米国では株主還元意識が強く、日本に比べて株式配当利回りが高い傾向にある。そのため配当を目的に米国株に投資する投資家も少なくない。ここでは米国株の高配当銘柄の配当支払回数や利回り、該当企業概要など紹介。今まで投資対象は日本株のみという人も、これを機に米国株投資を検討してみてほしい。

目次
1,米国株の配当の3つの特徴――配当回数、連続増配、配当利回りの高さ
2,世界的有名企業の配当利回りは?アップル、マイクロソフト、マクドナルドなど
3,米国株の中大型優良銘柄配当利回りランキングTOP10!利回り8%台も
4,米国株投資の有名戦略「ダウの犬」とは?
5,米国株は長期保有でリターンに期待できる

1,米国株の配当の3つの特徴――配当回数、連続増配、配当利回りの高さ

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(画像=Patrick Poendl/Shutterstock.com)

米国では「株式会社は株主のもの」という意識が強く、利益の株主還元策として配当を重視している企業が多く見られる。こうした米国株の特徴でも特に際立った3つの特徴を挙げていきたい。  

特徴1,配当が年4回配の企業が多い

米国企業には日本企業のような株主優待制度はないものの、四半期配当、つまり配当金の支払いが年4回ある企業が圧倒的に多い。日本では配当は年2回あるいは年1回の企業が大半だ。

たとえば、世界的に有名な米国のアップル の配当は、例年2月、5月、8月、11月の年4回だ。マクドナルド は3月、6月、9月、12月の年4回。ペプシコ は1月、3月、6月、9月の年4回である。

特徴2,日本ではあまりない長期連続増配銘柄が存在

何十年も増配を継続している企業も多く、63年連続増配で第1位のプロクター・アンド・ギャンブル や61年で第2位のスリーエム 、 57年のコカ・コーラ とジョンソン&ジョンソン などが名を連ねる。

連続増配企業は、概して経営基盤が安定しており、成長性も期待できる優良企業であるため、配当を得るだけでなく投資対象としても魅力がある。

米国の取引所に上場している企業で流動性のある大型株から選ばれたS&P500の構成銘柄のうち、25年以上連続増配している銘柄で構成される株価指数は「S&P 500 Dividend Aristocrats Index」(S&P500配当貴族指数)と呼ばれる。その構成銘柄はインカムゲインを目的とした投資銘柄選定に大いに役立つ。

構成銘柄の上位には、AT&Tやシスコ、プロクター・アンド・ギャンブルなどがある。

特徴3,日経平均株価よりNYダウの配当利回りのほうが高め

個別銘柄の配当利回りだけでなく、日米の代表的な株価指数であるNYダウ工業平均株価と日経平均株価においても、前者に分がある。

2019年10月21日現在の指数ベースの配当利回りは、NYダウが2.39%(ブルームバーグ公表)、日経平均は1.96%(日経平均プロフィル公表)となっている。

相場によって多少の変動はあるものの、長期的に見ると、NYダウ配当利回りが日経平均配当利回りを上回る傾向が見られる。

2,世界的有名企業の配当利回りは?アップル、マイクロソフト、マクドナルドなど

米国企業の配当利回りがどれほどなのか、確認してみよう。

サンプルは米国を代表する有名企業5社、アップル、マイクロソフト、マクドナルド、ジョンソン&ジョンソン、そしてエクソン・モービル。上記5社の2020年5月4日時点での配当利回りと株価(現地終値)、各社の直近1年間に支払われた1株あたりの年間配当金総額も併せて紹介する。

ティッカー 会社名 配当利回り
(実績)
直近1年間の
1株あたり
年間配当金総額
基準株価
(2020/5/4終値)
APPL アップル 1.05% 3.08米ドル 293.16米ドル
MSFT マイクロソフト 1.11% 1.94米ドル 178.84米ドル
MCD マクドナルド 2.65% 4.82米ドル 181.87米ドル
JNJ ジョンソン&ジョンソン 2.56% 3.8米ドル 148.27米ドル
XOM エクソン・モービル 7.75% 3.48米ドル 44.88米ドル

米国を代表するアルファベット(グーグル)やアップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コムのような持続的成長企業は、株主還元にあまり積極的ではない。事実、アルファベット、フェイスブック、アマゾン・ドット・コムは配当を実施しておらず、利益を自社の成長のために使っている。

