トラブルを解決するために、内容証明を使いたい――そう考えたとしても、実際どのような内容を書けばいいのか、どんな効力があるのか、理解している人はそれほど多くないだろう。

今回は、内容証明の書き方・費用・送り方を解説していく。

内容証明とは?仕組みや効力を解説

内容証明
(画像=PIXTA)

内容証明郵便とは、「いつ、誰が誰宛に、どんな内容の文書を送ったか」を公的に証明できる郵便のことである。内容証明は、郵便局で手続きすれば、個人でも送ることができる。

内容証明はあくまで、送付した年月日・送付した内容・送付した事実を証明するものだ。内容証明を送ることで、強制的に相手を記載内容に従わせることはできない。

しかし、内容証明を送ることは、法的手段に訴える前段階ともいえ、「これ以上問題解決が長引くようならしかるべき措置をとる」という強い意思を相手に表明することが可能だ。内容証明は、裁判においても証拠として扱われる。

通常の郵便であれば相手に無視されて終わっていたものが、内容証明を送ることで、事態が一気に動き出すというケースは多々ある。必要に応じて内容証明を活用し、トラブルの早期解決を目指したいところだ。

内容証明を送るのはどんな時?よくあるケースを紹介

続いて、どのような場合に内容証明を送るのが効果的なのかをみてみよう。代表的なものを4つ挙げて解説する。

未払金の督促

例えば不動産のオーナーにとって、未払い賃料は悩みの種だろう。あるいは、商品を発送したにもかかわらず代金を支払ってもらえないといったケースもある。

こうした未払いは放置するクセになり、いつまでたっても回収できないということにもなりかねない。あらかじめ定めた期間を過ぎたら内容証明を送り、厳しい態度を示すことが重要だ。

商品の引き渡し請求

未払金とは逆のパターンで、代金を支払ったのに商品・サービスを一向に受け取れないというケースもあるだろう。この場合でも、内容証明を送ることが後々の証拠となる。

契約の解除通知

クーリング・オフとは、一度契約を締結した場合も、一定期間内であれば無条件で契約を解除できる制度だ。一般的には、8日間が契約解除期間とされている。

高額な商品を契約してしまったものの後悔した場合などは、すぐにクーリング・オフの手続きをしておきたい。その際、契約の解除通知を内容証明で相手に送付することで、しっかりとした証拠を残すことができる。

損害賠償や慰謝料等の請求

交通事故に関する損害賠償請求や、慰謝料請求でも内容証明を活用するケースがある。セクハラを受けた場合や、不倫・離婚などパートナーの不貞が発覚した場合、慰謝料の請求が可能だ。また、扶養義務に基づき、別居中に生活費を請求できる場合もある。

こういったケースでは、相手方は軽く見て、手紙を送っても無視されることが少なくない。内容証明を送ることで、相手方にこちらも本気だと示すことができる。

はじめてでも安心!内容証明の書き方と注意点

続いて、内容証明の書き方を解説する。

1.送り方を決める

内容証明は「送り先に届くもの」「郵便局が保管するもの」「差出人控えとして保管するもの」の3部を用意する必要がある。

送り方には、「手書きで郵送」「パソコンでプリントアウトして郵送」「電子内容証明郵便(e内容証明)」の3つがある。

手書きの場合、内容証明用の3枚複写の用紙を使用すると手間がかからない。しかし最近は、訂正が楽なことなどから、パソコンで作成する人が多い。

「電子内容証明郵便(e内容証明)」は、インターネットを通じて24時間内容証明を発送できるサービスだ。Wordファイルで内容証明を作成し、インターネット上にアップロードすることで、郵便局が印刷・照合・封入を行い、内容証明郵便として発送してくれる。

2.内容証明の書式

内容証明には、字数・行数に制限がある。

縦書き
・1行20字以内、1枚26行以内

横書き
・1行20字以内、1枚26行以内
・1行13字以内、1枚40行以内
・1行26字以内、1枚20行以内

なお、「電子内容証明郵便(e内容証明)」で送る場合は、文字数は1,584文字を目安に作成する。

内容証明には、「表題・通知内容・日付・相手の住所氏名・自分の住所氏名」を書くことが一般的だ。なお、送り先が法人である場合や、自身が法人である場合は、社名と代表取締役氏名を両方記載する。

いくらかかる?内容証明の出し方と費用

続いて、内容証明の出し方と費用を解説する。

内容証明郵便は、すべての郵便局から送れるわけではない。そのため、内容証明郵便を取り扱っているかどうかを確認してから郵便局に行く必要がある。内容証明郵便の取扱いの有無は、郵便局のHPから検索できる。

郵便局には、作成した内容証明3部と印鑑を持参する。万一、訂正が必要だった時のためだ。郵便局で「内容証明郵便で送りたい」と伝えれば、窓口で対応してもらえる。「配達証明をつけますか?」と聞かれた時は、つけておくようにするべきだろう。

