ソーシャルレンディングは年利回り5%以上も珍しくない高い利回りと貸し倒れ件数が少ないことから、新たな資産運用先として脚光を浴びてきています。

メディアから取り上げられる機会も増え、ここ数年で大きく知名度が上がりました。

そこでソーシャルレンディングとは一体どのような仕組みで、どんな特徴をもっているのかについて解説していきます。

さらにそれだけの高い利回りがある一方でどんなリスクがあるのかについてもご紹介します。

疑問
(画像=Getty Images)

ソーシャルレンディングの仕組みと特徴

ソーシャルレンディングの仕組みですが、簡単にいえばお金を借りたい事業者が投資家から集められた資金をソーシャルレンディング会社から借り入れ、その事業収益から元本と利息を返済することで投資家に還元するスキームとなっています。

実際の仕組みは、投資家がまずソーシャルレンディング会社と匿名組合契約を締結します。

ソーシャルレンディング会社は事業者の事業プランごとにファンドを組成し、投資家を募ります。

投資家は出資したいファンドを選択し、資金を拠出するとソーシャルレンディング会社はその資金をファンドの事業者に融資します。

尚、ソーシャルレンディングに似た用語に「クラウドファンディング」があります。

ソーシャルレンディングの位置づけとしては、数あるクラウドファンディングの一つとなっており、融資型クラウドファンディングとなっています。

次にソーシャルレンディング会社が実際に資金を事業会社に融資する際の審査や、最終的に投資家に分配金を還元するまでの流れについてより詳しく見ていきます。

まずソーシャルレンディング会社は、銀行のように事業会社の事業案件ごとに審査をおこないます。

審査の際には事業会社の財務体質やその会社が属する業界の分析、事業の収益性や内在するリスクなどを分析し、案件ごとにローンの詳細な条件を決めていきます。

条件については審査結果などをベースに貸出利率、貸出期間、担保や保証人の必要性の有無などを決定し、案件自体を証券化します。

この証券化によって小口で投資してもらいやすくすることで、投資家からの資金が集まりやすくなります。

投資家から出資された資金が審査を経て事業会社に貸し出されると、ソーシャルレンディング会社は貸出資金や利息の回収、事業会社への継続的なウォッチングを開始します。

事業会社が支払う利息についてはソーシャルレンディング会社の利益となる手数料を差し引き、残りを分配金として投資家に還元していきます。

ソーシャルレンディングの魅力やメリット

ソーシャルレンディングには他の投資商品にはない様々な魅力やメリットがあります。

以下に簡単にそのメリットについてご紹介します。

預金にはない高い利回り

ソーシャルレンディングの利回りは低いものでも5%、中には10%を超えるものも珍しくありません。

これだけ高い利回りはかつて高金利時代だった日本の郵便貯金と同等かそれ以上の利回りとなります。

雀の涙程度の預金利率とは大きくかけ離れた利回りが期待でき、投資効率も高まります。

ソーシャルレンディングがこのような高い利回りを実現できるのには理由があります。

それはソーシャルレンディング会社が事業会社に課している高い融資利率です。

ソーシャルレンディングのファンド利回りが高いのはその高い融資利率によって実現されているのです。

事業会社はたとえ優れた事業アイデアがあっても、銀行から融資が受けられない場合や急な運転資金が必要な場合があります。

銀行の融資審査は一般的に時間がかかるため、そのような事業会社はよりスピーディーに資金が受けられるソーシャルレンディングを通じて資金を調達しようとします。

貸し出すほうのソーシャルレンディング会社にとっては、それだけのリスクを引き受ける代わりに高い利回りを要求できます。

ただし、ソーシャルレンディング会社もやみくもに高いリスクを引き受ける訳ではなく、前述のように審査を通じて事業内容や回収リスクについての分析をおこなっています。

優れた事業アイデアがある事業者でも、その事業内容などが銀行の厳しい審査基準により正しく評価されずに融資が受けられない事業者が多数存在しています。

ソーシャルレンディングはそのような事業会社に高い融資利率を課す代わりに事業資金を貸し付け、投資家と事業会社、ソーシャルレンディング会社の三者がメリットを受けられる仕組みを目指したともいえます。

