「老後2,000万円問題」が日本国内で波紋を広げ、退職後の生活に向けた資産形成のために、新たに投資を始めることを検討する人も増えている。その一方で、せっかく始めた投資をやめてしまう人もいるという。

こうした人はなぜ投資をやめてしまったのか。投資とはそれだけ多くの人にとって怖いものなのだろうか。

多くの人が投資家デビューを果たした2019年

投資
(画像=PIXTA)

投資運用業を手掛けているスパークス・アセット・マネジメントは2019年12月、「日本株式市場の振り返りと展望に関する意識調査2019」の結果を発表した。

この調査結果の中では、投資経験者や投資家の実態について触れられており、現役投資家の中で2019年に新たに投資を始めたという人は14.4%に上っている。特に20代女性で新たに投資を始めた人が多く、回答者の41.2%を占める結果となった。

投資家が投資に対して、より積極的になるきっかけとなったニュースについても聞いており、トップは「老後2,000万円問題」だった。回答者790人のうち89人が回答しており、2位は「消費税増税」が58人で続いている。

新たに投資を始めた人の中にも、このような生活資金に対する不安が拡大しているというトピックスがきっかけとなった人は少なくないはずだ。海外の新興国に比べて日本の成長率が大きく見劣りする中で将来に不安を持つ人も増えており、資産を増やすことに関心を持つ人は今後より増えていくと考えられる。

投資をやめてしまった人とその特徴

ただ一方で投資をやめた人も一定割合存在するということにも注目したい。老後2000万円問題や日本の経済成長への不安が募る中にあって、なぜ彼ら彼女らは資産運用という方法を続けることをやめてしまったのだろうか。スパークス・アセット・マネジメントの調査では2019年に投資をやめた人についても調べているので、その調査結果をひも解いていこう。

調査対象となった1,000人のうち、「過去に投資をしていたが、現在はしていない」と答えた人は210人で、全体の21.0%を占める。そのうち投資の経験年数としては「1?3年程度」が24.3%、「1年未満」が20.5%となっており、10人に4人以上が3年以内に投資をやめてしまっている現状となっている。同社も「長期の投資を行わずに投資から離れてしまった人は少なくない」と分析している。

投資をやめた人に関しては、投資対象となっていた金融資産の傾向にも特徴がある。現役投資家は「投資信託」が49.9%となっているが、投資をやめた人は35.2%となっており、その差が14.7%もある。投資信託は投資の専門家に運用を一任することで、手間を省くことができる特徴があるが、こうした選択肢を選んでいなかった人が投資をやめる傾向にあるようだ。

ほかの調査でもこうした傾向が見て取れる。QUICK資産運用研究所が過去に発表した調査によれば、投資をやめた理由として16.5%の人が「取引が面倒だった」と答えているほか、「商品内容がよく分からなかった」が12.0%、「売買のタイミングが分からなかった」が9.2%に上っている。

投資経験が十分ではない人に適している投資手法は?

こうした調査結果から、投資経験が十分ではない人が検討する価値がある投資手法としてはやはり「投資信託」が挙げられるだろう。取引に掛かる手間も少なく済み、投資対象の銘柄や売買のタイミングについても投資の専門家が担ってくれる。個別株式の投資に興味がある場合でも、投資資産の一定割合を投資信託で構成することで、銘柄選択に関する精神的な負担も減らすことができるはずだ。

最近注目の「ロボアドバイザー」に資産運用を任すというのも選択肢も一つだ。ロボアドバイザーはアメリカで利用が拡大し、日本でも2016年ごろからサービスの提供が始まっている。AI(人工知能)などを活用した独自アルゴリズムにポートフォリオの作成や運用を一任し資産を形成していくというもので、すでに日本国内のロボアドバイザーに対する預かり資産も数千億円規模に上っている。

投資を長期にわたって続けることで、メリットも出てくる。「長期投資」にはいくつかの利点があり、その一つが収益に安定性をもたらすことだ。金融商品の価格は中長期的に増減を繰り返すが、長期にわたって投資を続けることで結果的に価格の振れ幅が小さくなっていく。つまり、極端に大きな利益も上げにくいが極端に大きな損失も回避できるということになる。

また、投資信託の申込手数料など購入時に1回だけ支払うコストに関しても、長期保有することで結果的に1年当たりの負担額が減ることにもつながる。

「長期投資」という目線で取り組もう

このような理由から、これから投資を始めるのであれば「長期投資」という目線で長年にわたって取り組み続けやすい手法をまず選んでおきたいところだ。その第一歩として、投資信託について、詳しい仕組みなどを調べてみてはいかがだろうか。