モトリーフール米国本社、2020年2月19日投稿記事より

電気自動車メーカーのテスラ(NASDAQ:TSLA)は、同社が1年かけても、他の多くのメーカーがわずか数週間で製造する台数の自動車しか販売できないにもかかわらず、その株式時価総額は今や自動車業界で世界一となっています(株価指標等は執筆時点)。

投資家は今後も同社が自動車産業の破壊的な革新をリードすると見ているようですが、自動車業界に大きな変化が予想されるなか、テスラの姿は5年後にはどうなっているのでしょうか。

テスラ,EV
(画像=Getty Images)

自動車生産は引き続き好調

テスラは2020年度の生産台数が50万台(前年比36%増)になると予想しています。

大幅な増産率ですが、仮に毎年30%の増産が続くと2025年度の生産台数は186万台に達します。

中国工場と、同社が着工を目論んでいるドイツ工場からの増産も考慮すれば、200万台近い台数の生産も可能かもしれません。

リスクがあるとすれば、他の自動車メーカーに電気自動車(EV)の設計で追い付かれる可能性があることです。

今年、アウディ、リビアン、ボルボ、フォードなどが、より航続距離が長く、価格競争力の向上した新型電気自動車を市場に投入します。

こうした競合がEV市場でシェアを獲得し始めると、テスラ車に対する需要や同社の成長率に影響を与えかねません。

今後5年間で同社の優位性が低下する可能性は高いと言えます。

自動運転技術開発の岐路

テスラは自動運転の実用化に最も積極的な企業ですが、他社も技術開発を進めており、調査会社ナビガントの評価によれば、GMクルーズやアルファベット傘下のウェイモ、フォード、フォルクスワーゲン、ウーバーの方が自動運転技術ではテスラを上回っています。

同社最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏は、2019年第4四半期の決算報告の電話会議で、依然として同社が完全自動運転への最短距離にいると語っていますが、その一方で、クルーズやウェイモなどのテスト車両は毎年何百万マイルもの自動運転を記録しています。

こうした企業の製品が市場に投入されれば、テスラは自動運転技術で一気に追い抜かれる可能性があります。

また、投資家が考えているよりも早く、競合技術が普及する可能性もあります。

自律動作技術をサービスとして多くのメーカーに提供するエヌビディアやインテルなどのテクノロジー企業は、テスラよりもはるかに速く自律動作技術を普及させられるでしょう。

自動運転がどうなるかは分かりませんが、今後5年以内に岐路を迎え、場合によってはテスラが競合企業を追う立場になるかもしれません。

テスラエナジーの見直し

テスラのエネルギー関連事業であるテスラエナジーには、太陽光発電パネル設置部門と蓄電システム部門があります。

パナソニックとの合弁である蓄電システム部門は堅調のようですが、それでも事業全体としては粗利が12.4%(2019年度)にすぎず、販売管理費を含めれば、赤字ではないかと考えられます。

電気自動車とのシナジーも証明されておらず、戦略的な観点から見直しが必要です。

中核事業である電気自動車が成長すれば、テスラは戦略的な意義の薄いエネルギー事業の整理を進めるだろうと思います。

テスラ株の今後は?

これまで電気自動車市場でテスラは自由を謳歌していましたが、競合企業が本格的に参入すれば、状況は変わるでしょう。

新製品に対する消費者の反応が良ければ、テスラの販売台数や利益率に影響を与える可能性があります。

テスラに1440億ドルもの時価総額がついているのは、その自動運転技術が評価され過ぎているためだと思います。

しかし、同社は完全自動運転を実現できると証明できていませんし、アナリストは同社が競合企業の後塵を拝していると見ています。

電気自動車の市場が拡大を続けたとしても、完全自動運転によるライドシェアにシェアを奪われる可能性が高く、この分野ではテスラよりも態勢の整っている競合企業が他にいくつもあります。

今後の競合のことを考えれば、私は現在のテスラ株の購入を控えます。

破壊的な企業であることは確かですが、利益を出せるかどうかはまだ証明できていません。

自動車事業であれ、エネルギー事業であれ、運送事業であれ、結局、利益を出せるかどうかが全てです。(提供: The Motley Fool Japan


免責事項と開示事項 記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アルファベットのエグゼクティブであるSuzanne Freyは、モトリーフール社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Travis Hoiumは、フォード株を保有しています。モトリーフール米国本社は、アルファベット(A株)、アルファベット(C株)、テスラ株を保有し、推奨しています。