投資初心者や忙しいサラリーマンや主婦にも無理のない簡単投資

ソーシャルレンディングへの投資は一度資金を投じたら満期まで保有し、その間に受け取るリターンや元本部分の返済を待つだけの簡単な投資です。

株やFXなど値動きの激しいマーケットをチェックする必要や含み損を抱えて悩むこともありません。

これまで投資とは無縁だった方や普段は仕事で忙しいサラリーマンや家事や子育てで忙しい主婦でも無理のない投資が可能です。

しかも、小口で投資できますのでちょっとしたお小遣い程度の資金でも投資できます。

様々な投資先のファンドに少額で分散投資できる

ソーシャルレンディング会社の融資先は様々で、非常に多岐に渡る事業に資金を投じています。

投資家はソーシャルレンディング会社が提供する様々なファンドの中からファンドの募集期間や利回り、事業内容などをベースに選択できます。

また、ソーシャルレンディングの最低投資金額は1万円や10万円など比較的少額となっていますので、資金を様々なファンドに分散投資することも可能です。

多岐にわたるファンドの種類ですが、例えば新規の事業会社の運転資金から再生エネルギー開発のための資金、不動産会社の不動産仕入れ資金などがあります。

自分が興味のある分野や詳しい分野に投資することができます。

様々なファンドに分散投資することで高いリスク分散効果が得られます。

ソーシャルレンディングのデメリット・リスクとその対処法

ソーシャルレンディングには、このように高い利回りや様々なファンドへの分散投資が可能などメリットや魅力があります。

しかし、一方であくまで投資ですのでソーシャルレンディングのもつリスクやデメリットにも十分な理解が必要です。

重要なことはリスクへの正しい理解とその対処法を考えて実践していくことです。

ソーシャルレンディングへの投資で理解すべきリスクやデメリット、対処するにはどうすれば良いのかについての考え方についてご紹介していきます。

元本保証の有無と元本毀損リスク

高い利回りを実現しているソーシャルレンディングですが、リスクの一つとして「元本毀損リスク」があります。

元本毀損リスクとは投資したお金がファンドの資金回収に失敗するなどして戻ってこないリスクです。

ソーシャルレンディングファンドの中には元本保証を謳っているものもあります。

また投資家から集められた資金をソーシャルレンディング会社の資金とは分別管理している会社もありますが、投資信託のような外部監査が入らないものであるために有効性についての客観的な保証はありません。

この元本毀損リスクですが、主に以下の2つのケースが考えられます。

事業会社の倒産や返済遅延・返済不能リスク

最初のリスクですが、ソーシャルレンディング会社が貸付けた事業会社の倒産や返済遅延、返済不能などによって資金回収が上手くいかない貸倒れリスクです。

事業が当初の計画通り上手くいかなくなったり、他の資金調達手段が見つからなくなって返済できなくなると投資資金が戻ってこなくなる可能性があります。

幸いにも日本国内のソーシャルレンディングについては直近3年間において企業向けのものでは大きな貸し倒れ案件は発生していません(2018年10月現在)。

ただし、個人事業者向けのものでは金額は小さいものの、延滞や債権未回収案件はたびたび発生しているのが実態です。

そのためソーシャルレンディング会社でも、事業会社の財務体質や事業案件の収益性などによっては銀行と同じように担保や保証人を要求してリスクを緩和する努力はしています。