配当を実施している企業も、配当金が抑えられているため配当性向が低く、配当利回りも低めになっている。

それに対して、米国の典型的な重厚長大産業のエクソン・モービルは、株主還元を重視しているが株価が安いため、配当利回りが相対的に高くなっている。

3,米国株の高配当利回り銘柄ランキングTOP10!利回り8%台も

米国株の中で、ダウ平均やナスダック100、S&P500を構成する中型株と大型株を対象に、高配当銘柄上位10社のランキングを見てみよう。配当利回り算出のための基準株価は2020年5月4日終値(現地時間)、1株あたり年間配当金額は直近1年間に支払われた配当金の合計額である。

米国株の中大型優良銘柄高配当ランキング

順位 ティッカー 会社名 配当利回り
(実績)
直近1年間の
1株あたり
年間配当金総額
基準株価
(2020/5/4終値)
1 OXY
オクシデンタル・
ペトロリウム
20.30% 3.15米ドル 15.52米ドル
2 F フォード・モーター 12.35% 0.6米ドル 4.86米ドル
3 SLB シュルンベルジェ 12.32% 2.00米ドル 16.23米ドル
4 MO アルトリア・グループ 8.73% 3.32米ドル 38.01米ドル
5 WMB ザ・ウィリアムズ 8.05% 1.54米ドル 19.13米ドル
6 XOM エクソン・モービル 7.75% 3.48米ドル 44.88米ドル
7 T エーティー・アンド・
ティー(AT&T)
6.96% 2.06米ドル 29.60米ドル
8 PPL PPL 6.61% 1.651米ドル 24.96ドル
9 PM フィリップ・モリス・
インターナショナル
6.34% 4.65米ドル 73.31米ドル
10 KHC クラフト・ハインツ 5.54% 1.6米ドル 28.93米ドル

配当利回りは、1株あたりの配当金だけでなく、株価によっても大きく変わる。「高配当利回り銘柄ランキング」上位企業の中には、赤字決算の発表や業績不振などの理由で株価が一時的に暴落し、実績配当利回りが著しく高くなっているものがある。このような企業は、将来配当の中止や減額も想定されるため、株式の購入は見送ったほうがいいだろう。

長期的かつ安定的な配当の実施を前提にすると、米国株の高配当利回りの目安は7~8%程度と考えるべきだ。

第1位,オクシデンタル・ペトロリウム――石油、ガスの生産会社

テキサス州ヒューストンに本社がある、石油とガスの探鉱・生産会社。石油・ガス部門では原油や天然ガスなどを採掘しており、パイプラインも所有・運営する。化学品部門も有する。NYSE上場。

2019年12月期は、大幅な減益によって最終赤字となった。2020年3月には原油価格の急落を受けて、設備投資の縮小と2020年7月から四半期配当を86%引き下げることを発表した。

第2位,フォード・モーター――純利益の減少で株価下落

ミシガン州に本社を置く大手自動車メーカー。「フォード」と「リンカーン」という2大ブランドを擁し、世界的に展開している。乗用車とトラックの製造と販売を行う。NYSE上場。

2019年12月期は北米市場で販売台数が落ち込み、年金および労働協約改定費用が増加した。その結果、当期純利益は前年比98.7%減の4,700万米ドルに留まっている。

第3位,シュルンベルジェ――パリが本社の油田サービス会社

パリに本社を置く。石油と天然ガス開発に関わる技術やプロジェクト管理、ITサービスを世界中で展開している。NYSE上場。

2019年12月期は第4四半期の特損増加が響き、前期の好調な業績から一転して税引前利益、当期純利益ともに大幅な赤字に転落した。

第4位,アルトリア・グループ――たばことワインの製造を手掛ける

バージニア州に本社を置くたばことワインの製造持株会社。フィリップ・モリスUSAは米国で「マルボロ」などのたばこと無煙たばこを製造している。セント・ミシェル・ワイン・エステイトはワインの製造・販売を手掛けている。NYSE上場。

2019年12月期に、傘下の電子たばこメーカー「ジュール・ラブズ」株式の評価額を見直して評価損を計上、12億米ドルの赤字決算となった。米国では電子たばこの販売規制が強化されており、ジュールを抱えるアルトリア・グループの今後の懸念材料となっている。

第5位,ザ・ウィリアムズ――天然ガスが主力のエネルギー会社

本社はオクラホマ州。カナダで各種天然ガスを採掘し、生産、収集、精製、輸送してニューヨーク都市部をはじめ米国全土に販売するエネルギー会社。パイプラインも所有する。NYSE上場。

第6位,エクソン・モービル――石油メジャーの一角

エクソン・モービルは、事業地域を世界各地に広げる米国の大手総合石油・ガス会社。アップストリーム事業として世界各地で原油や天然ガスの探査、生産、精製を手掛けるとともに、ダウンストリーム事業として石油関連製品や石油化学製品を製造している。NYSE上場。

