「資産運用を始めたい」と思っても、種類が多すぎて何から始めてよいか分からない人も多いだろう。

今回は、これから資産運用を始めたいと考えている20代に向けて、代表的な資産運用を分かりやすく解説する。20代だからこそのメリットや資産運用のよくある悩み、資産運用で失敗してしまう人の特徴なども紹介するので、ぜひ参考にしてほしい。

資産運用を始める20代が増えている理由

資産運用
(画像=PIXTA)

最近は、20代など比較的若い層でも資産運用が話題になることも少なくないという。資産運用は「やりたい人がやる」ものではなく、「将来のためにやらなければならない」ものだという認識に変化しつつある。

意識が大きく変わるきっかけになったのは、2019年の「老後2,000万円問題」だろう。「公的年金では満足のいく老後生活は送れない」という事実は、多くの人の危機意識に火をつけることになった。少子高齢化や人口減少が止まらない以上、この流れは残念ながら今後も加速すると考えられる。

今の20代が老後を迎えるのは、30年から40年先だ。その頃、果たして年金は受け取れるのか、世の中はどのように変わっているのか。予測できない未来を見据え、「自分の身は自分で守る」という考え方のもと、資産運用を始める20代が増加している。

20代で資産運用を始める2つの目的

資産運用を始めるなら、まずは目的を意識することが大切だ。

資産運用にはさまざまな選択肢があるが、誰にとってもメリットのある「正解」は存在しない。あるのは、「目的に合った運用方法」だ。

だからこそ、効率的に資産運用をするためには、運用方法を選ぶ前に目的を意識しておくようにしたい。20代が資産運用を始める代表的な目的を2つ紹介する。

老後資金への備え

1つは老後資金への備えだ。老後資金を積み立てるのに、「うまくいけば1億円貯まるが、下手をすれば1,000万円しか貯まらない」といった運用方法は適さない。元本保証でなくとも、リスクは最小限に抑えた運用方法を選ぶべきだろう。

逆に老後資金の積み立てをするうえで注目したいのは、運用期間が長期にわたることだ。このメリットを最大限生かせる運用方法を選ぶようにしたい。

経済を学ぶための自己投資

資産運用を自己投資ととらえる人もいる。その場合、「専門家に運用を一任」するタイプの運用方法は適さない。自分自身で情報収集を行い、自身が立てた仮説が成果に反映される運用方法を選ぶべきだろう。

自己投資と考えるなら、いくつかの運用方法を組み合わせてみるのもよいだろう。もちろん余裕資金の範囲内に収めることが大前提だが、複数の資産運用を行うことで、自分の向き不向きが見えてくる。

今のうちに向き不向きを見極めておけば、将来的に大きな資産を築いたとき、効率的に運用して資産を最大化できるだろう。

資産運用の種類

続いて、代表的な資産運用の種類を紹介する。特徴やメリット・デメリットを解説するので、自分が資産運用をする目的に照らし合わせて、適切なものを選んでほしい。

リスクの低い「定期預金・財形貯蓄・国債」

定期預金は、一定期間お金を引き出せない代わりに、普通預金より高い利息がつくという運用方法だ。元本割れリスクがないのはメリットだが、得られるリターンも非常に小さい。数年間で確実に教育資金を貯めたいといった場合などには活用できるだろう。

財形貯蓄は、企業の福利厚生の一つで、会社に貯蓄や運用を任せる方法だ。実際には、集めた資金を会社が金融機関に送金し、金融機関が運用を行う。給与天引きされるため、確実に貯蓄できるのがメリットだ。また、条件を満たせば将来住宅ローンを組んだとき、金利が優遇されるというメリットもある。

一方、自由に引き出しができなかったり、リスクが低い分リターンが少なかったりといったデメリットもある。ただ、住宅ローンの金利の優遇なども含めるとメリットは大きいので、勤め先に財形貯蓄があるなら積極的に活用を検討したい。

国債とは、国にお金を貸すことで、国から利子を受け取るという運用方法だ。国が破たんしない限りは投資資金が戻ってくるため、リスクは低い。一方、利率が低く運用効率が悪いことがデメリットだ。

手堅く運用、節税効果も得られる「保険」

保険というと、「死亡時の保険金」をイメージする人が多いが、資産運用としても活用できる。例えば、変額終身保険であれば、運用成果に応じて将来受け取れる満期保険金の金額が変わる仕組みになっている。

