「空室対策をしたいけど、コストのかかる大規模なリノベーションはできない」というオーナーは多いでしょう。しかし、多額のコストをかけなくてもリフォームで見栄えを良くすることはできます。今回は、空室対策として効果があり、入居率アップにつながる低コストリフォームの具体例や選択基準について解説します。

<目次>

1. 大規模リノベーションと低コストリフォームの選択基準

2. 空室対策としてリフォームを行う3つのメリット
(1)物件の価値が高まる
(2)近隣物件との差別化が図れる
(3)入居者募集広告でセールスポイントになる

3. 空室対策の目的と低コストリフォームの具体例
(1)リフォームは「投資」なので目的を明確に
・現状を維持したい
・競争力を高めて賃料をアップしたい
(2)低コストリフォームの具体例3つ
・フロアタイルを張り替える
・壁をデザインクロスに張り替える
・ガスコンロをIHに替える

4. まとめ

1. 大規模リノベーションと低コストリフォームの選択基準

空室対策,低コストリフォーム
(画像=Fusionstudio/Shutterstock.com)

空室率の改善のために大規模リノベーションを検討したものの、投資回収が難しいと判断し、見送ったオーナーは「低コストリフォーム」の検討をおすすめします。

「大規模リノベーション」と「低コストリフォーム」、選ぶ際のポイントは、「投資コストを回収できる見込みがあるか」どうかです。

賃貸物件をある程度の期間所有していると、必ず修繕の問題が生じます。そのタイミングで、不動産業者から大規模なリノベーションをすすめられた経験のあるオーナーも多いでしょう。しかし大規模なリノベーションには、それ相応のコストが発生します。賃料相場の下落や空室率の上昇によって収益が悪化している中では、大きな出費には不安があるでしょう。

人口が増加している時代は、賃貸物件を所有すればすぐに入居者が決まりました。不動産管理会社にすべて任せて、安定した家賃収入を得ていた人も多かったはずです。しかし、日本の人口が減少に転じたことで、入居者獲得の難易度は上がっています。厳しい入居者獲得競争に敗れ、やむなく賃貸物件を手放すオーナーも少なくありません。

大規模リノベーションをしても、空室率が改善するとは限りません。また空室率が改善したり、賃料が上がったりしたとしても、投資コストを回収できるかどうかはわかりません。不動産業者のすすめるままに大規模リノベーションに踏み切ることに対しては、慎重に判断しなければなりません。

2. 空室対策として「リフォーム」を行う3つのメリット

リフォームはポピュラーな空室対策であり、実施すれば以下のようなメリットを得られます。

(1)物件の価値が高まる

リフォームを行うことで得られる最大のメリットは、設備や内装、場合によっては外観が新しく綺麗に使いやすくなることで、物件の価値が高まることです。

賃貸経営において空室が続くことは収益機会の逸失です。物件の価値を高めて、入居検討者に選ばれる物件に変える必要があります。物件の価値が高まれば、空室リスクを回避できるだけでなく、家賃を上げることもできるでしょう。

(2)近隣物件との差別化が図れる

リフォームの内容によっては、競合する近隣物件との差別化を図ることができます。

例えば、壁のホワイトクロスの張り替えや床のフローリング化などは多くの物件でやっていることですが、他の物件では導入していないような人気の設備を導入すれば、選ばれるポイントになる可能性は高いでしょう。

パナソニックがリフォーム経験者に聞いた「おススメ設備5選」は、「宅配ボックス」「室内物干しユニット」「センサー付きスイッチ」「お掃除機能付き設備(換気扇、トイレ便器など)」「シーリングファン」でした。これらはいずれも、多くの物件ではまだ標準設置されていない設備のため、取り入れることができたならば入居検討者に対するアピールポイントになるでしょう。

(3)入居者募集広告のセールスポイントになる

リフォームを実施すると、入居者募集広告に「リフォーム済み」と表記することができるため、セールスポイントになります。

「リフォーム」という言葉には「新しい」「清潔」「便利」などのイメージがあります。内覧に結び付く確率は高くなるでしょう。

3.空室対策の目的と低コストリフォームの具体例

ここでは空室対策の明確な目的設定と考え方、目的別に行う実際の低コストリフォームの具体例を見ていきます。

(1)リフォームは「投資」なので目的を明確に

リフォームは、ある程度の出費をともなう「投資」です。投資である以上は、利益に結びつけなくてはなりません。

そのためには、リフォームの目的を明確にする必要があります。「リフォームによってどんな効果が得られるか」「投資額を回収できるかどうか」は、オーナーとしてきちんと把握しておかなければなりません。

