現役証券アナリストが現地調査!新興国株投資で勝つ方法【4】東南アジアの急先鋒:日本の高度経済成長期を彷彿とさせるベトナム経済

2020年に入り、米国株式は史上最高値を更新、日経平均株価も28年ぶりの高値圏での推移が続いています。ただ、好調とはいえ、成熟した日米の株式市場の株価指数がここから数年で数倍になることはないでしょう。一方、新興国には夢があります。スローな投資で大きなリターンを狙える新興国投資に目を向けてはいかがでしょうか。アイザワ証券の今井正之さんが、ベトナム投資の魅力をレポートします。

ベトナムは東南アジアの急先鋒

現役証券アナリストが現地調査!新興国株投資で勝つ方法【4】東南アジアの急先鋒:日本の高度経済成長期を彷彿とさせるベトナム経済

ベトナムは、一言でいえば伸び盛りの国です。日本に例えると高度成長期、あるいは1964年の東京五輪の頃を彷彿とさせます。ベトナムは20世紀に戦争などの動乱が続き、国民の大半が低所得者層でした。しかし、21世紀に入ると7%近い経済成長が長く続き、約1億人(9600万人)の国民が中流層(中間層)に変わりつつあります。国民の平均年齢は31歳と若く、勤労かつ勤勉な国民性から昔の日本とよく似ているとの声も聞かれます。

ベトナムは南北に国土が長く、長い海岸線を持ち、国土の4分の3が山岳地帯です。面積も日本の9割程度と地理的共通点もあり、戦後の混乱から発展した日本に憧れと親近感を持っているためか、一般的にベトナム人は親日的です。日本製品の高品質・高級品のイメージも健在で、店名や商品名に日本語風の名前をつけたり、意図的に日本語表記をしたりする傾向があります。米中貿易摩擦のマイナスの影響もありますが、関税を嫌った企業が工場を中国からベトナムへ移転するという動きもあり、経済成長率を上方修正した国として注目されています。労働者の賃金水準が隣国の中国の3分の1程度と安い点も経営者にとっては魅力です。

現在、ベトナムの株式市場は、ホーチミン証券取引所、ハノイ証券取引所・UPCOM(店頭取引)など3つの市場に約1000銘柄が上場、時価総額は約20兆円程度となります(2019年末現在)。2000年7月にホーチミン証券取引所が開設された時、上場企業はわずか2社でした。2004年に外国人のベトナム株購入が解禁となり、2006年頃に日本人が現地の証券会社に直接口座を開設する動きが流行し、銀行や不動産株の時価総額が急激に膨らみました。当時の外国人口座開設数(約1万件)の9割近くが日本人でしたが、2007年以降に投資バブル崩壊とリーマンショックの景気後退が重なり、最初のブームは終息しました。もっとも2010年頃から日本の証券会社がベトナム株の取扱いを開始、ネット取引や税務申告が簡便な特定口座が利用できるようになりました。また、現在はベトナムを対象とする投資信託の取扱いも随分と増えています。

ベトナムを訪問すると、ハノイやホーチミンの至る所で建設中のビルや商業施設を見かけるはずです。地方に行けば、工場や道路・港湾などが建設中で、国中が建設ラッシュだということに気づきます。ベトナムは2015年から非居住者の不動産購入が解禁となり、中華圏の投資マネーが流入し住宅用不動産価格が上昇しました。ただ、不動産市況にはやや過熱感もあり、タイミングや立地に関して熟慮が必要です。

高度成長期の日本を彷彿させるベトナム経済

2006年頃と異なり、現在のベトナム株式市場はPER(株価収益率)が10倍以下で、配当利回りが10%超といった割安感のある銘柄が結構あります。なかでも工業団地や公益(電力・エネルギー・水)といった業種に注目しています。ここであえて日本の高度成長の経験を例に挙げたいと思います。世界から「東洋の奇跡」と称えられた前回の東京五輪の頃の日本は人口が約9,700万人、1人当たりGDPが約2,000ドル、平均年齢29歳と現在のベトナムの状況と似ています。当時の日本は高度経済成長の真っ只中、五輪景気に沸き立ち、新幹線や高速道路など国中が建設ラッシュ、産業や輸出が急速に伸びて人々の生活も一気に豊かになりました。ちなみに、日経平均株価は約1,200円でした。反面、都市部への人口集中や工業優先政策のために、交通渋滞や大気汚染、電力不足、公衆衛生等の課題もありました。

さて、現在のベトナムは、あちこちに工場が建設され工業団地が賑わっています。工場が増えれば、工業用水や電力の需要が増加し、今後10年に渡り供給不足と予測され、発電所や水道の整備が急がれています。また大都市では渋滞を防ぐために地下鉄の整備や大気汚染対策が必要となりますが、こうした現象は日本の経験と一致します。タイムマシンで昔の日本に戻ることはできませんが、ベトナムの高配当銘柄に分散しながら積立投資を行い複利(配当再投資)で長期間運用すれば、日本の経験を資産運用に活かすことができるのではないでしょうか。

最後にエピソードを一つ

初めてベトナムを訪問したある時、レストランで中学生ぐらいの女の子から「日本語の発音を教えて欲しい」と日本語で声をかけられました。理由を聞くと「この店はお父さんの店。だから日本語を覚えて売上を増やしたいの。お父さんは頑張って学校に行かせてくれるの。私は一生懸命勉強して、家族を楽にしたい。日本がどうやって豊かになったのか教えて欲しい」と真剣な顔で言うのです。この国は、必ず発展すると予感した一幕です。

今井正之さん アイザワ証券商品本部 市場情報部アナリスト 国際公認投資アナリスト(CIIA)、CFP、1級FP技能士。アジア株式に強いアイザワ証券の市場情報部に所属。新興国、欧米市場のアナリストとして活躍。豊富なアジア新興国の企業訪問実績をもとに、現地の生々しい情報分析を伝えている。ストックボイス「東京マーケットワイド」にも出演中。

(提供:ANA Financial Journal

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