保険で資産運用するときに忘れてはならないのが、節税効果だ。生命保険料控除を20代のうちから毎年適用すれば、一生涯で得られる節税効果は数十万円から数百万円にものぼる。

手堅く運用したい人、節税効果を重視したい人にとって、前向きに検討したい運用方法だ。一方、利率は投資信託や株式投資などと比較すると、どうしても見劣りすることが多い。

専門家にお任せできる「投資信託」

投資信託とは、集めた資金を専門家がまとめて運用してくれるタイプの投資商品だ。投資信託を購入するだけで、国内外の株式や債券に投資していることになる。投資先が自動的に分散されるため、リスクを抑えられることや、手間をかけずに専門家が運用してくれる安心感があることが、投資信託の魅力だ。

一方で、運用を一任することになるため、資産運用を学びたい人や、将来的に自分で積極的に投資をしたいと考えている人には向かない方法だ。

ハイリターンを狙える「株式投資・FX」

株式投資は、企業が発行する株式を購入し、購入時より高値で売却して売却益を得る投資方法だ。うまくいけば大きなリターンが得られる一方で、初心者が株価の動きを予想するのは非常に難しい。株式投資を始めるなら、ハイリスク・ハイリターンということをよく理解し、節度をもって資金を投じることが大切だ。

FX(外国為替証拠金取引)は、二国間の通貨を売買し、為替レートの変動によって差益を出す投資方法だ。FXでは、最大で元手の25倍の取引ができることから、ハイリスク・ハイリターンの投資方法の代名詞にもなっている。

うまくいけば短時間で大きな利益を上げられる一方、損切が間に合わなかったときの痛手はかなりのものなので、よく情報収集してリスクを知ったうえで取引を始めるようにしたい。

現物資産に魅力を感じるなら「不動産投資」

目に見えない金融商品より、現物資産を所有したいと考える人もいる。現物資産に魅力を感じるなら、不動産投資が適しているだろう。定期的に家賃収入が得られる不動産投資は、投資期間が長くなるほど利益が積み上がるので、20代に適した投資方法とも言える。

オーナーとして経験を積むことで運用効率が上がるため、20代のうちから始めることには大きな意義がある。一方で、ローンを組む必要があるため、返済リスクについては十分理解しておきたい。また、売却しやすい都心の駅近物件を狙うなど、物件選びは慎重に行う必要がある。

20代で資産運用を始めるメリット

資産運用というと、元手の大きさが重要と感じるかもしれない。資産運用の初心者は特に、そう考えて貯金を始め、いつまでたっても資産運用に踏み切れないことも少なくない。

しかし、資産運用の成果を決めるうえで重要な要素は、元手以外にもたくさんある。ここで注目したいのは、運用期間だ。

1年後に運用で確実に成果をあげようとするのは難しい。運用を始めてからの1年間、ずっと景気が悪ければ、運用成果はマイナスになる可能性が高いからだ。

しかし、40年で運用成果をあげようと考えれば、話は変わってくる。40年もの月日があれば、景気はよくなったり悪くなったりする。積立投資なら、不景気のタイミングでたくさん買い、好景気のタイミングで利益を上げることができる。大きな利益が出た場合には、一度現金化してしまうという手もある。

運用期間が長ければ長いほど、戦略の幅は広がり、成果をあげられる可能性も高くなる。「時間」を味方につけられることは、20代ならではのメリットと言えるだろう。

資産運用を始める20代の悩み

続いて、資産運用を始める20代のよくある悩みと、それぞれの回答を紹介する。

少額だと意味がない?

「お金を貯めてから運用したい」という人がいるが、そういう人は、実際にお金が貯まってからも運用を始めない場合が多い。

利率5%とすると、元手10万円なら運用益は5,000円だが、元手100万円なら運用益は5万円となる。確かに、元手が運用成果に与える影響は大きい。しかし、元手10万円を運用しなければ、5,000円すら得られないのだ。

また、まったく資産運用をしてこなかった人が、大金をいきなり運用することのリスクも大きい。少額からコツコツ運用を続けながら、同時並行で元手を増やしていくのが賢いやり方と言えるだろう。

どのぐらい投資に回すべき?

