2020年は東京オリンピックが開催される都市であると同時に、アメリカ大統領選挙の年でもあります。

アメリカファーストを掲げるトランプ大統領が再選するか、あるいは民主党の候補者が勝利するのか、専門家でも意見が割れており接戦が予想されます。

アメリカ大統領選挙は、アメリカという巨大な国が今後4年間どのような政治・経済・外交をするのかを決める大きな分岐点です。

そのため、国内外からの注目が非常に高く、結果によっては市場に影響を与えます。

そこで今回は、アメリカ大統領選挙の結果が与える影響を過去の市場や選挙の結果から解説から解説します。

2020,アメリカ
(画像=Getty Images)

アメリカ大統領選挙のスケジュール

アメリカ大統領選挙は、夏季オリンピックや閏年と同じ年に、4年に1度行われます。

民主党と共和党からそれぞれ大統領候補者が立候補し、予備選挙と党員集会を経て、政党の代表者が一人決まります。

その後、両政党の代表者が一騎打ちとなり、最終的に大統領が決定します。

主なスケジュールとしては民主党・共和党共に、2月~6月まで各地で予備選挙と党員集会が繰り返し行われ、7月に民主党の全国大会、8月に共和党の全国大会が開かれ、党のマニフェストと大統領候補者が決定されます。

そして、11月の第一月曜日の次の火曜日に一般選挙が行われます。

アメリカ大統領選挙は、国民が大統領選挙人を選び、選ばれた人が大統領候補者に票を投じる間接選挙となっています。

有権者は、自分が大統領にしたい候補者を推している大統領選挙人に票を投じるため、大統領選挙人を選ぶ選挙ですが、ここで大統領が決まります。

その後、12月に大統領選挙人による選挙はありますが、形式的な選挙となっており、翌年1月に新しい大統領が就任します。

アメリカ大統領選挙は政治の分岐ポイント

大統領の任期は4年間ずつで、最長2期8年までとなっていますが、現職の大統領でも再選するかどうかは分かりません。

過去にも、パパブッシュの愛称で呼ばれたジョージ・H・W・ブッシュ元大統領は公約を反故にしたというイメージや選挙活動に失敗したことが要因となり、再選に失敗しました。

もっとも、戦後に大統領になった12人(トランプ大統領を除く)中、再選に失敗した大統領は3人だけなので、基本的に現職の大統領が有利なのは変わりません。

記事執筆時点では元マサチューセッツ州知事のウェルド氏や、実業家のロッキー氏などが共和党の大統領候補者に立候補していますが、共和党内部でトランプ大統領が優勢となっています。

仮にトランプ政権が今後4年間続くとなれば、アメリカ第一主義をベースとした経済政策やアメリカ企業保護主義は変わらないと予想できます。

トランプ大統領が選択した経済政策や外交手段の是非はともかく、2017年以降の実質GDP成長率は2%以上をキープし、失業率や株式市場は好調と言えます。

アメリカ経済の好調さがトランプ大統領の再選となる強みであると同時に、弱点となっています。

対立候補となる民主党の立候補者は、アメリカ社会に広がる所得の不均衡や格差社会を是正するという内容を軸に有権者へ訴えかけています。

その中でも、有力な候補となっているサンダース氏とバイデン氏の主張は、同じ民主党でも違っています。

たとえば、中国への追加関税をサンダース氏は支持しており、バイデン氏は批判。

TPPはサンダース氏が反対し、バイデン氏は支持を表明。大きなポイントとしては、サンダース氏は公的資金を用いて国民皆保険を導入し、富裕層への増税などが上げられます。

サンダース氏とバイデン氏のどちらが民主党の立候補になっても、これまでトランプ政権がしてきた経済政策とは違った内容になるのは間違いありません。

つまり、大統領選挙の結果次第で、アメリカという大きな国は政治や経済のかじ取りが大きく変わる可能性があります。

過去の大統領選挙の結果が与えた株式市場への影響

1948年~2016年までに18回の大統領選挙が行われました。

その年のダウ平均株価の上昇率を分析すると、18回中13回は上昇、5回は下落しています。

下落率が最も高いのは2008年のオバマ元大統領が当選した年で33%減となっていますが、この年はリーマンショックの影響が大きかったので、これだけ下落したと言えます。

