資産運用を始めようと思っても、種類が多すぎて何から手をつけて良いか分からない、という人は多い。今回は投資初心者向けに、資産運用の基礎知識を解説し、スタート金額別のオススメ投資法や初心者にありがちな失敗を紹介していく。

なぜ資産運用を始めるべきなのか?

資産運用の基礎知識
(画像=PIXTA)

2019年は、金融庁が発表した報告書を巡り「老後2,000万円問題」がメディアをにぎわせた。

同報告書によれば、公的年金だけでは老後の生活費を十分にまかなうことはできない、とされている。また、統計データを基にした単純計算では、不足資金は2,000万円にものぼるという結果が得られている。

2,000万円という金額は家族構成や生活水準によっても異なるが、同報告書が国民に大きなインパクトを与えたのは事実だろう。この結果を受けて、危機意識から資産運用を始める人が急増した。

最近では、20代、30代のうちから将来に備えて貯金や資産運用に取り組む人も多い。SNSを中心に、自分自身の資産運用の成果を報告する投稿も目立つ。

資産運用に取り組むことは、老後の備えとしても人生のリスクヘッジとしても効果的だ。早いうちから資産運用を始め、お金との付き合い方を学べば、自分の思い通りに人生をコントロールできる可能性が高まるだろう。

資産運用でどのぐらい差がつく?

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(画像=(写真=Costello77/Shutterstock.com))

資産運用をした場合としなかった場合では、どのぐらいの差がつくのだろうか。毎月10万円、毎年120万円を普通預金においていた場合と、年利5%で資産運用した場合とを比較してみよう。

年利0.001%の普通預金に毎年120万円をおいていた場合、10年後の残高は1,200万595円だ。元本1,200万円に対して、増加した金額はたったの595円となる。

一方、年利5%で毎年120万円を資産運用した場合、10年後の残高は1,552万8,228円だ。元本1,200万円に対して、約353万円も増加していることが分かる。

このように、資産運用に取り組んだか否かによって、数百万円の差が生まれるのだ。運用金額が大きくなったり期間が長くなったりすれば、この差はさらに大きくなる。

機会損失を生まないためにも、できるだけ早く資産運用に取り組むことが重要だ。

資産運用の目的を明確にする

資産運用を始めようと思ったとき、いきなり投資商品を探し始める人がいる。しかし、まずは資産運用の目的を明確にしなければならない。

例えば、老後資金としてどのぐらいの資金を積み立てたいのか。結婚や出産といった短期的なイベントで必要な資金はいくらなのか。自己投資や趣味にはどのぐらいのお金を割きたいのか……。

こういった観点で自分の生活費を見直し、目的を明確にしたうえで資産運用を始めることが重要である。

初心者が資産運用を始める前に知っておきたい3つのこと

資産運用を始めるなら、まずは基本的な資産運用の考え方を押さえておきたい。商品選びや資産運用に回す金額について迷った際に、道しるべとなる考え方を紹介する。

少額でも資産運用を始めることに意味がある

「どうせならまとまった資金ができてから一気に資産運用を始めよう」

このように考える人も多い。しかし、納得のいく金額が貯まるまでに時間ばかりが過ぎていき、機会損失のほうがかえって大きくなってしまうことも少なくない。

たとえ少額でも、資産運用を始めればそれだけでも「リターン」を得ることができる。リターンには、金銭的なリターン以外に、資産運用の経験という目には見えないリターンもあるのだ。

初心者は、まず少額でも資産運用を始めることに意味があることを知っておこう。

資産運用のリスクを理解する

資産運用に興味を持ち始めると、「会社員がほったらかしで1億円の資産を築いた」「主婦でありながら不動産投資で10棟以上を管理」といった派手な話が目に飛び込んでくることもあるだろう。

しかし、資産運用には当然リスクも存在する。「おいしい話には裏がある」ことを理解し、メリットもデメリットも踏まえたうえで慎重な判断をすることが大切だ。

目的や自分の暮らしに合った資産運用を選ぶ

資産運用には多くの種類がある。調べたり勉強したりするほど、「結局どの資産運用がお得なの?」と悩んでしまうかもしれない。

しかし、投資初心者はまず「誰にとってもメリットをもたらす万能薬のような資産運用は存在しない」と理解することが大切だ。

資産運用には、それぞれ一長一短がある。誰かにとってはメリットとなることが、別の誰かにとってはデメリットかもしれない。

「どれが一番得なのか?」という視点ではなく、「どれが自分の目的や性格に合っているか?」という視点で資産運用の情報収集をすることが重要となる。

投資初心者のよくある誤解——資産運用のリスクとは?

