アパート・マンション経営における大きな脅威の一つは災害リスクといえます。阪神淡路大震災では10万棟以上の家屋が全壊しました。所有物件を入居者が利用できない状況は家主としては死活問題のため、一刻も早く復旧したいはずです。しかし建て直し費用が全額自己負担となると、かなりの出費になります。これを補てんするために加入するのが地震保険ですが、保険金で建て直し費用の全額をカバーできるのでしょうか。

目次

  1. 一般的な地震保険の契約保険金だけではアパートの再建築はできない
  2. 特約をつけると損害額以上の保険金を受け取れることもある
  3. 地震や火災への備えは手厚くすべき?
  4. 資産全体を見てリスクをコントロールする

一般的な地震保険の契約保険金だけではアパートの再建築はできない

地震保険,建て直す
(画像=metamorworks/Shutterstock.com)

結論から述べると、契約内容と損害の状況によっては保険金で再建築費用の大部分をまかなうことができます。そのためには、地震保険の補償に一定率を上乗せするための特約をつける必要があります。

地震保険は、火災保険とセットで加入しなければなりません。保険金額は「火災保険の保険金×30~50%」と定められています。火災保険の保険金額は、新築に必要な「新価(再調達価額ともいいます)」または新価から経年劣化分を差し引いた「時価」のいずれかです。

つまり一般的な契約では、最高でも建て直しに必要な金額の半分までしか補償されないのです。
ではどのような仕組みを使えば、再建築費用の大部分をまかなう補償を受けれるのでしょうか。

特約をつけると損害額以上の保険金を受け取れることもある

保険会社によっては、足りない部分を特約で補うことができます。例えば、「地震による損害に対して、火災保険の50%を支払う」という内容の特約です。「保険金額を新価」にして「地震保険の割合を50%」とし、さらに「追加で50%を補償する特約をつける」ことで損害額をすべてカバーすることができます。

ただし、この特約は「地震による火災」のみに適用されます。火災保険では、地震そのものによる倒壊は補償されないからです。

また地震保険の保険金には上限額があり、「時価」かつ「一戸につき5,000万円(マンションやアパートの場合は世帯数×5,000万円)」までしか補償されません。上限額は損害の程度によっても変わり、全損の場合は時価の100%、大半損の場合は時価の60%です。

例えば火災保険を新価で設定し、追加50%の特約をつけたとします。この建物が地震による火災で全焼し、建て直すためには1億円かかるとします。時価が5,000万円と評価された場合、地震保険から受け取る保険金が5,000万円ですが、特約によって5,000万円が支払われるため、再建築費用1億円をまかなうことができます。

地震保険自体の保険料や保険金額はどの保険会社でも同じですが、火災保険や特約の内容は異なります。これは、加入する保険会社を選ぶ際のポイントになるでしょう。

地震や火災への備えは手厚くすべき?

損害保険による地震への備えは、最大限手厚くしておくべきなのでしょうか。

これは一概には言えず、リスクをどう捉えるかによって変わるでしょう。保険料は保険金額を増やしたり特約をつけたりすれば高くなりますし、地域や建物の構造によっても異なります。

例えば、東京の(準)耐火建築物でない木造アパートの場合、地震保険の保険料は保険金額1,000万円につき年間3万8,900円です(2019年時点)。保険金額を1億円としたときの月額保険料は、3万2,416円となり、補償を手厚くしようとすると保険料が高くなってしまうので、アパート経営の収益を圧迫してしまうおそれがあります。

また別の例で考えると、空室率が高くほとんど利益が出ていないアパートの場合、さらに費用をかけてまで守ることは合理的とは言えないでしょう。

複数棟を保有している場合は、地域が分散されているかどうかも重要です。保有物件が地震ですべてなくなったら、生活はどう変わるか。不動産以外の資産やその他の収入なども鑑みて、保有物件を守る地震保険の補償内容を決めるといいでしょう。

資産全体を見てリスクをコントロールする

地震保険の保険金は、最高でも建て直しに必要な金額の50%までですが、特約によっては100%の補償を受けることもできます(ただし特約が適用されるのは地震による「火災」のみで、地震の揺れによる倒壊は対象外です)。どこまで補償を手厚くするかは、保有物件が地震の被害を受けることで、資産や収入、人生設計にどう影響するかを考慮した上で決める必要があります。資産全体を見て考え、リスクをコントロールすることが肝要です。(提供:オーナーズ倶楽部

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