・現状を維持したい

バリューアップではなく、「現状を維持する」ために行うリフォームもあります。

リフォームのもともとの定義は、傷んだところを修繕する、あるいは劣化したところを回復させる「原状回復」です。目立った傷みがある部分を直すだけなら、それほど費用はかからないでしょう。

ただしこの原状回復かリフォーム目的の場合、マイナスを補うだけなので、物件としての魅力が向上するわけではありません。

・競争力を高めて賃料をアップしたい

この目的でリフォームをする場合は、ある程度の費用を覚悟しなければなりません。しかし効果が確実に上がることが期待できます。

例えば、内装を近隣の物件にはないような凝ったデザインにしたり、人気の設備を導入したりする必要があります。この場合の費用は、賃料をアップするための先行投資ということになります。

次からは、空室対策としての低コストリフォームの具体的な方法例をご紹介しましょう。

(2)低コストリフォームの具体例3つ

・フロアタイルを張り替える

フロアタイルとは塩ビ素材のタイル床材のことで、フローリングの上から貼ることができ、本物のようなリアルな質感を楽しむことができます。

例えばリビングルームにあたる居室を濃い色合いのウッド調のフロアタイルに張り替えると、クラシックで落ち着いたイメージになり、同じウッド調でも暖かみのある明るい色合いのものを選べば、部屋がナチュラルで開放感のある雰囲気になります。大理石を模したフロアタイルならゴージャスな雰囲気にもベーシックなシンプルでスタイリッシュな部屋にすることも可能です。
キッチンや洗面室、トイレなどの水回りにはレンガタイル風のフロアタイルもフレンチシックな印象になるため向いています。

フロアタイルの費用の目安は、6畳の部屋で5万~10万円程度です。フロアタイルなら部分的に交換することもでき、原状回復も簡単なので賃貸物件に最適です。

・壁をデザインクロスに張り替える

デザインクロスとは、通常の壁紙クロスにキャラクターや模様、風景などを印刷したクロスのことです。デザインクロスを張れば、部屋がアート風に様変わりします。

デザインクロスは、1平方メートルにつき700~1,500円が相場です。壁1面なら1万円から1万5,000円くらいでしょう。
デザインクロスに張り替える場合、業者に依頼するのが一般的ですが、自分で張り替える場合はさらにコストを抑えることができます。ただし、素人が張るとシワができたりするので、業者に依頼をした方が無難です。

すべての壁のクロスを張り替える必要はありません。狭い範囲であってもデザインクロスを効果的に活用すればおしゃれでモダンな部屋になるため、内覧者に対するアピールポイントになるでしょう。

デザインクロスの絵柄については、ターゲットとする入居者の属性に合うものを選ぶ必要があります。例えばキャラクターものやイラストの施されたクロスは若年層に喜ばれますが、中高年層には抵抗があるでしょう。逆に木目調や和風、織物調であれば中高年層には受けるでしょうが、若年層には地味だと思われるかもしれません。男女の好みの違いもあるため、ターゲットに合わせた選定は重要です。

・ガスコンロをIHに替える

賃貸住宅経営における主なリスクの一つが火災です。オーナーだけでなく入居者も火災を起こしたくない気持ちは同じでしょう。

そこで有効なのが、キッチンのガスコンロをIHに替えることです。火災のリスクが減るだけでなく掃除も簡単なので、入居者獲得にアピールポイントとなるでしょう。

最近はキッチンがIHであることをセールスポイントにする広告が増えているので、IHの費用対効果は高いかもしれません。ガス漏れの心配もなくなるので、一石二鳥です。

このように、低コストリフォームは目的を明確にしてから方向性を決定することが大切です。「現状を維持するため」なのか、「競争力を上げて賃料アップを狙うため」なのか。現状維持目的であれば、定期的に発生するコストを現在の利益でまかなえるかどうかを確認します。賃料アップを狙うという目的であれば、リフォームを実施した後どのような効果が得られたかを測定し、次回のリフォームの意思決定に役立てると、さらなる収益のアップにつながります。

4.まとめ

空室対策に有効な低コストリフォームについて見てきました。大規模なリノベーションをしなくても、入居者獲得に有効なイメージチェンジができることがおわかりいただけたと思います。最後に、今回のポイントをまとめておきましょう。

・「大規模リノベーション」と「低コストリフォーム」は、投資コストを回収できる見込みがあるかどうかで判断する。
・リフォームをすれば物件の価値が高まり、やり方によっては近隣物件との差別化も図れる。広告戦略の上でも有利になる。
・リフォームは「現状維持」や「賃料アップ」などの目的によって、規模や内容が変わる。
・リフォームをするなら、床材・デザインクロスの交換や、IHキッチンに換えるなど、リフォームしたことがわかるようにすることが望ましい。(提供:オーナーズ倶楽部

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