経済ニュースを見ると、アナウンサーが「円安が進むと日経平均株価が上昇する」「円高が進んで株が値下がっている」などと、円高・円安と株価が関係しているかのように説明しています。

確かに、円高・円安は株価に大きな影響を与える要素となっています。

そこで今回は、円高が進むと株安になると言われている理由や、円高・円安と株価の関係を解説します。

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(画像=Getty Images)

円高・円安の判断基準

今が円高なのか、円安なのかを判断する基準となるのは、ある地点の米ドル円と比較してどれだけ変化したかによります。

たとえば、1ドル100円を判断基準とした場合、円高・円安は下記のようになります。

  • 1ドル100円が翌日99円になった=円高
  • 1ドル100円が翌日101円になった=円安

円高・円安は1ドルで日本円がいくら購入できるのか、というのがポイントになります。

上記の場合、「1ドルで日本円は99円しかもらえなかった=円は高い」、「1ドルで日本円は101円ももらえた=円は安い」ということになり、円高・円安が進んだとニュースで報道されるようになります。

円高・円安の判断基準となる基準点は複数あり、歴史的に大きな景気変動が起きたときの為替レートや、購買力平価、景気循環などをベースにする場合もあります。

一般的なニュースでは前日や前週の為替レートと比較して、円高・円安が進んだと表現しているケースが多いです。

円高株安・円安株高の関係性

ニュースではよく「円安が進むと日経平均株価が上昇する」「円高が進んで株が値下がっている」と報道します。

この言葉通り、為替と株価はシーソーのようにどちらかが傾くと、反対側が上がる関係になっています。

たとえば、1台1万ドルの自動車をアメリカに売るとします。

このとき、1ドル110円で売るのと、1ドル80円で売るのでは、売り上げが30万も違います。

受け取る外貨は1万ドルと変わりませんが、1ドル110円=円安のときに売ると利益が大きくなります。

反対に、原油100バレル1万ドルをアメリカから購入するとします。

このとき、1ドル110円と1ドル80円では、1ドル80円で購入した方が30万円分のコストを削減できます。

支払う外貨は変わりませんが、1ドル80円=円高で購入すると、コストの削減に繋がります。

このように、外需・輸出がメインの企業は円安だと利益が大きくなり、内需・輸入がメインの企業は円高の方がコストを削減できるというメリットがあります。

2018年の日本の貿易総額(輸出額と輸入額の合計)は約164兆円で、世界有数の貿易国となっています。

2007年頃までは輸出が輸入を上回っていましたが、リーマンショックから輸出が伸び悩み、2011年の東日本大震災で日本の輸入が大きく停滞しました。

その後、どうにか輸出は回復しつつ、輸入が下がってきたため、現在は輸出と輸入の差がほとんどありません。

しかし、国内総生産は伸び悩んでおり、国内の消費は冷え込んでいるため、輸出の変化が日経平均株価に大きな影響を与えています。

つまり、円安で輸出の利益がアップすれば株価が上がり、円高だと輸出の利益が下がってしまい株価が下がりやすくなるという、「円高株安・円安株高」の関係性ができ上がっています。

ただし、全ての局面でこの通りのことが起きている訳ではありません。

日本の市場は国内投資家以外にも、海外の機関投資家や年金基金といった外国人投資家が参加しています。

外国人投資家にとって、円高のときに円建て資産を購入すると自国通貨が安くなって有利となります。

しかし、円高ばかりが進んでしまうとポートフォリオの円資産の割合が大きくなってしまい、調整をしようと日本株を売ろうとします。

外国人投資家が大量に保有する日本株が売りに出されると市場に大きな変化が起きてしまい、円安株安・円高株高といった事態が進行する可能性は考えられます。

事実、1990年~2018年までの米ドル円の為替レートと日経平均株価を照らし合わせると、1999年~2004年始め頃までは円高株高・円安株安が起きていました。

金利と円高・円安の関係

金利は各国の中央銀行が決定します。

国や世界の経済状況を判断して決定しますが、基本的に景気が良ければ金利は上がります。

反対に、景気が悪い、あるいはこれから悪くなると予想されるときにあらかじめ下げるケースもあります。

そして、金利と円高・円安の関係はドミノ倒しのようだと例えられます。

たとえば、アメリカの景気が回復したとします。

各企業は需要に応えるために供給をアップするのを目的として設備投資を盛んに行います。

金利が上昇しても設備投資が続けば、ドルの価値が上がっていき、ドル高円安の構図が生まれます。

日本で円安になると、アメリカから輸入する製品が高くなり、物価が上昇する可能性があります。

物の価値が高くなりお金が銀行から引き出されるようになると、銀行は預金を増やす為に金利を上げます。

すると今度は円の価値が上がっていき、今度は円高ドル安の構図が生まれます。

このように金利と円高・円安はドミノ倒しのように連鎖しながら調整を繰り返していきます。

まとめ

以上が、円高が進むと株安になると言われる理由の解説になります。

金利や為替は株価は密接な関係にあり、金利の変動が為替に影響し、為替の影響が株価に影響を与えます。

現在の資本主義だと、投資家たちは常に有利な投資先や運用先を探して、資産を移動させています。

そこには市場に参加する投資家たちの心理が大きく影響を与えるため、上記で説明したような関係性が常に起こるとは限りません。

今回解説した内容は、あくまで経済の基礎的な知識です。

投資をする際は、この知識を頭に入れつつ、盲信しないように常に新しい情報や変化に目を配りましょう。(提供: The Motley Fool Japan


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