今年の1月31日、ついにイギリスがEU(European Union:欧州連合)から正式に離脱しました。

その後、イギリスのジョンソン首相はEUや他の国との貿易協定を結ぶための交渉を行います。

それらの交渉を今年の12月末までに終わらせ、イギリスは完全にEUから離脱する予定です。

この間、イギリス政治や経済の不透明感がまだ続いていることや世界中で蔓延しているコロナウイルス感染症の影響で、イギリスの代表的なインデックスであるFTSE100が下落していくのではないかと考えられます。

その後、交渉がまとまってイギリスが完全にEUから離脱すれば、それが好意的に受け止められてFTSE100は反発する可能性があります。

今回の記事では、イギリスやEUの株式市場や経済を観察していく上で押さえておくべきポイントについて解説します。

絶景
(画像=Getty Images)

イギリスはまだ一応EU圏内にいる

実は、イギリスは完全にEUから離脱したわけではありません。

現在は、移行期間で、イギリスはこの間に貿易協定締結を含めた完全離脱の準備をします。

また、この間EUの貿易協定やルールはイギリスにも適用されるので、イギリス経済やビジネスは基本的にこれまで通りです。

ただし、イギリスはEU議会へ欧州議会議員を送れないので、イギリスはEU議会での決定に関わることができません。

これを理由に、ジョンソン首相は今年の12月末までに延長せずに必ず完全に離脱すると宣言しました。

期間内で完結するか不透明な貿易協定の締結

EUと他のEU圏外の国とのFTA (Free Trade Agreement: 自由貿易協定)などの貿易協定を締結する時は、個々のEUに加盟している国が個々で行うのではなく、EUとして交渉および締結されます。

つまり、EUに加盟している国々は共通の貿易協定を有しています。

イギリスはEUから離脱したので、独自に他の国との貿易協定を締結する必要があります。

BBCニュースのデータによれば(データのソースはOffice for National Statistics)、国別で見てみるとイギリスの最大貿易相手国は米国で、ドイツ、オランダ、フランスと続きます。

しかし、トップ10のほとんどはEU加盟国なので、実質的な最大貿易相手国はEUです。

したがって、イギリスにとってEUとFTA締結は最重要事項の一つです。

実際の交渉は3月から始まると言われています。

仮に、FTA締結が実現されなければ、WTO (World Trade Organization: 世界貿易機関)のルールに基づいた貿易協定が締結されます。

この場合、イギリスとEUの間の貿易において関税がかかりかつ港での貿易品の検査等が必要になり、両者(特にイギリス)の経済に大きな打撃となります。

加えて、イギリスは米国、中国や日本などの他の国とも貿易協定を締結する必要があります。

そもそも国家間で貿易協定を結ぶには、平均で約2年かかるとされています。

一方で、イギリスに与えられた期間は残り約9ヶ月間なので、期間内に貿易協定締結を完了できるとは考えにくいでしょう。

ただし、2年はあくまでも平均で、2年もかからずに締結されるケースもあります。

スコットランド・北アイルランドが独立するかもしれない

イギリス(UK, United Kingdom)は、イングランド、スコットランド、北アイルランドおよびウェールズで構成されています。

近年、スコットランドと北アイルランドはイギリスからの独立を望む声が高まっています。

2016年のイギリスにおけるEU離脱を問う国民投票では、過半数のスコットランドと北アイルランドの国民はEU残留に投票しました。

これは独立派に大きな独立の根拠を与えたことになり、特にスコットランドでは独立派の勢いが増しています。

スコットランドのスタージョン自治政府首相は、スコットランドの独立を問う国民投票の再びの実施を求めましたが、メイ前首相とジョンソン首相に拒否されました。

そこで、スタージョン自治政府首相は、イギリス国会などを通さずに国民投票を実施する方法を模索しています。

ブレグジットは、スコットランド・北アイルランドとイギリスの違いあるいは分断が鮮明になったため、長期的には本当にスコットランド・北アイルランドは独立してしまうかもしれません。

そうなれば、イギリスは国として弱体化してしまいます。

いずれにしても、イギリス国内での社会的分断が深化していることは間違いなく、長期的に経済へするでしょう。

深まるEU内部の分断

EUの予算は7年ごとに決められますが、資金は経済規模が大きい10カ国のみから集められています。

それらの国は、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、オランダ、スウェーデン、オーストリア、デンマーク、アイルランド、フィンランドです。

提供される資金の量は経済規模によって決まっています。

GDPが最も高いドイツが最も多くの資金を提供しており、次にフランス、イギリスと続きます。経済規模が小さい他の加盟国は、EUからの資金提供を受けています。

当然ながら、イギリスが抜けるとEU予算が大幅に減ってしまいます。

2014−2017年のEU予算では、イギリスは約74億ユーロ(約9000億円)の資金提供を行っており、EU予算全体の13%です。

今年、2021−2027年のEU予算を決めるための協議が開かれ、やはり提供資金の増額が議題に上りました。

しかし、特にオランダ、デンマーク、オーストリア、スウェーデンが強く反対し、EU加盟国間での分断が以前よりも鮮明になってきました。

今後、さらに協議を重ねて今後7年間のEU予算を決定する予定ですが、予算が減ってしまうのは避けられないようです。

このような分断は加盟各国の政治や社会に影響するので注意が必要です。

まとめ

ブレグジット後のイギリスとEUに関する重要なポイントについて解説しました。

ブレグジット後、イギリス経済は縮小する可能性が高いですが、ドイツ経済に陰りが見え始めているのでそれよりも先にEU経済が落ち込むかもしれません。

同時に株価も下落するので、それは逆に安値で株などを購入できるチャンスと捉えるべきでしょう。(提供: The Motley Fool Japan


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