新社会人は、多くの場合4月に初めての給与を受け取る。しかし、一般的に給与明細の読み方を教えてくれる会社はそれほど多くないだろう。

給与明細の読み方を教わる機会は意外に少ないのだが、知っておくことは今後のマネープランを立てるために非常に重要と言える。ここでは社会人の基本である給与明細の読み方について解説する。

給与明細に記載されるべき事項とは?

給与明細
(画像=PIXTA)

はじめに給与明細とはどのようなものかを見ていこう。給与明細とは、その名のとおりその月の給与についての明細が記載された計算書のことだ。所得税法第231条で、事業者は従業員に対して給与明細を交付することが定められている。サイズや形式は特に定められていないが、以下の事項については記載が必要である。

・勤怠:出勤日数や欠勤日数、残業時間などを記載する
・支給:会社から支給されている金額などを記載する
・控除:給与から差し引かれている金額などを記載する

その他、口座に振り込まれた金額も記載する必要がある

給与明細の記載事項

では、給与明細の記載事項を項目ごとに詳しく見ていこう。

支給額の内訳

支給額には、次の事項が記載されている。

・基本給

基本給とは、給与の基本となる金額のことである。賞与の金額も基本給をもとに計算されるので、基本給の金額がいくらかを確認しておくことは重要だ。

・各種手当

各種手当には、家族手当や住宅手当、役職手当、残業手当など多くの種類がある。自分にどの手当がついているのかを押さえておく必要がある。

控除額の内訳

控除額の中身には大きく分けて社会保険料と税金の2つがある。

・社会保険料

社会保険料とは、健康保険や厚生年金、雇用保険の保険料のことである。

【健康保険】

健康保険は医療を受けるための保険のことだ。健康保険には、全国健康保険協会(協会けんぽ)や会社や業界の健康保険組合などの保険があるが、勤めている会社が加入している健康保険に加入する。

【厚生年金】

厚生年金とは、老後資金の確保など、将来に年金を受給するために支払う保険のことだ。個人事業主は国民年金に加入するが会社員は厚生年金に加入する。厚生年金は2階建てで厚生年金の保険料を支払っていると自動的に国民年金の保険料も納めていることになる。健康保険と厚生年金の保険料は、原則会社と従業員で折半して支払う。

※会社の健康保険組合などの健康保険料では、会社が多くの割合を支払うこともある。

【雇用保険】

雇用保険とは、従業員の雇用の安定や促進を目的として作られた保険のことだ。従業員が退職し次の勤め先を探す場合の失業保険などの原資として納める保険である。雇用保険は、会社と従業員で一定の割合ずつ負担することになっている。

【介護保険】

40歳からは、介護保険料の控除が始まる。給与所得者の場合、被保険者と事業者で2分の1ずつの負担が原則だ。

・税金

税金には、所得税と住民税がある。

【所得税】

所得税とは、国に支払う税金のことだ。毎月の給料の金額や配偶者・子どもなどの扶養人数によって天引きされる所得税の金額が異なる。毎月の給料から収入に応じた税金をあらかじめ差し引くことを源泉徴収という。そのため源泉徴収税や源泉所得税と記載されることも多い。

【住民税】

住民税とは、都道府県や市区町村に支払う税金のことだ。前年度の給料をもとに毎月支払う金額が計算され、6月から翌年5月までの給料から分割して差し引かれる。新社会人の場合は前年度の給料はないため、1年目は住民税が差し引かれない。2年目の6月以降は住民税が発生するため、手取りが減る可能性がある点は押さえておこう。

社会保険料や税金のほか、会社によっては互助会費や積立金などの控除もある。

給与明細の内容をしっかりと理解し、マネープランを立てよう

ここまで給与明細の記載内容について見てきたが、なぜ給与明細の内容を理解しておく必要があるのだろうか。それは給与額と口座に入金される手取り額とは大きく異なるからである。

新社会人の多くは、思ったより手取り額が少ないと思うかもしれない。こうしたケースは、新社会人だけでなく、例えば昇給があった場合なども、考えていた金額よりも手取り額が少ないことが多々ある。

今後、結婚や出産などの将来設計をする場合には、「どのぐらいの収入と出費があるか」などのマネープランを立てることが重要だ。給与明細にはマネープランを立てるうえでも欠かせない情報が満載である。支給額や控除額、手取り額などをしっかり確認するだけでなく今後の増減の可能性も考えておく必要があるだろう。

社会情勢は刻一刻と変化していく。自然災害などにより会社の倒産や事業の縮小が起き、給与金額や手取り額が減少する可能性もある。そのためマネープランを立てる際には、給与だけでなく投資など別の収入の入り口を作っておくことが今まで以上に重要だ。給与明細の記載内容をしっかり理解することで月々の投資にまわせる金額も把握することが可能である。

新社会人となり給与明細を手にした後は、その記載内容を把握し、資産運用にもチャレンジしてみてはいかがだろうか。