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お客様から相続預金の払戻しを依頼され、遺産分割協議書の提出を受けました。遺産分割協議書を取り受けた場合、どのように対応し、どんな点を確認すればよいのでしょうか。

今回は「遺産分割協議書」について見ていきます。相続預金の名義変更等の手続きは、まず遺言書の有無を確認することから始めます。遺言書が作成されていない場合において「遺産分割協議書」が作成されていれば、提出を求めることになります。

遺言書がない場合や遺言書に記載されていない遺産がある場合などには、相続人全員の話し合いにより、だれがどの遺産を相続するか決めます。このように被相続人の遺産をだれが相続するのかを決める手続きを遺産分割といい、その話し合いのことを遺産分割協議といいます。そして、遺産分割協議の結果を書面にしたものが「遺産分割協議書」です。

複数枚にわたって作成されることが多い

遺産分割協議書は、特に様式は定められていませんが、各遺産の名義を相続人に変更する際の確認書類となりますので、それぞれの財産が特定できるよう、ある程度厳格に作成されなければなりません。遺産分割協議書が有効に作成されているのならば、相続預金の名義変更のほか、不動産の相続登記、証券会社の証券口座の名義変更などに使用できます。

遺産分割協議書の提出を受けたら、原本を確認したうえでコピーをとり、原本を来店者に返却する対応が望ましいといえます。

遺産分割協議書は大きく分けて、本文・遺産明細部分・相続人の署名押印欄の3つがあります。

本文・遺産明細部分には個々の遺産をだれが相続するのかが記載され、署名押印欄には相続人全員が署名押印します。印鑑は実印を使用し、印鑑証明書の添付により相続人本人が同意したことを確認します。被相続人のすべての遺産の明細が記載されるため、遺産分割協議書はたいてい複数枚にわたって作成されます。相続届等の要式とは異なるので、見落としがないよう注意しましょう。

すべての相続人の署名押印があるか確認

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ここからは、遺産分割協議書の確認ポイントを見ていきます。

まず、遺産分割協議書が複数枚にわたる場合には、相続人全員の契印があるかどうか確認しましょう。一部のページを取り外して改ざんし、差し替えるといった不正がないかチェックします。

記載内容に訂正がある場合は、その箇所に相続人全員の訂正印があるかを確認します。遺産分割協議書は、財産の承継に関わる重要な書類です。遺産分割協議書を作成した後で、一部の相続人による改ざんがないかどうかしっかりチェックしておきたいところです。

本文では、預金者の死亡の事実を確認します。預金者の死亡日(相続発生日)とともに被相続人の最後の戸籍謄本をチェックしましょう。

次に、法定相続人がだれであるのかを、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本および相続人の戸籍謄本などで確認します。署名押印欄にすべての相続人の署名押印があるか、印鑑証明書とともに確認します。1人でも欠けていると遺産分割協議書は無効となるため、欠けている相続人の署名押印を求めましょう。未成年者等の場合には特別代理人を選任し、署名押印を求めます。

また、自店に存在する預金者の取引を洗い出し、遺産明細の記載内容と照合します。遺産分割協議書に記載されていない相続預金があれば、遺産分割協議書の修正または相続届により記載外の相続預金の承継者を決めてもらう必要があります。なお、記載外のすべての財産を相続する承継者が定めてある場合は、その者が記載外の財産を引き継ぐことになります。

ポイント

  • 法定相続人を確認し、全員の署名・押印があるかをチェックする
  • 遺産分割協議書に記載のない相続預金があれば、承継者を決めてもらう

執筆 八木正宣(税理士法人SBL 代表社員・税理士)