2019年8月、デービッド・コークが亡くなりました。兄のチャールズ・コークと共に石油化学企業コーク・インダストリーズを率いてきた米国屈指の大富豪です。日本ではあまり知られていないコーク兄弟ですが、彼らの活動は実業界よりむしろ政治の世界で有名です。

アメリカ政治と「リバタリアニズム」

スーパーリッチ,アメリカ人の会
(画像=lev radin/Shutterstock.com)

レーガン政権の誕生を転換点とし、アメリカはここ30年余りでリベラリズム政治が急速に退潮しました。その後、税・社会保障の再分配機能低下、雇用のオフショア化、労働法制の緩和などが急速に進み、中間層は没落し格差が拡大します。

思想的支えとなったのが経済学者のミルトン・フリードマンです。小さな政府を唱え続け「迷惑をかけない限り何をやっても良い、自由放任こそが善である」と主張する人物です。

彼が提唱する新自由主義は、「リバタリアニズム」と呼ばれます。アメリカ人富裕層の中には「リバタリアン」が少なくないとされ、その代表格がコーク兄弟です。

「繁栄のためのアメリカ人の会」がアメリカ政治に与えた影響

アメリカ政治に積極的に関与する圧倒的な資金力に支えられたコーク兄弟の活動は、「繁栄のためのアメリカ人の会(AFP=Americans for Prosperity)」を中心とする圧力団体の組織化から始まりました。一見草の根運動のようですが、団体には高額寄付者などから巨額の資金が集められました。

AFPの資金は、共和党などの政治家だけでなく、シンクタンク、さらにはジョージ・メイソン大学財団にも投じられ、ティーパーティー運動もAFPの資金で成り立ったとされています。こうしてリバタリアニズムの政治パワーは、アメリカの隅々にまで張り巡らされたのです。

もちろんアメリカ社会の一定層は、コーク兄弟の活動を支持しています。一方で民主党を軸とするリベラル派は、彼らの動きに神経をとがらせます。こうした様相はメディアにまで及び、まさにアメリカ社会の分断を如実に現わしているといえそうです。 (提供:ANA Financial Journal

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