「老後2,000万円問題」などの影響もあり、資産運用の必要性が強調されるようになってきた。ただ、一口に資産運用と言ってもさまざまな種類がある。また、種類によってリスクやリターンも大きく変わってくる。

今回は、資産運用の種類ごとに特徴を考え、リスクや期待できるリターンについて説明する。どのような資産運用が自身に合っているのかを検討するのに役立ててほしい。

資産運用にはさまざまな種類がある

資産運用
(画像=PIXTA)

資産運用にはさまざまな種類がある。身近なものでいえば、預金も資産運用の一つだ。ほかにも、株式、国債、投資信託といったさまざまな資産運用のための金融商品がある。最近では、FX(外国為替証拠金取引)や暗号資産(ビットコインなど)といったものも注目を集めている。

また、広くとらえるならば、絵画や宝石、土地やマンションを購入するのも資産運用の一つと言える。

資産運用の種類ごとの特徴を把握しよう

資産運用は多種多様であるだけでなく、それぞれリスクが異なっており、メリットとデメリットがある。資産運用を始めるに当たっては、種類ごとにどのような特徴があるのかを把握しておく必要がある。

ここでは、比較的身近な金融商品である預金、国債、株式投資、投資信託といった資産運用を中心に説明する。それぞれの特徴を理解して、自分に合った資産運用商品を見つけてほしい。

資産運用の種類ごとに異なる「リスクとリターン」

資産運用を始めるには「リスク」と「リターン(収益)」の関係を理解する必要がある。

世間一般では「リスク」は「危険」という意味で用いられることが多いが、投資の世界のリスクは、リターン(収益)の不確実性の度合い(振れ幅)を指している。例えば、株式は日々の価格が大きく変動するためリスクが大きいと表現される。一方、預金などは、決まった期日に決まった利息がほぼ間違いなく受け取れるのでリスクが小さいと表現される。

通常、リスクとリターンは表裏一体の関係にあり、リスクを低く抑えようとすればリターンは低下する(ローリスク・ローリターン)。反対に、高いリターンを得ようとするとリスクも高まる(ハイリスク・ハイリターン)。ゆえに、リスクが低くて高いリターンが期待できる(ローリスク・ハイリターン)というような都合の良い資産運用は存在しないと考えるべきだろう。

「預金」で資産運用

まずは、多くの人になじみがある「預金」について考えよう。

・預金も立派な資産運用

銀行などの金融機関にお金を預ける「預金」も資産運用の手段の一つである。金額の大小はあるものの、ほとんどの人がすでに実践している資産運用ではないだろうか。

預金は予定された利息が期日に受け取れる。さらに、万一預けた金融機関が破綻したとしても預金保険制度により1つの金融機関当たり1,000万円までとその利息が保護される。そのため、預金は非常に安全性が高くリスクがほぼゼロに近い資産運用方法と言えるだろう。

リスクが低く安全性が高い一方、高いリターンは見込めないのも預金の特徴である。特に、日本では何年も超低金利が続いており、預金から受け取れる利息はわずかであるため、資産運用の対象としてあまり注目されていない。しかし、金利が上昇すれば魅力的な資産運用方法の一つとなる可能性もある。実際、過去には今の何倍もの利息が受け取れることが普通の時代もあった。

・インフレには弱い預金

リスクが低く最寄りの金融機関で簡単に始められる預金だが、インフレリスクに弱いというデメリットがある。預金金利よりも物価上昇率のほうが高くなる場合、預けたお金の実質的価値が目減りするリスクがある点に注意したい。

「国債」で資産運用

預金よりももう少し高い収益を狙うなら「国債」を検討してもよいだろう。

・国にお金を貸す「国債」

投資家が国債を購入することは、日本政府にお金を貸すことを意味する。お金を貸しているその期間中は定期的に利子を受け取ることができる。満期になれば元本が返済される仕組みだ。

国債も債券の一種であるが、国が発行しているため、企業などが発行する社債などに比べて安心度は高い。一般的に銀行の預金よりも高い利息を受け取れることが多い。

また、国債は多くの銀行、証券会社で取り扱われているため、初心者でも比較的始めやすいというメリットがある。

注意点としては、満期が到来する前に売却する場合だ。その場合は元本割れの可能性があるので注意したい。

・「個人向け国債」で手軽に始める

個人投資家が国債での資産運用を始める場合、個人向けに設計された商品である「個人向け国債」が向いているかもしれない。

個人向け国債は1万円から投資でき、比較的手軽に始めることができる。預金より高い利回りが期待できるうえに、国債でありながら元本保証もある。また、中途換金も1万円単位で可能だ。このように個人向け国債は資産運用の初心者でも安心して始められる設計となっている。

