今年も1〜2月にかけて受験シーズンが到来する。2019年は「老後2,000万円問題」が波紋を広げたが、老後の生活資金の形成に向けては、子どもの学費が大きな負担となるケースも多い。そのため、早いうちから負担に備える資産運用を検討しておきたいところだ。

子どもの学費はどれくらい掛かる?

学費
(画像=PIXTA)

まず子どもの学費は一体どれくらい掛かるのかを最初に把握しておこう。

文部科学省が実施している「子どもの学習費調査」では幼稚園から高校までの学習費が、日本学生支援機構(JASSO)の「学生生活調査」では大学生や大学院生などの学費や生活費が公表されている。

まず文科省の最新データを参照すると、幼稚園から高校まですべて公立に通った場合の15年間の学習費は約541万円、幼稚園のみ私立に通った場合は約635万円、幼稚園と高校を私立にした場合は約788万円、すべて私立を選んだ場合は約1,830万円となっている。

一方、JASSOの調査では、国立大学に通った場合の4年間の学費の合計は約257万円、私立大学に通ったケースでは約544万円となっている。

この2つの調査結果を合算すると、「幼稚園から高校まで公立/大学は国立」の場合は「541万円+257万円」で798万円となる。「幼稚園から高校まで私立/大学も私立」の場合は「1,830万円+544万円」で2,374万円となる。

これが子どもを大学まで通わせた場合の1人当たりの学費の平均値で、子どもの数が増えると、2倍、3倍となっていく。自宅外から大学などに通う場合は家賃や生活費も家計の負担となり、大学院や博士課程に進学する場合はさらに学費がかかることも想定しておくべきだろう。

生涯給与と子どもの学費

こうした子どもの学費や生活費についての数字をおさえたうえで、日本人の生涯給与と比較してみよう。独立行政法人「労働政策研究・研修機構」は「ユースフル労働統計」を毎年実施・公表しており、その中で学歴別・男女別の生涯賃金についての平均値が紹介されている。

2018年版データによれば、大学・大学院卒の人の生涯賃金は男性の場合は2億7,000万円、女性の場合は2億2,000万円となっている。高校卒の人は男性の場合は2億1,000万円、女性の場合は1億5,000万円、中学卒の人は男性の場合は2億円、女性の場合は1億4,000万円だ。

この数字はフルタイムの正社員として60歳まで働いた場合の数字で、退職金が含まれていないことや、働く企業の規模によっても生涯賃金の平均値が変わることなどに留意する必要はあるが、日本の平均的な数字として参考にできる。

では、もし大学・大学院卒の男性のみが働いている家庭で子ども1人を大学まで卒業させた場合、生涯賃金に占める学費の割合はどれくらいになるだろうか。この場合の1家庭で得られる生涯賃金は2億7,000万円で、子どもが「幼稚園から高校まで公立/大学は国立」(約798万円)のケースでは約2.9%を子どもの学費が占めることになる。

この割合は大きいように見えないかもしれないが、「幼稚園から高校まで私立/大学も私立」(2,374万円)のケースでは約8.7%、さらに子どもが2人いて両方ともこのケースにあてはまる場合は、生涯賃金の約17.4%を子どもの学費が占めることになる。

どのような資産運用の方法がある?

このように家庭の状況によっては学費の負担がそれなりに重いものになる。失業リスクなどを考えれば、資産運用によって自由に使えるお金を増やしておいたほうが安心であることは間違いない。

資産運用には「株式投資」「投資信託」「不動産投資」などさまざまなものがある。ちなみに金利がつく「預貯金」も資産運用の一つではあるが、リスクは小さいもののリターンも小さいため、老後に備えた資産形成としてはやや不安が残ることは否めない。

株式投資や投資信託、不動産投資などの資産運用は、リスクはやや大きくなるもののリターンも増えるため、上手に活用することで老後2,000万円問題などに備える手段となり得る。国も「貯蓄から資産形成へ」のスローガンの下、個人投資が促進されるさまざまな制度を打ち出している。

例えば最近では「NISA」や「iDeCo」という言葉を聞いたことがある人も少なくないはずだ。NISAは2014年に導入された税制優遇制度で一定投資枠内での配当などが非課税となるもの、iDeCoは税制優遇の恩恵がある個人型確定拠出年金で、それぞれ新たな資産運用の方法として注目を集めている。

学費の準備と老後の生活資金も今一度考えてみよう

子どもの学費の負担を考える場合、自分の生涯賃金がいくらぐらいになるのか、といった点や子どもの数を考慮する必要がある。そのうえでリスクやリターンを勘案して、どのような資産運用が適切なのか比較することがポイントだ。

受験シーズンを前にすると子どもの進学先などを考えることについ集中しがちだが、学費の準備と老後の生活資金についても今一度考えておくといいだろう。