では、リーマンショック以外でダウ平均株価が下がった年の大統領選挙や経済がどうなっていたのかを簡単に説明します。

  • 1948年:奇跡の逆転劇の結果、トルーマン氏が再選した
  • 1960年:まれに見る接戦の末、ケネディ氏が大統領に選ばれる
  • 1984年:当時の経済政策だったレーガンミノクスは貿易赤字を膨らませ、日米貿易摩擦に繋がった
  • 2000年:もっとも接戦だったアメリカ大統領選挙の一つと言われており、ブッシュ氏が大統領になる

ダウ平均株価が下がった年の3回は、アメリカ大統領選挙が接戦に終わった年になります。

過去の結果と照らし合わせると、ダウ平均株価が上がった14回中、10回は圧勝で終わった年になります。

圧勝に終われば株価が上昇しやすい年で、接戦になると株価が下落しやすい年などと簡単に分析することはできません。

この分析には当時の社会情勢や経済のバランス、大統領がマニフェストに掲げた経済政策などは盛り込まれていません。

アメリカ経済は1995年頃から大幅に上昇を続けており、経済と政治がより複雑に絡み合うようになりました。

どの大統領も選挙戦を見据えて前年に有利となる景気対策を盛り込むため、任期3年目に株価が上昇しやすくなり、結果として前年と比べて悪い結果となった可能性もあります。

一方で、戦後18回あったアメリカ大統領選挙の年はダウ平均株価が前年より14回も上がり、接戦だった8回の内、3回はダウ平均株価が下がったというのは事実です。

このように論理的に説明できない変則性をアノマリーと呼び、変化の根拠は無いがパターンとしてあるのを理由に投資を決める投資家は少なからずいます。

大統領選挙後の4年間

1月に新しい大統領が就任すると、その大統領がマニフェストに掲げた政策・外交・経済に切り替わります。そのため、アメリカ経済は4年ごとに新しい影響を受けます。

大統領就任後の年間株価騰落率を見ると、最も高いのは3年目の16.2%増、最も低いのは4年目の5.3%増となります。

これは、上記でも説明しましたが4年目=アメリカ大統領選挙を見据えて経済政策を打ち出すため、3年目は株価が上がりやすい年になっています。

一方で、大統領選挙で政党が切り替わると、選挙の年の翌年で騰落率が逆転しやすいというデータもあります。

1948年~2016年までに行われた18回の大統領選挙で、政党が切り替わったのは9回。その内、ダウ平均株価が下がったのは6回ありました。

また、大統領が再選した場合は2期目の1年目が上昇しやすいというデータもあります。

戦後、アメリカ大統領を2期務めたのは7人で、2期1年目のダウ平均株価が上昇したのは4人います。

大統領や政党が変わらなければ経済や外交に対するスタンスは変わらないため、その時点での経済が好調ならば、そのまま好調さが維持できるだろうという投資家の心理が働いた結果と分析できます。

反対に、大統領や政党が変われば、経済や外交に対するスタンスも変わり、どうなるのか変化が読めなくなって様子を見ようとする心理が投資家に働いたと考えることもできます。

この分析もアノマリー(根拠のない規則性)に基づいているため断言はできません。

しかし、戦後18回あった大統領選挙の前年(3年目)は1回を除き、全てダウ平均株価が上昇しているのは事実です。

まとめ

以上が、アメリカ大統領選挙の結果が与える影響についての解説になります。

トランプ大統領が就任してから直近までのダウ平均株価上昇率は68%になります。

少なくとも市場に対して寛大な政策を実施し、大幅な株高を実現した大統領になります。

一方で過激な言動や貧富の格差によって支持者離れを招いており、アメリカ大統領選挙は接戦になるだろうと予想されています。

これまでのアノマリーと照らし合わせると、接戦の年の株価は下落しやすく、政党が変われば1年目は下落しやすいとなります。

新型コロナによって世界中で株価が下落していることも併せて、一度自分のポートフォリオを見直してみましょう。(提供: The Motley Fool Japan


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