訪日観光客が何台もの観光バスで乗り付け、大型家電量販店やデパートの時計・宝飾品・化粧品売り場で大量に購入する、そんな銀座の風物詩「爆買い」もすっかり鳴りをひそめました。

今や年間3,000万人を超えるインバウンド観光客の関心は、「モノ消費」から「コト消費」にシフトしています。その一環として、富裕層を中心に注目を集めているのが「医療ツーリズム」です。

高額とされる治療費にもかかわらず、医療ツーリズムが人気な理由はどこにあるのでしょうか。受け入れ側の医療機関は、どのように取り組んできたのでしょうか。さらに、医療ツーリズムがもたらした恩恵についても考えてみます。

急増する医療滞在ビザと中国人の事情

億万長者,健康医療.高額医療ツーリズム
(画像=aijiro/Shutterstock.com)

医療ツーリズムで日本を訪れる外国人は、増え続けています。日本で医療サービスを受けるにはビザが必要ですが、医療滞在ビザの発給件数は、統計をとりはじめた2011年(70件)から10年足らずで20倍以上の1,650件まで急増、うち大部分は中国人が占めました。

日本人が病院で受診する場合、通常は自己負担が3割で、高額な医療に関してはより手厚い支援を受けることができます。一方、短期滞在資格でやってくる外国人に対しては、全額自己負担が求められます。

治療費は500〜600万円が一般的なボリュームゾーンとされ、決して安くはありません。にもかかわらず、医療ツーリズムに参加する外国人は増えています。

GDP(国内総生産)が世界第2位を誇る中国ですが、支える社会インフラの整備は全く追いついていません。典型的なところでは、病院施設と医療スタッフです。

中国でトップレベルのサービスを受けることができる医療機関は、極めて限られています。同時に社会主義体制が長く続いた影響からか、病院のホスピタリティーや患者との信頼関係構築といった面でもまだまだ改善の必要性があるといわれています。

難病を抱えながら、北京・上海など大都市の病院でも満足な診断結果を得られず、日本にやってきたといったケースも少なくないようです。

亀田メディカルセンターが取り組む医療ツーリズム

医療ツーリズムが注目を集める中、いち早く中国人への医療を強化し、さまざまな施策を行ってきたのが「亀田メディカルセンター」(千葉県鴨川市)です。

亀田メディカルセンターは、中国天津病院から医師・看護師の研修を受け入れたり、現地病院と提携関係を結んだりと、30年以上前から日中交流の実績を積み上げてきました。

2012年からは経産省が進める「医療機器・サービス国際化推進事業」に採択され、外国語対応・自治体との協力体制構築・VIP受け入れの環境整備などに努めました。

こうした努力が実を結び、亀田メディカルセンターの医療サービスを受ける中国人は2016年に200人を超え、マンツーマンのハイエンドサービスを希望する患者も多いため、病院経営へのインパクトは小さくありません。

医療ツーリズムが地域経済を活性化させる

人口減少と地域の衰退は外房エリアも例外ではなく、「もし亀田がつぶれたらこの地域は一気に衰退する」とされるほど、亀田メディカルセンターは地域経済にとって重要な存在となっています。

亀田メディカルセンターの医療ツーリズムが提供する最先端技術によって得られる高額な自由診療報酬は、病院の財政を支え、ひいては社会保障負担に圧迫される日本医療の基盤維持にも貢献しています。さらに、患者や家族が周辺で食事をしたり、温泉に入ったりといった経済効果の拡大も期待できます。

アジア諸国も力を入れる医療ツーリズム

最近は政府の後押しもあり、愛知県で「医療ツーリズム研究会」が立ち上がるなど亀田に続く前向きな動きも見られます。

一方医療ツーリズムは、日本だけでなく諸外国でも強化が進みつつあります。シンガポールは10年以上前から国を挙げて戦略的に取り組むとともにタイ・マレーシアなど周辺諸国と連携、シンガポールをハブとする協力体制を築き上げました。日本も、政府・医師会・自治体などによるより一層の連携が求められます。(提供:ANA Financial Journal

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