中国武漢を中心に拡大の一途を辿る新型コロナですが、一方で大きな出来事は相場に多大な影響を与え、企業の成長を促進する一面もあります。

そこで今回は、注目を集めている新型コロナ関連銘柄を購入するべきなのかどうか、2002年に広まったSARSによって影響を受けた業種を振り返りつつ解説します。

グラフ
(画像=Getty Images)

SARS流行時の株式相場

今回の新型コロナウイルスの感染拡大と比較して上げられるのが2002年の重症急性呼吸器症候群(以下SARS)です。

2002年11月に中国広東省で患者が発見されたSARSはインフルエンザのように高熱や四肢の痛みを引き起こし、肺炎、最後には死亡する可能性もある病気でした。

実は2020年現在でも確実と言える治療法は確立されておらず、新型コロナ同様に対処療法と隔離・検疫が有効な手段として用いられました。

SARSの流行が本格化し始めたのは2003年1月下旬ごろで、感染は中国国内にとどまらず香港を含めた6大陸にまで広がりました。

これを受けてWHOは3月になってSARSと病名を付け、渡航自粛勧告を出し、世界がSARSに対して危機意識を持つようになりました。

SARSの感染が広まり、WHOの発表があった2003年1月~3月までの国内業種別騰落率を分析すると意外な結果となります。

  1. 海運業:騰落率12.0%
  2. 倉庫・運輸関連業:7.0%
  3. 鉄鋼業:6.6%

騰落率上位3つは、上記のようになっています。

当時の株式市場は年度末を控え調整段階にあり、SARSの影響もあり消費が冷え込んだせいもあって騰落率自体は低いですが、その中で海運業が1位というのは当時の世相を反映しています。

2003年頃の中国は経済成長に入る前で、日本企業や投資家からすると発展したときの恩恵が大きい有望国として注目されていました。

そのため、SARSが流行しているアジア圏でも海運業のパフォーマンスは好調で、2位・3位につけている業種も中国での自動車生産の需要が高まっていたのも影響して上昇したのです。

一方で騰落率がマイナスになった業種は下記になります。

  1. サービス業:−15.8%
  2. 銀行業:−13.7%
  3. その他金融業:−13.1%

東証が当時分類していた33業種のなかで、同時期に騰落率がマイナスになった業種は23業種ありますが、その中でもサービス業の騰落率は他と比べても頭一つ飛びぬけて悪いです。

銀行業・その他金融業が2位・3位につけているのは、日本経済全体が停滞した影響がダイレクトに反映された結果となります。

SARSが終息した後は日本経済が息を吹き返したため、これらの業種は騰落率がすぐにプラスへと戻りました。

ですが、SARS流行の恐怖心から外出する機会が減り、観光地を中心としたサービス産業への影響は大きかったと言えます。

この影響は2003年上半期まで続き、サービス業の騰落率がプラスに戻るまでかなりの時間を必要としました。

SARSは4月中旬ごろに原因とされるウイルスが特定され、同時に隔離対策と検疫が功を奏したのか、感染の広がりが停滞。7月には終息宣言がありました。

この期間の騰落率を見ると、上位の顔ぶれが多少変わっています。

  1. 海運業:34.7%
  2. 鉄鋼業:34.6%
  3. 証券・商品先物取引業:24.6%

海運業と鉄鋼業が一気に上昇したのは、SARSによって冷え込んだ消費に対する反発による急上昇だと分析できます。

そのためマーケットが活発になり、証券・商品先物取引業が3位にランクインしたと考えられます。

当時の株式相場をまとめると、「病気の感染拡大が続いている間は消費が冷え込み、終息宣言があれば消費が増えた」ということになります。

2003年当時の世界経済と、2020年現在の世界経済はかなり違っているため、SARSの時と同じ状態になるとは断言できませんが、近い状態になる可能性はあると意識しておきましょう。

注目を集めている新型コロナ関連銘柄

テレビやネットでもたびたび報道されていますが、やはり新型コロナ関連としてマスクやゴーグルなどの感染を防ぐ製品、あるいは消毒剤などは品薄状態となっており、全メーカーで緊急増産が発表されました。

そのため、これらの製品を扱っている企業の業績がプラスになりやすい期待感から、ウィルス・菌の予防アイテムを扱う大幸薬品や、マスクや消毒剤を販売しているサンドラッグやマツキヨHDの株価が上昇しました。

また、マスクや消毒剤のような製品以外に、新型コロナウィルスの検疫・検査技術を持つ企業や、ワクチン開発に関わる製薬会社への期待感も市場に出ております。

たとえば、アジアトップクラスの規模を持ち、新型コロナの検査薬を一番必要とする中国の緊急要請に対応できるタカラバイオの出来高・売買代金は2月に入ってから急上昇しており、新型コロナ関連銘柄として注目されています。

新型コロナ関連銘柄は購入すべきなのかどうか

SARSの頃と比べてITを始めとした技術は格段に進歩し、経済のバランスは大きく変化しています。

現在の中国は経済を国内消費だけで回せるように経済の流れを変化させつつあり、輸出依存から脱却しつつあります。

そのため、SARSの時のように海運業・鉄鋼業が大きく上昇することは少ないだろうと予想されています。

また、新型コロナ関連銘柄の急上昇も新型コロナの拡大がピークを迎えるまでは期待できますが、その後は長続きしないとも言われています。

病気のピークがどこになるのかは専門家でも意見は割れていますが、SARSの時を例に取れば、感染拡大から終息宣言まで約4カ月かかりました。

新型コロナ関連銘柄が急上昇しているからといって購入しても、売り時が分からずに下落してしまうという可能性は高いです。

そのため、新型コロナ関連銘柄を積極的に購入するのはおすすめできません。

それでも購入するとなれば、損失を出しても大丈夫な余剰資金の範囲に留めておきましょう。

まとめ

以上が、新型コロナ関連銘柄を購入するべきかどうかの解説になります。

新型コロナ関連銘柄の急上昇は魅力的ですが、短期的な急上昇のため、投資を始めたばかりの方には売り時が分かりにくい株式と言えます。

そのため、購入するときはリスクがあることを念頭におきましょう。

一方で、新型コロナによって日本経済全体が低調なのは、株式の買い増しチャンスとも言えます。

新型コロナの終息後に業績の反発が予想される企業の株式を購入するのも、一つの戦略となります。(提供: The Motley Fool Japan


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