2019年の金融市場で大きな話題となったことの一つに米国債の「逆イールド」発生が挙げられる。最近耳にすることも多いかもしれないが、国債利回りにおける短期債の利回りが長期債を上回る異常な状態のことだ。「景気後退のサイン」とも言われ、金融市場では警戒されており、何度か株価急落のきっかけとなった。

逆イールドがどのようなときに発生し、景気後退とはどのような関係があったのだろうか。過去の局面を振り返りながら分析してみよう。

イールドカーブの基礎知識

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(画像=PIXTA)

逆イールドの基礎から説明しよう。通常の国債利回りは、償還までの期間が長いほど金利が高くなる。期間が長いと貸し倒れリスクなどが高くなるためだ。これを「順イールド」という。

利回り曲線(イールドカーブ)で考えると判りやすい。縦軸に債券利回り、横軸に償還までの期間でグラフを書くと、順イールドのときは右上がりになる。長短金利の利回り差が大きくなりグラフが立つ状態をスティープ化といい、金利差が縮小して寝る状態をフラット化という。通常、景気拡大局面ではスティープ化し、下落局面ではフラット化する。

では、どのような時に逆イールドは起きるのだろうか。基本的に短期金利は国の政策レートを反映し、長期金利は経済のファンダメンタルズを反映する。景気の減速局面でイールドカーブはフラット化する。さらに、政策レートが高止まりしていて短期金利が高いときに、景気の急減速懸念で長期債利回りが急落するときに逆イールドが発生することが多い。

18年12月から今回の逆イールドがはじまった

2018年12月3日、逆イールドが金融市場で2007年8月以来、約11年ぶりに発生した。米3年債が5年債利回りを上回った。過去の逆イールド発生時(2年債と10年債)にはいずれもが景気後退のサインだっただけに、市場にはリスクオフムードが拡がり、翌4日のNYダウは799ドル安と急落した。

米連邦準備制度理事会(FRB)が政策レートを上げている局面で、米中貿易摩擦の激化で景気減速懸念が広まったため逆イールドが発生した。ついで2019年3月22日、米3カ月債と10年債利回りで逆イールドが発生した。同日のNYダウは460ドル安となった。

そしてついに19年8月14日、最重要指標である米2年債と10年債で逆イールドが発生した。同日のNYダウは800ドル安と急落した。

景気後退になる場合、どのくらいの期間で突入するのか?

米国では80年以降の景気後退期が5回あるがそのいずれでも2年債利回りと10年債利回りの逆イールドが発生した。発生してから景気後退に入るまでの期間は平均で15.8カ月だった。たとえば、前回の景気後退局面はリーマンショック時の2007年12月〜2009年6月までだったが、逆イールド発生が2006年2月に発生し、22カ月のタイムラグを置いて景気後退に入った。

今回の2年と10年の逆イールド発生は2019年8月なので、あくまで過去の平均をあてはめると2020年12月頃に景気後退局面に入る可能性があることを示唆している。

現在は逆イールド解消、景気後退回避期待でNYダウは過去最高値

現在の市場は逆イールド発生時とは環境が変わってきた。FRBは2019年7月から10月まで3回の利下げを行い短期金利が低下している。米中貿易協議が進展し、第1段階の合意に進む可能性が高いと報道されており、一時1.4%台まで急落した米10年債利回りは1.7%台まで回復してきており、10月中旬頃からすべての逆イールドは解消されている。

今回の長期金利急落は、実際に景気急減速してのものではなく、米中貿易摩擦に対する不安感からきたものであり、足元の経済指標には堅調な内容も増えてきている。NYダウが19年11月に過去最高値を更新したのは、今回の逆イールドが景気後退の警告ではなかったことを示唆している可能性もありそうだ。

※当記事は2020年1月現在の税制・関係法令などに基づき記載しております。今後、税務の取扱いなどが変わる場合もございますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。(提供:確定拠出年金スタートクラブ


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