第7位,AT&T――ワーナーも有する通信業の大手

テキサス州ダラスに本社を置く通信業持株会社。携帯電話事業を中心に、米国内企業や個人に、市内・長距離携帯電話、ローミングサービス、インターネットサービスなどを提供している。

売上構成比の20%弱を占めるワーナー・メディア事業は、HBO、ターナー・ケーブルネットワーク、ワーナー・ブラザーズ・スタジオなどのメディア資産を有する。NYSE上場。

第8位,PPL――電力がメインの公共事業会社

ペンシルバニア州アレンタウンに本社を置く公益事業持株会社。米国北東部、北西部、南東部で発電と電力小売り、また天然ガスも供給している。英国でも電力供給事業を展開。NYSE上場。

第9位,フィリップ・モリス・インターナショナル――世界的たばこメーカー

ニューヨークに本社を置くたばこの製造・販売会社。「マルボロ」「フィリップ・モリス」「メリット」のような国際ブランドたばこの他、180ヵ国で地域ブランドたばこを展開する。NYSE上場。

第10位,クラフト・ハインツ――バフェット銘柄としても知られる

ペンシルバニア州ピッツバーグに本社を置く大手食品メーカー。米国やカナダで製造したチーズ加工品、ケチャップ、缶詰、飲料などのさまざまな加工食品を世界各地で販売している。NASDAQ上場。

4,米国株投資の有名な戦略「ダウの犬」とは?

米国株の特徴やランキングを見てきたが、ではどのようなポートフォリオを組めばよいのだろうか?その参考になるのが「Dogs of the Dow」(ダウの犬)と呼ばれる投資戦略だ。どのような戦略か、簡単にそのフローを示そう。

  1. NYダウ工業株30種平均株価を構成する30銘柄の中から、高配当の10銘柄に投資する
  2. 1年間購入した10銘柄を保有する
  3. 1年後にその時点で配当利回りが高い10銘柄と入れ替える

ダウの犬を構成する銘柄はいずれも、世界でも指折りの優良な超大型株である上に、比較的株価が割安であることが多い。最も注目すべきは、ダウの犬の平均配当利回りがNYダウの平均配当利回りを上回っていることだ。

「Dogs of the Dow」公式サイトの発表によると、2019年12月31日現在のダウの犬の平均配当利回りは3.90%、2020年5月5日現在では4.95%だ。一方、NYダウの全構成銘柄の平均利回りは前者が2.60%、後者が3.17%であり、どちらの基準日においても、ダウの犬の配当利回りのほうが高い。ダウの犬への投資は、効率的にリターンを得る手段だと考えていいだろう。

2019年12月31日を基準とした「2020年ダウの犬」は、以下の10銘柄である。

「2020年ダウの犬」10銘柄

ティッカー 会社名 実績配当
利回り1
株価1
(2019/12/31)
実績配当
利回り2
株価2
(2020/5/5)
DOW ダウ 5.12% 54.73米ドル 8.39% 33.37米ドル
XOM エクソン・
モービル
4.99% 69.78米ドル 7.65% 44.83米ドル
IBM IBM 4.83% 134.04米ドル 5.25% 122.58米ドル
VZ ベライゾン 4.01% 61.40米ドル 4.29% 56.51米ドル
CVX シェブロン 3.95% 120.51米ドル 5.12% 92.89米ドル
PFE ファイザー 3.88% 39.18米ドル 3.74% 38.51米ドル
MMM 3M 3.26% 176.42米ドル 3.91% 147.43米ドル
WBA ウォルグリーン・
ブーツ・
アライアンス
3.10% 58.96米ドル 4.27% 42.02米ドル
CSCO シスコ 2.94% 47.61米ドル 3.33% 41.46米ドル
KO コカ・コーラ 2.89% 55.35米ドル 3.52% 45.40米ドル
2020年ダウの犬10社平均 3.90%   4.95%  
ダウ平均 2.60%   3.17%  
※実績配当利回り算出のための1株あたり配当金総額は、2019年の配当金合計額

5,米国株は長期保有でリターンに期待できる

「株式会社は株主のもの」という意識が強い米国では、日本に比べて高配当利回り銘柄や連続増配銘柄が多く、年4回配当が主流だ。

経営基盤が安定し、安定的あるいは継続的な増配も見込める優良銘柄を、さまざまな基準で選りすぐって長期的に投資する。そうすることで、10年後、20年後には配当金暮らしが実現するかもしれない。

文・近藤真理(フリーライター)/MONEY TIMES

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