新年度がスタートする4月は、さまざまな目標を立てる意欲がわきやすい時期だ。この機会に資産運用について関心を持ち貯蓄や投資を始めてみてはいかがだろうか。

貯蓄に興味を持つ人は多いが、将来の備えには不十分

資産運用
(画像=PIXTA)

2019年11月、博報堂生活総合研究所が発表した「生活者にきいた“2020年 生活気分”」によると「2020年に始めたいこと」として1位「運動・体操・筋トレ」、2位「貯蓄」、3位「副業」が挙がっている。また「2020年にお金をかけたいこと」では、2位に「貯金」、8位に「老後の暮らしの準備」、10位に「株など投資」がランクインした。

これらの結果からは「暮らしを守るためにお金を貯めたい、増やしたい」という意識の高まりが伝わってくる。アンケートには貯蓄(貯金)や投資という言葉が並んでいるが、すべて「資産形成」や「資産運用」の手段だ。資産の形成や運用と聞くと株や投資信託などの投資商品を連想し、中にはギャンブルのようなイメージを持つ人もいるかもしれない。しかし、ギャンブル性=大きな収益性を追求するのは「投機」である。

投資という行為そのものは暮らしを守るための手段の一つだ。貯蓄を新たに始めたいという人は、病気などで働けなくなったための緊急時や老後の暮らし、あるいは車や家など大きな買い物といった目的を想定しているだろう。しかし、現実的には貯蓄だけでそれらをカバーすることは難しい。定期預金の金利はバブル崩壊以降、低下し続けている。

ゆうちょ銀行の定期貯金の平均金利を見ると1990年には約6.08%(1年満期)あった金利が、その後は急激に低下。2020年3月現在の金利はわずか0.01%(1年以上2年未満)という状況だ。毎月コツコツと銀行に預けることでお金を貯められるが、増えることはほとんど期待できない。

お金を残しておく分には安心だが懸念材料もある。毎月の貯蓄ペースで将来の備えができるのかということだ。増税や物価上昇が起きると貯蓄しているお金で買えるモノやサービスは減ることになる。つまり「貯める」だけでは安心できないのだ。そこで候補に入れたいのが「投資」をして「お金を増やす」という選択である。

資産形成は貯蓄と投資の2本立てで

生活を守るため、手元に置く財産を作っていくことを「資産形成」、余裕ができた資産を元手にその資産を増やしていくことを「資産運用」と呼ぶ。しかし、いずれの場合もお金をためるための「貯蓄」とお金を増やすための「投資」で構成される。資産形成についてゼロから考え始めた人は貯蓄だけではなく「貯蓄と投資」の2本立てがおすすめだ。貯蓄と投資にはそれぞれメリットとデメリットがある。

貯蓄

メリット:元本が保証される。必要なときに引き出すことができる
デメリット:収益性はあまり高くない

投資

メリット:貯蓄よりも高い収益が期待できる
デメリット:元本が保証されない。引き出すタイミングを計る必要があり、必要なときに引き出しにくい

収益性と元本保証という安全性は、裏返しの関係である。それゆえに2つを組み合わせてトータルで資産を作る必要があるのだ。貯蓄、投資ともにさまざまな商品がある。どのような商品があるのか、一例を挙げると以下のとおりだ。

貯蓄

【普通預金】
預け入れ、引き出しは自由。金利が低い。

【定期預金】
満期となる時期を決め、金額を設定して預金する。原則、満期まで解約ができず普通預金よりは金利が高い。

【積立定期預金】
毎月預金する金額と目標額を決めて積み立てていく方式。目標額に到達したら定期預金として運用することができる。

投資商品

【投資信託】
投資信託委託会社が複数の投資家から資金を集め、ファンドマネージャーがさまざまな投資先に分散投資し運用する。元本保証はない。

【個別株式】
企業に出資し株式を保有する。株式を保有した時点よりも値が上がった際に売却することで利益を得る。また、企業によっては配当金や株主優待なども魅力的な場合がある。

【公共債】
国や地方自治体が資金調達のために発行する債券。信用度が高い。

【個人年金保険】
老後の生活資金に備える保険。設定された年齢以降に年金や一時金として受け取ることができる。年金の受け取り開始日より前に被保険者が亡くなると、遺族に死亡給付金が支払われる保険としての役割も魅力的だ。払い込んだ保険料は年金受け取り開始までの間は運用される。

「使いどき」を基準にお金を貯蓄と投資に振り分ける

これから入ってくるお金やすでに所持しているお金をどのように貯蓄と投資に振り分ければいいのだろうか。その基準は「お金の使いどき」である。「3年後に子どもの大学進学費用が必要」「入院など、もしものときに備えたい」のように使う予定が分かっていたり、緊急時のためだったりする場合のお金は、貯蓄で確実に作っておきたい。また、緊急時に使うためのお金は、自由にお金が引き出せるような貯蓄商品を選びたいところだ。

一方、「老後の資金を作りたい」「レジャーに使うお金を貯めたい」といった場合はどうだろうか。お金が必要となるまでに長い期間があったり、使う時期は決まっていないが楽しみのためにとっておいたりしたいという場合は、利益を出して上積みを期待できる投資商品で作るのに適している。

さらに貯蓄・投資ともにいくつかの商品にお金を分散させておくことが望ましい。特に投資商品は元本が保証されていないことが多く、損をする可能性もある。1つの商品で損をしても別の商品で損を補うことができれば全体として損失を最小限に食い止めることにもつながるだろう。

実のところ「お金をいつ、何に使うのか」を考えることは、ライフプランを設計することに他ならない。ライフプランを設計したうえで貯蓄と投資に費やすお金を決め、具体的な商品を選べば、きっと満足度の高い資産形成に近づいていくだろう。資産に余裕ができれば、収益性を高めるための運用に一部を回すこともできるはずだ。

気分も改まる新年度、ぜひライフプランを立てて資産形成に踏み出してもらいたい。