金融
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【預金編】預金取引の性質と預金の種類

今回の質問
預金取引は法律上、どのような取引でどんな性質があるのでしょうか。また、預金にはどのような種類があるのか教えてください。

預金取引においては、お客様には「金融機関に金銭を預けます」という意思があって、金融機関にはお客様から金銭を預かり、預かった金銭を運用して、お客様から返還請求があったときには同額の金銭を返還する意思があります。

民法では、人に物の保管を委託する契約を「寄託(きたく)契約」といいますが、預金契約は寄託物(金銭)を自由に消費(運用)して、寄託者(預金者)に同種、同等、同量のものを返還することを約束する契約です。このような契約を「消費寄託契約」といいます。預金契約は、消費寄託契約の性質を有しているといわれています。

また、当事者相互間の意思の合致だけで成立する契約を「諾成(だくせい)契約」といい、当事者相互間の意思の合致の他にも目的物の授受が必要な契約を「要物(ようぶつ)契約」といいます。

従前の民法では、消費寄託契約は要物契約とされていましたが、令和2年4月1日に施行される改正民法では、当時者相互間の意思の合致があれば成立する諾成契約とされています。

しかしながら、お客様の金融機関に対する預金債権は、実際に金銭の授受が行われ、預金が成立して初めて発生します。この預金債権は、預金者という特定の者を債権者としていますので、「指名債権」であるといわれています。

▼ 分類方法は複数ある