リスク
(画像=Getty Images)

資産運用でリスクという場合、一般的なリスクという言葉とは若干意味が異なる。資産運用におけるリスクは、「リターンの振れ幅」のことをいう。

つまり、リスクが低いということは「大きく損はしないが、大きく得をすることもない」ということだ。逆にリスクが高いということは「大きく得をする可能性があるが、大きく損をする可能性もある」ということだ。

「リスク=避けるべきもの」という固定観念にとらわれたままでは、大きなリターンを得ることもできない。リターンとの兼ね合いでリスクをとらえる視点が大切だ。

これだけは押さえておこう!資産運用の基礎知識

資産運用を始めるにあたって、最低限知っておいたほうがいい用語や考え方がある。ここでは、分散投資・長期投資・複利効果について紹介する。

リスクを抑えて資産運用するなら分散投資・長期投資が基本

資産運用の初心者なら、まずは分散投資・長期投資を心がけたい。

分散投資とは、1つの投資先にすべての資金を投じるのではなく、複数の投資先に資金を分散して投資することだ。分散投資であれば、1つの投資先で損が出たとしても、別の投資先で得た利益で補うことができ、全体としてリスクを分散できる。

長期投資とは、長期間にわたって資産運用を続けることをいう。資産運用では、投資期間が長くなるほど収益率は安定しやすくなる。

1年といった短い期間の場合、利益や損失の振れ幅は大きくなる。しかし、10年といった長い期間になるほど振れ幅は小さくなる。

初心者はまず、分散投資・長期投資のリスクが低いことを押さえておくと、商品を選びやすくなるだろう。

効率よく資産運用したいなら複利効果を活用する

投資で得られた利益を現金で引き出した場合と、利益をさらに投資に回した場合とでは、投資効率がいいのはどちらだろうか。答えは当然後者だ。

資産運用では、得られた利益を再投資することで、加速度的に資産を増やすことができる。これを複利効果という。

資産運用を始めて利益が出ると、つい現金化して何かに使いたくなるかもしれない。しかし、複利効果を得るためには誘惑に打ち勝ち、将来のために利益を再投資することが重要である。

初心者にオススメする投資2選

続いて、初心者でも始めやすい投資として、個人向け国債と投資信託を紹介する。

リスクの低い個人向け国債

国債とは、国にお金を貸すことで、国から利息を受け取れるという投資商品だ。国債には元本保証があり、国が破たんしない限り元本割れの可能性がない。

そのため、絶対に元本割れは避けたいという人にオススメの投資商品だ。一方で、2020年2月発行の国債は10年、5年、3年ともに利率は0.05%と非常に低く、預金と比較してメリットを感じにくいのが難点だ。

運用をプロに任せられる投資信託

投資信託とは、投資家から集めたお金を投資のプロが運用し、得られた利益を投資家に再分配する投資商品だ。自分で商品選定をする必要がなく、株価などを逐一チェックしなくてもいいため、初心者に人気がある。

投資信託であれば、元手が小さくても国内外の株式や債券に分散投資できる。ただし、投資信託は元本保証ではないので、元本割れの可能性があることには留意しておきたい。

初心者にオススメしない投資

一方、初心者には難易度が高すぎる投資として、株式投資とFXがある。

情報収集や勉強が必要な株式投資

投資というと、真っ先に株式投資を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。株式投資では、企業が発行する株式を購入し、利益の一部を配当金として受け取ることになる。また、購入時より株価が上がったときに株式を売却すれば、売却益が得られる。

しかし、どの企業が成長するかを初心者が見極めるのは非常に困難である。株式を購入したものの株価が下がる一方だという状況も当然起こり得る。また、企業には倒産リスクがあり、倒産してしまえば一瞬で資産を失うことになる。

情報収集や勉強を楽しみながら、余裕資金で取り組むなら株式投資も面白いだろう。しかし、初心者が資産形成目的で始めるには、難易度が高すぎる側面もある。

自己資金を超えた取引ができるFX

FXとは、二国間の通貨を売買して利益を得る投資方法だ。FXでは、レバレッジをかけることで元手の最大25倍まで取引金額を引き上げられる。

少額でも大きな利益を得られる可能性がある一方で、大きく損をしてしまう可能性もある。初心者がFXを始めたものの、一瞬で資産を失ってしまったという話を聞いたことがある人もいるだろう。