よく、投資・消費・浪費の理想的な割合が紹介されている。しかし、収入も生活水準も異なる中で、一律に理想的な割合を当てはめてお金を投じるのは困難だ。参考にするのはかまわないが、資産運用にどのぐらいのお金を回すかは、自分自身で判断すべきだろう。

あえて正解を求めるのであれば「無理のない範囲」ということになる。月々の生活費や、帰省代など年間の特別費用、いざというときのための突発費用などを見積もり、自分で「どのぐらいなら安全か」を見極めることが大切だ。

また、不安が大きいなら換金性の高い運用方法を選ぶのも1つだ。投資信託や期間の短い定期預金なら、比較的安心して運用を始められるだろう。

投資商品が多すぎて選べない

情報収集するほど、どれが一番いいか決めかねて、かえって運用を始められなくなるという意見もある。そんなときは、最低額からでいいので、複数の投資商品を購入してみるのもよいだろう。実際に購入することで、自分の興味関心や向き不向きが見えてくる。

20代の資産運用の成功例・失敗例

続いて、資産運用の成功例と失敗例を紹介する。

資産運用に成功したAさん

20代のAさんは、「老後2,000万円問題」のニュースを見てから、老後資金の積立が必要だと考えるようになった。また、ビジネスパーソンとして経済についての知識を身に付けるため、自己投資として資産運用をしたいという気持ちもあった。

Aさんはまず、老後資金の積立として投資信託を始めることにした。投資信託なら、専門家に運用を一任できるし、長期投資によって20代の持つ「時間」という強みを生かせると考えたからだ。

同時に、勤務先と関連のある業界を選び、とある企業の株式を購入した。四季報などで企業分析を行った結果、今後成長するという期待感を抱いたからだ。

投資信託は、その後も普通預金より高いパフォーマンスで運用できており、着実に運用益が積み重なっている。また、株式を購入したことで株価をチェックする習慣が身に付き、業界動向や関連ニュースにも敏感になった。

資産運用によって得た知識を本業に活用したり、資産運用が顧客との会話のきっかけになったりと、Aさんは金銭的な価値以上の効果が得られたことを実感している。

Aさんが資産運用に成功したのは、資産運用の目的を明確にし、目的に合った運用方法を選択したからだ。また、余裕資金の範囲内で無理のない金額を投じたのも、成功の秘けつと言えるだろう。

資産運用に失敗したBさん

20代のBさんは、親しい友人が資産運用を始めたという話を聞き、置いていかれる不安から焦って資産運用の方法を探し始めた。とはいえ、情報収集の時間もなく、たまたま見つけたパンフレットにのっていたiDeCoを始めることにした。

iDeCoであればテレビなどでもよく取り上げられており、節税にもなることから、リスクはないだろうと考えたのだ。Bさんは深く考えずに、iDeCoでお金を積み立て始めた。

しばらくしてBさんは、休暇中のケガで入院することになった。その時、手持ちのお金が心もとなかったので、iDeCoを解約しようと考えた。しかし、iDeCoは原則60歳まで一切引き出しができないと知り、結局遠方の両親からお金を借りる羽目になってしまった。

Bさんが失敗したのは、資産運用の目的を明確にしなかったからだ。目的がないと、何を基準に選べばよいか分からないため、情報収集も進まない。また、周りの情報に流されて誤った判断をしてしまいがちだ。目的を明確にし、メリット・デメリットを理解したうえで、資産運用を始めるようにしたい。

資産運用の典型的な失敗例

続いて、資産運用をする際に起こりがちな典型的な失敗例を2つ紹介する。

メリットだけを見て投資商品を選んでしまう

投資商品には、メリットもあればデメリットもある。必ず両面を見たうえで、投資判断をしなければならない。

「『節税効果がすごいらしい』という理由でiDeCoを始めたら、資金がロックされて生活に困窮してしまう」「手数料を考慮せずに投資信託を購入してしまう」といった事例は数多く発生している。 デメリットにも目を向けた上で、自身にとって最適だと思える投資商品を選ぶことが大切だ。

知識がないままハイリスクな商品を選んでしまう

投資経験を積むまでは、ハイリスクな商品は選ばず、リスクを抑えて投資を継続することが大切だ。

「最大でこれだけの運用益が受け取れます!」という文句に踊らされてハイリスクな外貨建て保険を購入した結果、結局マイナスの運用成果で終わってしまうといったケースがある。