ソーシャルレンディング会社の事業継続リスク

また別のリスクとしては、ソーシャルレンディング会社自体が倒産するという事業継続リスクがあります。

このために前述のように元本保証や担保付きのファンドであってもそれらが全くのノーリスクである保証にはなりません。

また、倒産にまでは至らなくても、事業継続が不明となったり、新規案件の募集停止となる会社もあります。

従って、ソーシャルレンディング会社はそれなりの規模や実績のある会社を選ぶことが重要になります。

ポンジスキームの可能性

さらに元本毀損リスクに関連していわゆる「ポンジスキーム」と呼ばれる虚偽のファンドが存在するリスクも考慮する必要があります。

海外では実際にこの手のポンジスキームが摘発され、投資家の資金が勝手に流用されて戻ってこないケースもあります。

日本国内でもポンジスキームではないものの、それに似たケースや虚偽表示によって募集をおこなったソーシャルレンディング会社が金融庁から行政処分を受けるケースもあります。

流動性リスク

ソーシャルレンディングは、一度投資すると満期まで中途解約できないものがほとんどです。

もし中途解約できても多額のペナルティが課される場合もあり、実質的には中途解約できないと考えたほうがいいでしょう。

また、ソーシャルレンディング会社が行政処分などを受けると、一時的に払い戻しや分配金の支払いが遅延する可能性もあります。

従って投資資金は満期まで拘束されますので、ソーシャルレンディングへの投資はあくまで余剰資金でおこなうことが大切です。

リスクに対して考えられる対処法とは?

元本毀損リスクや流動性リスクは投資初心者でなくても怖いものですが、リターンを得るにはそれなりのリスクはつきものです。

ただし、リスクをできるだけ抑えるための対処法は考えられます。以下にその対処法についてご紹介していきます。

小口で分散投資する

投資では「卵を一つのカゴに盛るな」という相場の格言があります。

この格言に当てはまるのが分散投資です。

先ほどから投資は余剰資金でおこなうことを強調してきましたが、余剰資金が潤沢にある場合は別として、たいていはその資金には少なからず限度があります。

限られた資金を有効かつリスクを抑えて投資するには、資金を小口に分けて様々なソーシャルレンディングファンドに分散投資することが重要です。

担保・保証付きファンドに投資する

リスクを緩和する方法としては担保や保証付きのファンドを選んで投資することが考えられます。

もちろん先ほどからご紹介しているように完全な保証というものはありませんが、実績のある大手のソーシャルレンディング会社のファンドを選べば、その有効性が高まる可能性があります。

担保付きのファンドなら担保カバー率が高いものを選べば、万が一の場合でも担保対象となっている不動産や動産などを競売にかけたりして資金回収に充てることができ、リスク緩和につながります。

満期までの期間が短いファンドに投資する

ソーシャルレンディングファンドには満期までの期間が短いもので1カ月から、長い物だと数年にも及ぶものがあります。

満期までの期間が長いファンドは、その間に発生する事業リスクや元本未回収リスクなどが高まります。

従ってリスクをできるだけ抑えるには期間の短いファンドに投資し、投資資金の回収と投資のサイクルを短いサイクルで繰り返すことが方法として考えられます。

期間の短いファンドはそれだけ利回りが低い傾向にありますが、反対にリスクも高まりますので、そのバランスを上手く考慮し、許容できるリスクの範囲で投資にあたることが大切です。

信頼できる事業者を選ぶ

ソーシャルレンディングでは、投資先の事業会社だけでなく、運営しちるソーシャルレンディング会社自体の倒産リスクも考慮する必要があります。

その対処法として考えられるのはできるだけ実績がある大手の会社を選択することです。

特に親会社が大手の金融グループの場合、万が一破綻などのリスクが発生しても親会社からの増資などそれなりの対策が取られる可能性もあります。

まとめ

ソーシャルレンディングはその収益性の高さから今後もさらに発展、拡大していく可能性が高いといえます。

忙しい方や投資経験豊富なベテラン投資家にも魅力的なソーシャルレンディングですが、あくまで余剰資金でおこない、投資を開始したらソーシャルレンディング会社からの情報は小まめにチェックすることが重要です。(提供: The Motley Fool Japan


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