ときどき、「ETFで減配」という表現を見かけます。

内容をよくよく読めば「1株辺りの配当金額」が減っていることを指しているケースもありますが、「配当利回りが下がっている!」「減配している!」と慌てている方もいるように見受けられます。

かなり基本的な内容ではありますが、今回は「ETFにおける配当の考え方」について書きたいと思います。

ETF
(画像=Getty Images)

配当の基礎知識

本題に入る前に、簡単におさらいです。

配当とは

基本的に企業の利益の一部を切り出して、株主に支払うことで利益の還元を行うものです。

配当性向とは

純利益のうちどの程度を配当に充てているかを表す指標です。

100%の場合全ての利益を配当に充てている事になります。

配当性向が100%を超えている場合は利益以上の配当を支払っている事もあります。「タコ配」と呼ばれます。

配当性向がそこそこ高い場合利益の大半を株主に還元している!優良企業だ!…とも考えられますが、米国株は余程のことが無い限り減配をしません。

そのため、配当性向の高さは増配余力と捉えることができます。

高配当銘柄でも配当性向があまりに高すぎる場合、苦し紛れの増配をするか、増配を断念する可能性もあるので注意が必要です。

配当利回りとは

「算出時点の配当金額÷算出時点の株価」です。

年率で計算されます。

例えば、配当が年間10ドル、現在の株価が200ドルなら配当利回りは5%と言う事になります。

この計算式のため、配当金額据え置きで株価が上がれば配当利回りは下がることになります。

YoCとは

Yield on Costの略で、「算出時点の配当金額÷購入時点の株価」です。

年率で計算されます。例えば、配当が年間10ドル、購入時の株価が100ドルの場合YoCは10%になります。

ETFの配当とは?

ETFでも配当金(分配金)が貰えるものがあります。

S&P500連動のものであればSPYやIVVやVOO、全米株式ならVTI、高配当ETFで有名なものではHDVやSPYDなどでしょうか。

コモディティ連動のものは無配のものもありますが、ここでは前述の株式ETFを取り上げようと思います。

ETFは複数の銘柄で構成されているので、当然その組入れ銘柄からの配当があります。

これを原資として、信託報酬などコストを控除した残りを分配金として投資家に還元します。

そのため概ね組入銘柄の配当利回りや配当金額と組入比率に合わせて、ETFの分配金利回りや分配金額が決定されます。

S&P500連動ETFは配当利回りが低い?

S&P500連動のETFは米国株投資家の中では最適解ともいわれるインデックス投資の王道ですが、配当金が低いことをネックと捉える投資家の方もいるようです。

確かに10月末時点のVOOの分配金利回りは1.8%程度であり、他の高配当個別株や高配当ETFと比べれば低いと言わざるを得ません。

しかしそもそも、ETFを用いたインデックス投資をしている方の多くは長期的に見て、米国市場の成長を信じているS&P500に賭けていると思います。

そのため、見るべきは目先の分配金利回りよりも長期で見た場合のYoCの成長だと思います。

もし株価が成長していき、例えば2倍となったとしましょう。

もし分配金利回りも今と変わらず1.8%であるならば、YoCは3.6%となり、その人が買った時の価格から見れば分配金利回りは高配当銘柄に近い水準まで上がります。

逆に高配当個別株で配当利回り4%の銘柄があったとしても、増配率も悪ければ、配当利回りはあまり4%から変わりません。

株価が成長しなければYoCも変わらず、キャピタル収入もインカム収入も乏しいものになる可能性があります。

S&P500連動ETFの分配金は、今はあまり高くないように見えるかもしれません。

しかしここ数年の株高の中でも1.8%の分配金利回りがあるのは、むしろ十分な水準だと思っています。

経済が不調になれば構成銘柄の減配のリスクもあるものの、今の水準より株価が下がった場合相対的に配当利回りが上がり、2%を超えてくる可能性もあります。

JNJやPGのように高配当銘柄と言われていた銘柄も、現在の配当利回りが2.5%前後であることを考えると、それほど意識するような差ではないのかもしれません。

高配当ETFで減配?

さて、冒頭にもあったように、ときどき、「ETFで減配」という表現を見かけます。

例えばHDV、SPYD、VYMなどの高配当ETFで分配金利回りなどを比較した時、「このETFは減配したことがある」「このETFは増配率がイマイチ…」と言った流れですね。

これは文字通り捉えればその通りなのかもしれませんが、発言の意図がよくわかりません。

個別株の場合は減配/増配率低迷により、その企業の増配ポリシー(=株主還元の姿勢)を疑いたくなるのはわかります。

しかしETFの場合、組入れ銘柄の変更や組入れ比率の変更で分配金は金額も利回りも上下します。

ETFの特徴から言えばHDVなどはスマートベータのETFであり、組入れが頻繁に行われ、ポリシー自体も大雑把に言えば「経営盤石でワイドモートさがある高配当銘柄」です。

そのため、「ヤバそう」「ワイドモートないかも」と言った理由で配当利回りが高い銘柄が弾かれた場合、ETFとしての分配金は低下します。

逆にSPYDは配当加重なので、S&P500(不動産含む)の中から、配当が高い順に並べて選んでいるので簡単には分配金額は低下しません。

分配金利回りを最重視されているからです。

代わりにHDVのような「ヤバそう」判断はされないので、純粋な配当特化の逆張りETFになり得ます。

まとめ

個別株投資とETF投資では「配当(分配金)利回り」と「増配、減配」に対する考え方を変える必要があります。

個別株、特に高配当銘柄における減配はかなりネガティブな印象を与える可能性が高いですが、ETFは組入れの変化により、容易に減配する可能性もあります。

また、配当(分配金)の金額と株価、利回りの関係も意識して、現状の配当利回りだけにとらわれず、YoCも意識した銘柄選定ができると良いかもしれませんね。

もちろん将来は誰にもわからないので、特定銘柄の株価成長だけに賭けず、程よい分散も必要だとは思います。

各自のリスク許容度や投資スタンスに合わせて最適なポートフォリオを心掛けましょう。(提供: The Motley Fool Japan


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