内容証明郵便を送れば、追跡番号によって、今どこにあるのか、相手が受け取ったかなどを確認できる。

内容証明郵便を送る場合、通常の郵便料金と一般書留の加算料金に加え、内容証明の加算料金と配達証明の加算料金がかかる。加算料金は下記の通りだ。

一般書留の加算料金
435円(損害要償額が10万円までのもの)

内容証明の加算料金
1枚440円
2枚700円
3枚960円
4枚1,220円
5枚1,480円

配達証明の加算料金
320円(差出時)

たとえば、25gまでの定形郵便で送った場合、費用は下記の通りとなる。

郵便料金84円
一般書留の加算料金435円
内容証明の加算料金440円
配達証明の加算料金320円
合計1,279円

また、速達で送った場合は290円(250gまで)が追加でかかる。

内容証明の作成を弁護士に依頼するメリット

これまで解説してきたように、内容証明は自分で作ることもできるが、弁護士などの専門家に依頼することも可能だ。専門家に依頼した方が、手間がかからず、トラブルも早期に解決する可能性が高い。続いては、内容証明の作成や送付を専門家に依頼するメリットを紹介する。

法律的に正しい文書を作成できる

初心者が法律的に正しい文書を作成するのは簡単なことではない。インターネットで様式を調べたり、記載内容にもれがないかチェックしたりしていると、かなりの時間がかかるだろう。大切な記載事項がもれていた場合、あとで証拠としての効力が弱まることにもなりかねない。

その点、弁護士に依頼すれば速やかに文章を作成し、内容証明を相手方に送付してくれる。また、自分の希望が正確に伝わるよう、弁護士に依頼して書面化してもらうことが可能だ。

弁護士名義であれば相手に与える印象が違う

弁護士に依頼した場合、弁護士名義で内容証明を送ることができる。弁護士は法律の専門家だ。内容証明であることに加え、差出人が弁護士であることから、相手に心理的なプレッシャーを与えることができるだろう。

弁護士名義で書類を送付した途端、相手がてのひらを返したように丁寧な対応になるというケースも少なくない。ちょっとしたトラブルであれば、相手は心のどこかで「あの人なら許してくれるだろう」「まだ大丈夫だろう」と軽く考えていることが多い。弁護士名義で内容証明を送ることで、その認識が甘かったと相手に知らしめることができる。

また、内容証明を送っても、相手が応じなければ、結局は裁判になってしまう可能性がある。弁護士が間に入り、うまくトラブルが解決に向かえば、裁判を回避できるかもしれない。そうすれば、結果的にトータルでかかる費用は少なくなる。

専門家に任せられる安心感

個人で内容証明を送ると、相手方からレスポンスがあった場合もなかった場合も、その後の対応をどのように進めていいかわからなくなることも多い。しかし、弁護士に依頼すれば、その後のやり取りを専門家である弁護士に一任できる。

トラブル対応に時間を割きすぎれば、本業に支障が出てしまうこともあるだろう。専門家に依頼することで、細かな対応を一任できれば、心理的負担感は大きく軽減されるだろう。

弁護士に依頼すれば、内容証明送付後の自分自身の振る舞いについても、必要に応じて弁護士からアドバイスを受けることができる。冷静に対応できれば、結果として、交渉やその後の展開を有利に進められる可能性が高まるだろう。

弁護士保険なら弁護士費用が補償される

トラブルが起きた時、弁護士費用を捻出できないばかりに、心理的にも金銭的にも大きな負担を抱えてしまうというケースも考えられる。そんな万一の事態に備えて、日頃から備えをしておくことが大切だ。

弁護士保険に加入しておけば、トラブルが発生し弁護士に相談したとしても、弁護士への相談料が実費で補償される。また、20分など制限時間内であれば、無料サービスで弁護士に電話相談することも可能だ。専門家の知恵を借りることで、負担が軽減され、トラブルは早期解決に向かうだろう。

保険加入前に原因が発生している場合、保険金を受け取ることはできない。しかし、一度トラブルを経験したなら、その後の備えとして、弁護士保険を前向きに検討するといいだろう。

売掛金の回収や問題社員対応といった法人としての対応が必要なトラブル以外にも、いじめ、近隣トラブル、配偶者の不貞行為など、弁護士が必要となるケースは意外と身近にたくさんあるものだ。弁護士保険は、いざという時、自分や家族を守るための切り札になるはずだ。

専門家に依頼することがトラブル解決の近道

未回収代金を再三にわたって請求したり、不貞の事実について配偶者を問い詰めたりしても、うやむやにされてしまうことは少なくない。人間は、当事者間のトラブルに関しては、どこか甘えが生じてしまうものだ。

しかし、そこに第三者である弁護士が介入することで、相手は客観的に自分の非を振り返らざるを得なくなる。同時に、法律によって自分が裁かれる存在かもしれないと認識することになる。相手が自分の態度を改めれば、問題解決の糸口が見つかるだろう。

目先の費用のことだけにとらわれず、必要に応じて専門家を活用する姿勢が大切だろう。