村から個人に送られました。

これは、新生児から老人まで全ての住民を対象に配布した、その人のマイナンバーが記載されたカードです。

通知カードの表面には個人番号の他に氏名や住所、性別、生年月日などが印刷されていますが、持ち主の証明写真や住民票コードなどはありません。

そのため、通知カードにはマイナンバーが記載されていますが、自分の身分を証明する効果はありません。

この通知カードと写真を提出することで発行されるのが、個人番号カード。

つまり、マイナンバーカードになります。マイナンバーカードは運転免許証やキャッシュカードなどと同じサイズのプラスチックカードで、表面には氏名や住所、性別、生年月日、そして本人確認の顔写真が印刷されます。

身分証明書としてはかなり重要度が高く、福祉分野の給付や確定申告、失業手当の手続きなど様々な場面で重宝します。

そのため、政府としては発行枚数を増やしたいのですが、2019年11月時点では約1823万枚と、全人口に対して14%程度しか発行されていません。

様々な場面で重宝されるマイナンバーカードがこれほど発行されない理由としては、必要となる場面では運転免許証で代用可能というのが上げられます。

そのため、マイナンバーカードを必要とするのは、免許証を返納してしまった高齢者が身分を証明するためぐらいしか無いと揶揄されています。

実際、交付枚数を世代別で見ると、55歳以上が全体の50%以上を占めており、30歳以下の発行率は合計しても約12%しかありません。

政府は2022年度末までにほとんどの住民が発行するだろうという想定していますが、現状の発行枚数を考えると厳しいと言わざるを得ません。

そこで、政府はマイナンバーカードの普及率を上げる作戦として、ポイント還元を打ちだしました。

マイナンバーカードのポイント還元

政府は、2020年9月以降にキャッシュレス決済をした方を対象に、25%の「マイナポイント」を付与すると発表。

マイナポイントとは、マイナンバーカードに紐づけられたポイント制度で、自分が使いたい電子マネーやQRコード決済時に使用できるポイントになると言われている。

25%と聞くとかなり割高に思えるが、上限が5千円と定められている。

つまり、2万円を支払えば5千円の還元が受けられるという、一時的なポイントサービスに過ぎません。

それも、ポイントを受け取るまでの道のりが長いのがネックとなります。

マイナンバーカードのポイント還元の問題点

利用を考えている方は、まずマイナンバーカードを発行する必要があります。

上述した通知カードと必要書類、写真などを送付し、団体でマイナンバーカードを発行してもらいます。

混雑具合で変わりますが、最短で2週間、最長で1ヶ月はかかります。

発行されたマイナンバーカードを市区町村の窓口で受け取ると、次にマイナンバーと紐づくマイキーIDを作成します。

これは今回のポイントだけでなく、インターネット上で自分のマイナンバーを確認したり、確認請求があった行政手続きが何だったのかチェックするためにも必要なので、発行しておくべきです。

マイナンバーカードとマイキーIDを用意したら、今度は紐付するICカードやQRコード決済を選択し、手続きをします。

ここまでして、ようやくポイントが付与されるのですが、パソコンやスマホに慣れていない方にはハードルの高い作業といえます。

ここまでの作業をして、得られるのが5千円の還元となると、発行するメリットが低いと判断して発行しない方も出てくる可能性があります。

マイナンバーカードを普及させたい政府としては、普及率が上がらなければ、第二段、第三弾のポイントサービスを打ち出し、税金の還元をして、普及率を上げようとするかもしれません。

しかし、それは本当に正しいマイナンバーカードのあり方といえるのか疑問を抱いてしまいます。

マイナンバーカードのあり方

マイナンバーは、個人と会社、銀行などを個人番号で繋げている制度です。

そのため、企業に所属しているサラリーマンはマイナンバーによって給与の流れが可視化されています。

そこに、マイナンバーカードとキャッシュレス決済を紐付すれば、今度は支出の可視化が可能となります。

極端な話、マイナンバー制度は政府が個人の収支を全て把握することが可能となる制度になります。

その是非はともかくとして、そこまで把握する事ができるようになるなら、税金を正しく使うことに使えるはずです。

たとえば、所得格差解消のために、低所得者に対してきちんと給付し、高所得者には給付されないように徹底することが可能です。

事務手続きがIT化すれば、これまでかかっていたコストが減り、その分の税金を他に回す事さえできます。行政のみならず、民間レベルでも経費節約が期待できます。

現在、マイナンバー制度の円滑な運用を目的として年間約329億円の予算が注ぎこまれています。

2020年9月よりスタートする予定のポイントサービスでは、2500億円の予算が想定されています。

これだけの税金をつぎ込んで維持している制度なのですから、やるなら徹底して行い、マイナンバーカードによってスムーズかつコストを削減した世の中に変えていくべきという意見もあります。(提供: The Motley Fool Japan


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