FXを始めるなら、まずは十分な投資経験を積み、あくまで余裕資金で取引をするようにしたい。

初心者にありがちな資産運用の失敗例

繰り返しになるが、大切なのは資産運用の目的を明確に持ち、「自分に合った投資法」を選ぶことだ。具体例として、資産運用の目的と商品選びが食い違っていた例を紹介する。

これまで仕事一筋でがんばってきた30代後半のAさんは、役職について給与はそれなりにもらっているものの、資産運用をした経験はない。老後2000万円問題に触発され、投資を始めてみようと考えた。

Aさんは、給与にかかる高い所得税を節税したかったので、iDeCoに加入した。iDeCoでは掛け金が全額所得控除の対象になるからだ。

しかし、きちんとライフプランを立てずに資産運用を始めたAさんは、10年経って両親の医療費や介護費用の支払いに追われることになってしまった。焦ってiDeCoの積立額を減額したものの、すでに積み立てた分は60歳になるまで引き出せない。

Aさんは、資産運用を始めるタイミングで、目的や資産運用に回す金額をもっとよく検討すべきだったと後悔した。

初心者が資産運用するときの注意点

このように資産運用を始めるときは、「利回り」「節税」「期間」といったさまざまな観点から商品を比較検討し、自分に合った投資商品を選ぶ必要がある。

「節税になる」「利回りがいい」といった一面的な見方で商品を選ぶと、後々苦労することになりかねない。いきなり商品を選ぶ前に、自分なりに資産運用について学び、方針を決めることが大切だ。

初心者が資産運用で成功した事例

30代後半のBさんは、家族を持ったことをきっかけに本格的に資産運用について考えるようになった。まず自分なりにライフプランを立て、教育費として貯めたい金額、老後の備えとして貯めたい金額を算出した。

Bさんは、教育費を貯めるため学資保険に入り、老後の備えとしてiDeCoに加入した。また、余剰資金で投資信託を購入することにした。学資保険やiDeCoが手堅い商品なので、投資信託は新興国株式中心の高いリターンを期待できる商品を選んだ。

バランスよく資産運用をすることで、必要なタイミングで必要な資金を効率よく貯められたBさん。投資信託に加えて不動産投資を始め、安定収入を確保することに成功した。退職後は不動産オーナーとして、悠々自適の生活を送っている。

これはモデルケースだが、初心者が資産運用で成功するには、最初に投資の目的を明確にし、目的に合った商品を選ぶことが何より重要だ。

本、セミナー、ブログ……初心者が資産運用を学ぶ方法

資産運用を学ぶ方法にも、たくさんの選択肢がある。体系的な知識を得たいなら本やセミナーがオススメだ。目で情報を得るタイプなら本、耳で情報を得るタイプならセミナーが向いているだろう。

ただし、特定の投資商品をプッシュするセミナーもあるため、注意して選ぶようにしたい。

最新情報を得たい場合や生の声を聞きたい場合は、ブログやSNSの利用も有用だ。投稿者と交流することで、お互いにより深く情報交換をすることもできるだろう。

いずれにせよ資産運用を学ぶときは、いくつかのチャンネルを組み合わせることが望ましい。

例えば、体系的な知識をまずは本で学び、インターネットで最新情報を確認する。どのような投資商品が自分に合っているかをある程度見極めたうえでセミナーに足を運び、さらに詳しい説明を聞く。

勉強の仕方を1つに絞る必要はない。情報収集においても、受身で情報を得るのではなく、方針や戦略を持って臨むことが重要だろう。

資産運用とあわせてライフプランの見直しを

資産運用を始めるなら、同時にライフプランを作成すると安心だ。じつは収入を上げる以上に、支出を減らしたほうが資産に与える影響が大きいという場合もある。

固定費のカット、日々の節約などとあわせて資産運用を行うことで、自分なりのお金との向き合い方を見つけ出せるだろう。

どんな成功者も最初は資産運用の初心者だった

資産運用を始めたいと思っても、いざ調べ始めると情報が多すぎて面倒になり、結局何もしないまま、という人はたくさんいる。しかし、どんな成功者も最初は資産運用の初心者だったのだ。

成功者になれるかどうかは、最初の一歩を踏み出せるかどうかにかかっている。少額からでも資産運用を始めることで、向き・不向きを見極めることができ、自分なりの投資スタイルを確立できるだろう。

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