モトリーフール米国本社、2020年2月3日投稿記事より

新型コロナウイルスの猛威が拡大を続ける中、多くの製薬・検査関連企業が自社の取り組みをアピールしています。

ここでは今回のウイルス脅威からプラスの影響を受けそうな医薬品銘柄を3つ紹介します。

医療,研究
(画像=Getty Images)

1. ギリアド・サイエンシズ(NASDAQ:GILD)

バイオ医薬品大手のギリアドは、抗ウイルス薬開発の可能性で注目を集めています。

新型コロナウイルス感染が確認され、悪化の状態にあった米国の患者に同社のレムデシベルを投与したところ、数日後に症状が改善に転じたことが報じられました。

期待が高まる一方、レムデシベルは本来、エボラ出血熱の治療薬として開発段階にある新薬で、新型肺炎向けに開発されたものではないこと、現状は1件の症状改善例のみで、今後クリアすべき点が多く存在するということを念頭に置く必要があります。

ギリアドは現在、中国当局と協力して同新薬のランダム(無作為抽出)化比較臨床試験開始に向け取り組んでいますが、各国政府が同新薬を安全に使用できると判断するのに必要な材料として、同社が十分な臨床データを揃えるのには少なくとも数カ月はかかるようです。

2. モデルナ(NASDAQ:MRNA)

モデルナが取り組むのは、新型コロナウイルスの感染を予防するワクチン開発です。

同社の歴史は比較的浅く、実績も多くはありませんが、今年1月に感染症流行対策イノベーション連合(CEPI、ワクチン開発促進を目的としダボス会議で発足した、国際的な官民連携パートナーシップ)から新型コロナウイルスのワクチン開発向けに助成金を受けたことで、注目されています。

同社はメッセンジャー・リボ核酸(mRNA)に注目し、免疫システムが感染した細胞を認識するのを助ける仕組みの研究で知られ、mRNAアプローチによる新型コロナウイルス向けワクチンの可能性に期待が集まっています。

しかし、同社はmRNAを利用したいくつかのワクチンを試験中ですが、まだランダム化比較臨床試験で明確な効果を示すデータは得られていません。

同社が複数進めている他の疾患向けワクチン開発で最も進んだ段階にあるサイトメガロウイルス感染症(CMV)向けの「mRNA-1647」でも、感染予防の効果を裏付けるランダム化臨床試験の結果を示すには至っていません。

3. ロシュ・ホールディングス(OTC:RHHBY)

世界的な製薬企業であるロシュは、新型コロナウイルスの感染診断を2時間以内で可能にする検査ツールの開発を既に終えています。

より迅速な感染診断を可能にすることで、明らかな症状が現れる前の感染者から家族や同僚に感染が広がることを防ぐ一助になると期待されますが、中国では感染が深刻な都市が閉鎖されていることで、同社の検査に必要な器具一式を必要な場所に届けることが困難な状況が生じています。

今後の展望

新型肺炎への恐怖が過剰にもなりかねない現在の状況は、ウイルス診断の需要を急激に高め、結果、高価なロシュの検査ツールの売り上げにつながると考えられます。

しかし、同社の昨年の売上高638億ドルのうち、診断薬事業部門は134億ドルで、業績全体への影響は限定的となりそうです。

モデルナのmRNAアプローチによるワクチン開発は期待を集めていますが、ランダム化臨床試験の結果が示されるまでは待つのが得策です。

効果を把握するためには風邪やインフルエンザの1シーズン全体を追跡する必要があり、つまり、同社が新型コロナウイルス向けワクチンの生産にこぎつけることが可能かを判断するには1年以上を要するということです。

ギリアドにしても、レムデシベルの本来の目的であるエボラ出血熱治療の効果について、2018年に示された臨床結果が期待外れなものだったことを鑑み、新型コロナウイルスに対しても信頼できる判断材料が示されるまでは様子見をすすめます。(提供: The Motley Fool Japan


免責事項と開示事項 記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Cory Renauerは、ギリアド・サイエンシズ株を保有しています。モトリーフール米国本社は、ギリアド・サイエンシズ株を保有し、推奨しています。