疑わしい決算書の分析とヒアリングの進め方
(画像=PIXTA)
CASE1 棚卸資産の水増しによる利益の拡大
在庫の推移と回転期間を長期で見て業界平均と比較し異常を突き止める

企業の粉飾決算は、様々な手段を組み合わせて巧妙に隠されている。中でも特によく使われる手口は、「棚卸資産による在庫の水増し」と「売上債権による架空売上の計上」の2つであろう。

ただし、架空売上を計上すれば、増えた売上に伴って消費税の負担も増えてしまうので、業績不振の企業は避けたいと考える傾向が強い。このような理由から、決算書の棚卸資産を利用した在庫の水増しが最も多く粉飾に使われる。この方法の仕組みや見抜き方について、以下に述べていこう。

財務の上では在庫増加で利益が拡大