ハイリスクな商品はハイリターンを得られる可能性もあるため、それだけ魅力的に映ることも多いだろう。しかし、ハイリターンはハイリスクの裏返しだと理解したうえで、慎重に投資商品を選ぶ必要があるだろう。

資産運用で失敗してしまう人の3つの特徴

続いて、資産運用で失敗してしまう人の特徴を3つ紹介する。こうしたポイントを理解することで失敗のリスクを抑えることできるだろう。

資産運用の目的が明確ではない

明確な目標がない場合、手段も不明確となり、成果を得ることができないケースが多い。

「人からすすめられたから」「なんとなく将来が必要だから」といった曖昧な目的意識のまま資産運用を始めるのはハイリスクだと言えるだろう。きっかけはそれでもかまわないが、自分なりに資産運用の目的について深く考え、納得できる目的を見出してから資産運用を始めることが望ましい。

目的に応じて、資産形成の方法も変わってくる。

たとえば、「手間を最小限にし、リスクを抑えて資産形成する」という考えなら、投資信託が適しているだろう。一方、「複数の投資商品を購入し、金融の知識を身につけたい」と考えているなら、投資信託だけでなく、外貨預金や株式を組み合わせてみてもいいかもしれない。

「30歳までに資産を1,000万円貯める」「必ず毎月5万円は資産運用を継続する」といった数値目標を立てるのもいいだろう。具体的な目標があれば、それだけ資産運用を継続するモチベーションにもなる。

資産運用の目的を明確にすることは、納得のいく運用成果をあげるうえで不可欠だ。

自ら資産運用について情報収集をしない

まったく情報収集をせず、営業マンにすすめられるがままに投資商品を購入する人もいるが、営業マンの中には、自社で取り扱っている投資商品しかすすめてこないという人もいるだろう。

そのため、フラットな状態で投資商品についての知識を蓄えるためには、本やインターネットを通じて積極的に情報収集することが大切だ。情報収集の際には、本の著者や記事の著者に注目し、著者のバックグラウンドを知っておくことも大きな意味を持つ。

投資信託や不動産投資の場合、資産運用を始めてからは、それほど手間をかけることなく、資産を築くことができるだろう。しかし、資産運用を始める前はもちろん、投資している間は、きちんと情報収集をするようにするべきだろう。

焦って極端な行動に出てしまう

資産運用において大切なのは、常に冷静な判断をすることだ。

たとえば、投資信託の評価額が下がったからといって、焦って解約してしまう人がいる。評価額が下がった時点では、実際に損失が確定したわけではない。それにもかかわらず、解約して現金化してしまうことで、自ら損失を確定させてしまっているのだ。

むしろ、評価額が下がった時こそ冷静になる必要がある。評価額が下がっても投資を継続する選択をした結果、評価額が回復したケースも多々ある。特にリーマンショックやコロナショックなどでは、一時的に大きく評価額が下がる分、回復も早い。

株価や為替レートの変動が激しい株式投資やFXでも、自分を律することは何より大切だといわれている。株式投資やFXをする時は、厳格なマイルールを作り、それに従って運用するといった方法もある。

資産運用を始めるなら、焦って解約に走ってしまうようなことがないよう、冷静に運用成果を見守ることも必要だろう。

20代が資産運用を始めるときの注意点

最後に、20代が資産運用を始めるときの注意点をまとめておこう。

・資産運用の目的を明確にする
・目的に合った運用方法を選ぶ
・運用方法のメリット・デメリットを理解する(デメリットのない運用方法はないと考える)
・資産運用のリスクを理解する

資産運用には、必ずリスクがつきまとう。リスクがあるからこそ、普通預金よりも高いリターンが期待できるのだ。そのことをよく理解し、「得をする」のと同じだけ「損をする」可能性があることを理解しておくようにしたい。

そのことも踏まえて、どのぐらいの資金を資産運用に回すのか、冷静に判断することが大切だ。

将来後悔しないために、20代がやるべきこと

「時間」は20代の強みだと解説した。しかし、時間を生かすか殺すかは、20代の過ごし方にかかっている。何も行動を起こさなければ、ただ時間は過ぎ去っていく。将来後悔したとしても、時間は戻っては来ない。

20代の貴重な時間を人生において有意義なものとするため、今何をすべきか考えることが大切だろう。

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