個人向け国債は満期前であっても1万円単位で中途換金ができるため、流動性もある程度確保されている。ただし、個人向け国債の場合は、最初の1年間が経過するまでは原則として解約できない制限があるので注意したい。

「株式投資」で資産運用

リスクが高くなっても高い収益を追求したいのであれば、株式投資も選択肢に入ってくる。

・大きな値上がり益も狙える「株式投資」

企業が発行する株式を購入することで、その企業の株主になる投資のことを「株式投資」と いう。

株式での資産運用では主に2つの収益のチャンスがある。一つは、株式を買ったときよりも高く売却することで値上がり益(キャピタル・ゲイン)を狙うこと。そして、もう一つが配当金(インカム・ゲイン)を受け取ることだ。

株式の価格は日々変動しており、激しく変動する株式も少なくない。中にはわずか数日で株価が数倍に上昇することもある。一方、企業の業績が思わしくなかったり、経営不祥事などが原因になったりして、大きく株価が下がることがある。最悪のケースとして株式を発行した企業が倒産すれば、保有している株式の価値はゼロとなり投資元本をすべて失うことになりかねない。

このように、株式投資は大きなリターンが狙える一方で、価格変動が大きいためハイリスク・ハイリターンの資産運用である。リスクがあることを承知で高いリターンを期待するのであれば、株式投資に挑戦してみてもよいだろう。

・証券会社での口座開設が必要

株式投資をしたいのであれば、通常、証券会社に口座を開設しなければならない。初心者にとって、証券会社は銀行より敷居が高いと感じるかもしれない。だが、現在は口座開設から取引までインターネット経由で完結する証券会社も多く、比較的簡単に取引を開始できる環境が整っている。

「投資信託」で資産運用

自ら国債や株式を選んで投資するのではなく、資産運用のプロにお金を任せて「投資信託」で資産運用を始めることもできる。

・プロに任せる投資信託

投資信託とは、投資家から小口のお金を集めて、まとめた資金を資産運用の専門家が株式や債券などに投資する金融商品だ。投資額に応じて運用成果が投資家に分配されるという仕組みである。

一般に投資信託は営業日ごとに価格(基準価額)が計算されてその値段で売買される。購入した値段よりも高い値段で売却できれば運用益となる。一方、低い値段で売却した場合は損失が発生する。投資信託は預金や国債のように元本が保証されるものではない点には留意しておこう。

投資信託は種類が多く投資対象もさまざまだ。株式のみを投資対象にしている投資信託もあれば、債券にしか投資しない投資信託もある。また、株式と債券を組み合わせて投資するものもある。さらには、金や不動産を投資対象とする投資信託もある。

投資信託はローリスク・ローリターンのものからハイリスク・ハイリターンのものまで数多くある。これは、何を投資対象としているかによって変わってくる。また、運用を担当する専門家(ファンドマネジャー)の運用手法や戦略によってもリスクやリターンは変わってくる。リスクとリターンのバランスを考えて、自身の投資スタイルに合った投資信託を見つけることが大切だ。

・各種金融機関で少額から始められる

投資信託は、証券会社だけではなく銀行や保険会社などの身近な金融機関でも取引することができる。

投資信託には少額から投資を始められるというメリットがある。500円や1000円程度の小口の資金から投資信託を購入できる金融機関も少なくない。投資信託を利用して少額の資産運用から始めてみるのも1つの選択肢だろう。

さまざまな種類の資産運用

預金、国債、株式、投資信託といった代表的な金融商品での資産運用を説明した。だが、資産運用するための金融商品はこれだけではない。

・その他の運用商品

例えば、デリバティブ(金融派生商品)といわれる先物取引やオプション取引などがある。また、レバレッジをかけて外国為替を取引するFX(外国為替証拠金取引)もある。近年では、ビットコインに代表される暗号資産の売買も金融商品と同様に取引できるようになってきている。

・リスクが高い資産運用は注意

先物、オプション、FX、ビットコインなども資産運用の選択肢とすることはできる。

ただし、こうした運用は複雑な仕組みとなっており、十分な知識がないと大きな失敗をしてしまう可能性がある。また、株式や投資信託に比べてリスクが高い取引が多い。

高いリスクを許容でき、かつ十分な知識を持ったうえで、これらの資産運用を検討したい。

自分の資産状況と目的にあった資産運用の商品を選ぶ

代表的な4種類の資産運用について説明してきたが、初心者であれば、まずはこうした一般的な資産運用から検討していきたい。

ただし、どんな種類の資産運用を始めるのかを決めるには、自身の収入や資産状況、年齢なども考慮に入れて総合的な判断が必要だ。また、何のために資産運用するのかも明確にしておきたい。

やみくもに資産運用を始めるのは推奨されない。自身の状況と投資の目的を吟味して、それにふさわしい資産運用を見つけることが肝要だ。