ターンアラウンド投資をご存知ですか?

業績の悪化や、業績の低迷に苦しんでいる会社が、何かのイベントをきっかけに業績が回復し、株価も大きく回復することがあります。

そうしたケースを事前に探して、大きなリターンを狙うものです。

既に大きく下落し、魅力のなくなった株でもあるので、ある意味それ以上下がるリスクは小さいと言えます。

商談
(画像=Getty Images)

大きく下げた株に対する投資は、逆張り投資とか、ディープ・バリューとか言った呼ばれ方をします。

ターンアラウンド投資というのは、これらの一部でもありますが、ビジネスの回復に何が必要かを想定した上で、そのイベントが起きる可能性を考えつつ、投資するものです。

急回復するだけの潜在的な力・要因が存在することが必要になります。

それがない銘柄に投資すると、安いのには安いなりの理由があるということで、安いまま放置される、あるいは更に悪くなる(トルピード・ストック。魚雷ですね。水面下を走り、そのまま爆発する)ということもままあります。

市場の見方が誤っていると見てポジションをとるので、市場より自分の方が賢いと思う、かなり不遜な戦略でもあります。

そもそもたいていのアクティブ運用というのは、自分は市場よりも賢いと思っていなければできないですが。(実際に賢いかどうかは別にして)

では、どのようなケースが理想的なターンアラウンド投資になるでしょうか?

  • Mid CapからSmall Capの大きい方くらいの企業がちょうどよい。既にそこそこ大きなビジネスを持っている。
  • 一時、何等かのヒット商品やブランドでもてはやされた時期があり、それなりの認知度がある。
  • ビジネスはそこそこ回っているが、成長期は終わり、安定から衰退期にある。成功体験から抜け出せず、業績が落ちているにも関わらず、回復できていない。

一言で言うと、多くの人が知っている企業だが、「そう言えば、最近聞かないね」という状況に陥っている企業。

少なくとも、株のニュースにはほとんど出てこないような状況に陥っている企業です。

こうした企業の場合、ブランドであったり、良いプロダクトであったり、フランチャイズと呼ばれるものを持っているので、それを如何にうまくレバレッジを掛けられるか、そのきっかけがあれば、ビジネスは再加速することが期待できます。

上場版企業再生にかける投資と言って良いでしょう。

そのきっかけとしては、経営者=CEOの交代、あるいは、他社からの買収対象になること。

いずれにしても、そのままの状況では、自律回復が難しく企業外からの力を借りて、変革を起こすもの。

あるいは、大胆なリストラ策がとられるケース。「会社が変わる」と感じさせるなんらかのイベントです。

つい最近の例では、L Brands(LB)があります。

L Brandsは、その参加にThe Limited、Abercrombie & Fitch(すでに切り離されて上場しています。ANF)、Victoria’s Secret、Bath & Body Works、Pinkといったブランドのチェーン店を全国展開しています。

特にVitoria’s Secret(ランジェリー)の成功はとても大きく、この企業の成長はこのVictoria’s Secretの成功に支えられていた感もあります。

90年代に急速に成長し、まさにセンセーショナルでした。

毎年人気の高かったファッション・ショーが、昨年、中止になったのを聞いて、何かあるなと感じました。

CEOは、なんと57年この企業(L Brands)を率いてきたLeslie Wexner氏です。この長さは、S&P500企業ではもちろん最長です。

急成長したVictoria’s Secretも、米国のランジェリー市場のジャイアントになってしまうと、成長は鈍化から、むしろ減少に向かっています。

昨年、アクティビスト・ファンドのBarington Capital Groupが、株主として、同社に対して、Victoria’s Secretを売却し、急成長中のBath & Body Works中心にビジネスをやっていくことを提案していました。

そして、さすがのWexner氏もVictoria’s Secretの売却と自身の退任を決断しました。

2015年の絶頂時には、時価総額は3兆円台でしたが、昨年は、あのマーケットでありながら-29%下落し、時価総額は6千億円台まで下落してしまいました。

ターンアラウンドでマルチバガーを狙う
(画像=引用:Wall Street Journal)

1月にVictoria’s Secretの売却とCEOの退任が報じられた時には、株価は12%も跳ねています。

Victoria’s Secretは、分割されてプライベート・エクイティ・ファンド(Sycamore Partners)に$1.1bilで55%の株式を売却され、残りの45%とPinkの株式を別会社で保有することになったようです。

これにより、L BrandsはBath & Body Worksの会社になります。

まだまだ改革は始まったばかり、CEOの交代で今後何が起きるかによって、株価は更に上昇するのか、失望で売られてしまうのか、まだまだ材料は沢山ありそうです。

今回のニュースが出る前、ファッション・ショーの中止報道あたりで、株を買っておけば、$16くらいで買えたので、50%のリターンがとれた感じです。2~3ヵ月で50%のリターンは悪くないですね。

LBは動き出してしまいましたが、他に候補になりそうなところがあるかどうか、調べてみました。

例えば、Bed Bath & Beyond(NASDAQ:BBBY)。株価は今年年初来で-28%の下落。減収減益。日用雑貨でちょっとしゃれたものが安く手に入る店でした。

全米のショッピングセンターやモールなどで店舗展開していましたが、そもそもショッピングセンターやモールという小売り業態自体が衰退している中なので、なかなか厳しいです。

ここも既にCEOが交代しました。新CEOはTargetから来ました。BBBYをどう変えていくのか、期待されています。

また、最近めっきり色あせてしまったアパレルのExpress(EXPR)も候補になりそうです。昨年12月に収益発表の際に、大胆なリストラ策を発表しています。

これにより、株価は$3.91から$6台まで上昇しています。

昨年の8月には$2まで下げていますから、その大底からだと3倍になり、今はその実効性を見極めるまでは買い続けられないということか、$4.5付近まで下げてしまっています。

探すと、まだまだこのような株は沢山あります。

当たれば、短期間に数倍。外れればゼロになりかねない射幸性の強い投資にはなります。

ただ、既に相当下がっているものであるので、ダウンサイドの割にはアップサイドが大きいこと、そして、安いから単に買うというのではなく、その会社の持っているフランチャイズと問題点などをきちんと理解した上で、何が起きれば復活するかをきちんと分析する必要がありますし、株価ではなく、その背景にあるビジネスの動向を理解した上での資金投入ですので、投機ではなく投資と言って良いでしょう。(提供: The Motley Fool Japan


免責事項と開示事項 記事の作者、松本義和は記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。