投資信託で資産運用を始める人が増えている。投資信託は初心者でも始めやすく、多くの金融機関で販売されている運用商品だ。今回は、新たに投資を始めたいと考えている人に向けて、投資信託の基礎情報から実際の始め方までを解説する。

そもそも投資信託とはどのような金融商品なのか

投資信託
(画像=PIXTA)

投資信託は、多くの投資家から資金を集めて、まとまった資金で専門家が投資を行う金融商品だ。そして、運用結果が投資家に還元される仕組みになっている。

投資信託は元本保証がないものの、通常、預金に比べて大きなリターンを狙うことができる。また、投資信託は少額から投資ができるため、初心者でも始めやすいというメリットもある。

投資といえば、高度な知識が求められそうだが、投資信託の場合は豊富な知識や経験がなくとも始められる。実際の運用は投資家自身ではなく、運用会社の専門家が行うからだ。株式や債券の銘柄選びや売買のタイミングを含めて運用のプロに任せることができる。この意味でも、投資信託はこれから投資を始めようとする人たちに向いていると言えるだろう。

投資信託はどれくらいの人が始めている?

近年、投資信託で運用を始める人は増加傾向にある。実際に、どれくらいの人が投資信託で運用しているのだろうか。

・幅広い層に保有されている投資信託

一般財団法人投資信託協会が行った「2019年 投資信託に関するアンケート調査」は、調査対象全体の22.3%が投資信託を保有していると回答している。

投資信託での運用は富裕層だけではなく、幅広い層に選ばれている。同調査では、世帯年収が300~500万円の投資信託の保有率は21.7%となっており、これらの結果からも投資信託が一般的な運用方法の一つであることが分かる。

・若い世代を中心に増加傾向

投資信託を保有している人の比率は年々増加傾向にある点にも注目したい。特に若い世代の投資信託の保有比率の上昇が著しい。20代、30代の多くが資産運用の必要性を認識するようになり、投資信託を利用して資産運用を始めている。

・インターネットで簡単に始められる

一昔前は金融機関の店舗に行かなければ投資信託を購入できなかったが、今では投資信託の購入チャネルも豊富になってきた。多くの金融機関では、店舗に行かなくてもインターネットで投資信託の取引に必要な口座の開設手続きが可能だ。

投資信託の購入もスマートフォンなどで手軽にできる金融機関が増えてきている。このように、誰でも投資信託を購入しやすい環境も整いつつある。

では、実際に投資信託で投資を始めるには、どうすればよいのだろうか。

投資信託の始め方1:金融機関を選ぶ

投資信託を購入して資産運用を始めるには、まず投資信託を販売する金融機関(販売会社)を選ぶ必要がある。どのような金融機関を選べばよいだろうか。

・銀行で投資信託を始める

長年、投資信託の販売のほとんどを証券会社が担ってきた。しかし、1998年の規制緩和により銀行などでも投資信託が販売されるようになり、今では投資信託の約半分が証券会社以外で販売されている。それだけ、銀行で投資信託を購入することは当たり前のこととなった。

店舗で手続きする場合、銀行のほうが証券会社よりも敷居が低いと感じる人も多いだろう。日常的に利用する金融機関だからである。すでに取引している銀行で投資信託を扱っているなら、その銀行で投資信託を始めることもできるだろう。

・証券会社で投資信託を始める

多くの証券会社では投資信託を販売している。

証券会社は銀行のように預金は扱っていないが、債券や株式などさまざまな金融商品を扱っている金融機関だ。特に投資信託を始めた後に、ステップアップして自ら株式や債券(国債・社債)の取引をしたいと考えているなら証券会社を選ぶとよいだろう。

他の金融機関に比べて証券会社は、日常的に市場や相場に関する仕事をする専門家や営業員の在籍が多いという特徴もある。そのため、証券市場や景気先行きについて店舗などで相談したいのであれば、証券会社が適している部分もある。

・その他の金融機関でも

証券会社や銀行以外にも一部の保険会社が投資信託の販売をしている。また、投資信託の運用を担う運用会社が直接販売している場合もある。

・金融機関選びのポイント

金融機関により、扱う投資信託の種類も数もさまざまだ。まずは、自分が購入したい投資信託がその金融機関で購入できるかが重要となる。

また、取引チャネルに何を使うのかも金融機関選びでは大切だ。対面などでじっくり相談して取引したいのであれば、店舗や電話で取引ができる金融機関を選ぶ必要があるだろう。

一方、自身で調査したり、オンラインで各種手続きをしたりすることに慣れているのであれば、インターネットで取引ができる金融機関を選ぶべきだろう。インターネット取引のほうが、電話や店頭での取引よりも手数料が安い傾向にある。

