事業性評価の重要性と取組みが進まない理由【後編】
(画像=KPG_Payless/Shutterstock.com)

前編では事業性評価の取組みがうまくいかない「4つの壁」について説明した。

「意識の壁」「スキルの壁」「時間の壁」「お客様の壁」である。今回は、これら4つの壁を乗り越えるための営業店のマネジメントのあり方と、現場の行職員(営業担当者)の心構えや取組み方について説明する。

事業性評価の重要性をマネジメント層が理解

まずマネジメント側の態勢づくりについて説明したい。

①「意識の壁」の打破

1つ目は「意識の壁」の打破である。事業性評価の促進を阻む要因の1つに「審査目線から脱却できない」ことがある。実は、ベテラン層や管理職層ほど、この意識が強い場合が多い。「貸せる先か、貸せない先か」「貸せるなら、いくらまで貸せるのか」といった信用格付けやクレジットラインに対する「染み込んだ意識や習慣」がある。

これは意外と根深いものがあり、容易に解消できない。いわゆる正常先に対する意識はまだしも、要注意先に対して「積極的支援を行う」となれば、「そこまでのリスクをどうして取るのか」と考えてしまうのである。

これらの壁を打ち破るためには、おそらく支店長の力だけでは難しいだろう。金融機関のトップからのメッセージやビジネスモデル変革に対する意識付けが不可欠だと思う。

前編でも説明したとおり、多くの金融機関のビジネスモデルが限界に来ている。そうした中で金融機関が生き残る道は、お客様のために真に役立つ存在になることしかない。そのためには従来の延長線から脱却して、徹底してお客様の企業価値を向上させる伴走者になる道を選ぶしかない。

その基本ツール、起点となるものが「事業性評価」であるということを、まずはマネジメント層が理解する以外にない。

「貸せる先か、貸せない先か」だけの金融機関都合の目線ではビジネスが成り立たない。お客様の未来をより良いものに変えることで、お客様の満足度が高まり、自行庫が選択され、収益機会が増える。こうした当たり前のビジネスのあり方を刷り込むことが大事だ。

そして営業店においても、支店長自身が心からそうした変革や意義を理解して、日頃の営業活動の中に事業性評価の考え方を取り入れていくことが必要だ。これは地道かつ長い道のりになる。

意識改革とは本当に時間がかかる作業なのだ。

非財務分析の知識やノウハウが必要なだけに…