金利引き下げが進むと同時にささやかれるのが債券バブルの崩壊です。

しかし、投資を始めたばかりの方にとって、債券バブルが起きている理由やマイナス金利の債券が人気の理由など分かりづらくなっています。

そこで今回は、債券バブルが起きる理由やマイナス金利の債券が購入される理由などを解説します。

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(画像=Getty Images)

債券と金利

債券は、投資家からお金を借り入れるのを目的として発行する有価証券です。

国が発行する債券を国債、企業が発行する債券を社債と言い、どちらも満期まで保有し続けると額面金額が戻ってきます。

また、購入時の金利にしたがって利息も発生します。

企業の株式よりも流動性が低く、資産価値が下落しにくいという理由から債券は安全資産の一つとされており、分散投資の対象として長期保有されていますが、実は株式と同様に途中で売却することも可能です。

債券の売買価格は金利が上下することによって左右されます。

たとえば、年利5%の債券を購入した後に、年利6%の債券が発行されれば、年利5%の債券は魅力が下がってしまいます。

逆に、年利4%の債券が発行されると、年利5%の債券は魅力を上げて市場価値が高まります。

つまり、債券の金利が上昇すると債券の売買価格は下落し、金利が低下すると売買価格は上昇することになります。

日本の10年国債利回りは1990年頃をピークに下落し続けています。

記事執筆時点では年利回りがマイナス0.122となっており、3年国債、5年国債も同様にマイナス金利となっています。

債券がマイナス金利だと、仮に100万円分の国債を買っても、10年後に返還される金額が約99万円に減ってしまいます。

資金が確実に減ってしまう債券は購入されないように思いますが、実は海外から見ると利回りがマイナスの国債は価値があるように映ります。

マイナス金利の債券でも為替ヘッジによって利回りを得られる

外国の資産に投資をする場合、投資先の通貨で投資をします。

日本の株式を購入するなら日本円を、アメリカの株式を購入するなら米ドルです。

ここで重要になるのが、為替レートが動くと投資の損益が大きく変化することです。

たとえば、米ドル円レートが円安の時にアメリカの株式を売却するのと、円高の時に売却するのでは、同じ額面の株式でも円安の方が円換算時の利益が多く出ます。

反対に、円安の時にアメリカの株式を購入するのと、円高の時に購入するのでは、円高の時の方が多くの株数を保有できます。

この差を為替リスクと言い、為替ヘッジはリスクを回避するためのシステムになります。

為替ヘッジは外貨建て資産へ投資する際に、その時の為替レートと同じレートで、数か月後に外貨と自国の通貨を交換する契約です。

ドルベースの投資家が日本の国債を買うと、数か月後に一定のレートで円を売る契約になるのですが、このレートが現在のレートよりも高い設定です。

マイナス金利の国債を購入しても、年2.0%前後のリターンが望めます。

楽天証券で扱っている債券は日本やアメリカなどの先進国を含めて11カ国あります。

その中でマイナス金利になっているのは日本、ドイツ、フランス、ユーロ圏で4つ。他の国も軒並み1%以下となっています。

日本同様にこの30年間で国債利回りは下落し続けているのです。その中で最も高い金利を維持しているアメリカの投資家からすると、自国よりも金利の低い国は為替ヘッジによるリターンが発生し、自国の国債を購入するよりもリターンを望める優良投資対象といえます。

結果、債券の金利は下がり続け、額面は上がっていき、ITバブルや仮想通貨バブルと同じように債券バブルと呼ばれるようになっています。

2019年は世界中で金利が引き下げられた年

2019年、アメリカが10年7か月ぶりに金利引き下げを発表し、ECB(ユーロ圏の中央銀行)も9月に政策金利のマイナス幅を拡大、日銀も必要があれば今のマイナス金利を更に引き下げる可能性を示しました。

世界景気の減速に備えて、各中央銀行が金融緩和に踏み切ったことにより、債券の金利が下がったという見方が出来ます。

そのため、債券の需要が高まり売買価格が吊り上がっている=債券バブルではなく、金融緩和によって金利が下がっているためバブルに見えるのではないかという意見もあり、専門家によって予測が違っています。

債券バブルがこれから迎える変化

先進国の長期金利は30年以上に渡って下がり続けています。

ここまで長期的だと、バブル=短期的な騰落というよりも、なにか長期的なトレンドに入ったと分析でき、バブルが弾けるという想定をするのは難しいです。

ただ、これ以上金利を下げ続けるのも難しいです。

日本やドイツ、ユーロ圏はマイナス金利に突入し、アメリカも10年ぶりに金利引き下げを決定すると、9月、11月にも金利引き下げを実行し1年間で3回も利下げをした事になります。

そして、2020年3月3日、新型コロナウィルスが世界経済に悪影響を与えているのを理由に、0.5%減の緊急利下げを決定しました。

先進7カ国の中では最初に金融緩和に踏み切りましたが、また一歩、ゼロ金利に近づいたことになります。

現在の債券バブルが金利引き下げによって売買価格が上がっていると仮定した場合、バブルが崩壊するタイミングは金利の上昇になります。

1番理想的なのは景気が好調となり、各中央銀行が金融緩和政策を終了して利上げを決定するシナリオです。

国債の債券利回りが上昇するため、低い金利の債券が魅力を失っていき、価格が下落し、売却する流れとなります。

ですが、このシナリオは実現が難しいとされます。

中央銀行の金利引き下げは政治が絡んでいます。

トランプ大統領が2019年に金利を3回も引き下げしたのは、翌2020年の大統領選挙を有利にするためのパフォーマンスとされており、日本でも日銀が金利引き下げをするのは政権との協調関係があるためです。

もう1つのシナリオは、債券が返済不可能になり、経済が大きく悪化したパターンです。

債券は売却しても、国が債券の所有者に額面を返済する契約は残ります。

債券を発行したときは返せる見込みはあったが、その後の経済が悪化して債券が返済できなかった国として、アルゼンチンやギリシャのような例があります。

所有している国や企業の債券がデフォルトになれば、外国債を多く保有している国に大きなダメージとなります。

そうなると、所有している他の債券を売却して資金を補充する心理が投資家に働き、債券が次々と売却されて価格が下落する恐れがあります。

また、このまま債券の売買価格が上がっていくと、参加者が居なくなってしまうというリスクもあります。

現在の金融市場は、株式や金、債券などの投資対象を大量の資産が順繰りに回っています。

新型コロナによる世界同時株安で株が売られ、金に資金が集中したように、どこかの市場が下がれば、別の市場に資産が流れていきます。

このまま債券の売買価格が吊り上がっていって参加者が少なくなっていけば、売買価格が頭打ちとなり、どこかで反発する可能性があります。

その時が債券バブルの崩壊だと分析する専門家もいます。

まとめ

以上が、債券バブルが起きる理由の解説になります。

債券バブルが起きている理由が金利の引き下げなら、どこかで限界が来ます。

このまま、債券が上がり続けると買い手が脱落し、頭打ちとなる場合もあります。

債券バブルが限界を迎えつつあるのは間違いなく、その時が来れば金利は引き上げとなります。

良い金利引き上げなら景気回復や企業業績の上昇などを伴いますが、悪い金利引き上げだと企業の借り入れコストが増えてしまい景気後退に繋がります。

景気リスクが高い時は、債券を含め自分のポートフォリオを見直しましょう。(提供: The Motley Fool Japan


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