投資信託の始め方2:取引口座を開設する

利用する金融機関を選んだら、次のステップは投資信託を取引するための口座開設だ。

・金融機関に口座が必要

投資信託を取引するためには、その金融機関で口座を開設しなければならない。

たとえ、すでに取引がある銀行などで預金口座などがあったとしても、投資信託のための口座は別途開設する必要がある。

・口座開設に必要なもの

投資信託を取引するための口座を開設するには、おおむね以下のものが必要となる。ただし、近年、印鑑を不要とする金融機関も増えている。

・マイナンバー(個人番号)の確認書類
・本人確認書類
・印鑑

手続き方法は金融機関によって異なる。開設申込書への記入が必要な場合もあれば、オンラインで開設処理が完結する金融機関もある。

・マイナンバーの準備が必須

銀行口座と大きく異なるのは、マイナンバーの提出が必要となることだ。

銀行の預金口座を開設する場合は、マイナンバーがなくとも手続きできる。しかし、投資信託の取引口座は、マイナンバーを提出できない場合は、口座の開設を原則受け付けていない。事前に、「マイナンバーカード」や「個人番号の表示された住民票の写し」を準備しておくとよいだろう。

投資信託の始め方3:投資信託を選んで購入する

口座開設が完了し、その金融機関に投資信託の購入資金を入金すれば、投資信託を購入できる。

・購入する投資信託を選ぶ

口座開設をした金融機関の投資信託のラインナップの中から、購入するものを選び出す。

投資信託にはそれぞれ目論見書が用意されている。目論見書にはその投資信託に関する重要な情報が記載されており、投資信託の特色や目的、実績、手数料などを知ることができる。投資家向けに交付される「交付目論見書」をよく確認して投資信託を比較検討する必要がある。

数百本の投資信託を扱っている金融機関もあるが、よく調査比較したうえで、自身のニーズに合った投資信託を選ぶとよいだろう。

・投資信託を購入する

投資信託を購入するには、その金融機関に購入代金が用意されている必要がある。

銀行では、預金口座の残高が投資信託の購入代金に充てられるのが一般的だ。証券会社の場合は、連携先の銀行から自動的に購入代金が引き落とされるケースや事前に購入代金を証券会社に入金して預けておくケースなどさまざまだ。事前に金融機関で確認しておきたい。

購入資金が用意できたなら、インターネットや電話、店頭で投資信託の購入注文ができる。投資信託の価格(基準価額)は、日々変わっていく。どのタイミングで注文を出して購入するかは後の損益に影響してくるので、よく検討するべきだろう。

・購入後は取引報告書を確認

投資信託を購入しても、預金でいうところの預金証書のようなものは発行されない。しかし、取引が成立すると「取引報告書」が投資家に交付される。取引報告書には投資信託の名称、取引数量、単価、約定金額、手数料、消費税などが記載されているので、しっかり確認しておこう。

投資信託で積立投資

任意のタイミングで投資信託を購入する以外に、積立投資という購入方法もある。

・積立投資のメリット

積立投資とは、定期的に一定額の投資信託を購入し続ける投資方法だ。例えば、毎月決まった時期に5000円の投資信託を購入するような買い方だ。

毎回、一定数ではなく、一定額を購入することがポイントで、価格が高いときには少なく購入し、価格が安いときにはたくさん購入することになる。細かい説明は割愛するが、このように購入することで全体として平均購入単価を抑える効果が期待できる。

また、積立投資は最初に設定すれば自動的に購入されていくので、購入のタイミングに悩まなくてもよいというメリットもある。

・多くの金融機関が積立投資に対応

現在、多くの金融機関が投資信託の積立投資に対応している。

積立投資をする場合、通常の購入よりも最低購入金額を引き下げて、さらに購入しやすくしている金融機関もある。毎月100円から積立投資が始められるインターネット証券もある。

・積立投資をする人が増えている

冒頭で紹介した調査によれば、投資信託を保有している人の42.4%は積立投資を利用していると回答している。20、30代に限ってみると60%以上が積立投資を実践している。

積立投資をしている人の比率は年々増える傾向にある。少額からコツコツと時間をかけて資産を形成する積立投資を始める人が増えていると言えるだろう。

税制優遇制度も投資信託を後押し

資産形成の重要性が認識されるようになり、インターネットが普及して手軽に取引できるようになったことで、投資信託を始める人が増えている。これらに加えて、税制優遇制度も投資信託の普及に大きな影響を与えている。

投資信託に関係する税制優遇制度にはさまざまなものがあるが、代表的なのは「NISA(少額投資非課税制度)」の積立投資版である「つみたてNISA」と「iDeCo(個人型確定拠出年金)」だ。どちらも一定条件のもとで、投資信託の積立投資での運用益などが非課税となる。

これらの税制優遇制度の利用も念頭に置いて、投資信託での資産運用を検討してほしい。