投資信託にはさまざまなタイプがあるが、その中でも代表的な分類の一つが「新興国型」と「先進国型」だ。どちらを選ぶかは、運用額やリスク許容額など本人の運用方針次第だが、選ぶ前にそれぞれの特徴を押さえておくことは最低限必要だろう。

新興国型と先進国型の違い

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(画像=PIXTA)

まず投資信託において、新興国型と先進国型の違いについて知っておこう。

新興国型とは?

新興国型は「エマージング諸国型」などとも言われ、高い経済成長が今後期待できる国々を対象とした投資信託だ。アジア諸国や中東諸国、中南米諸国などの政府が発行する債券や企業の株式などが投資対象となる。

具体的な国名としては、BRICsを形成するブラジル、ロシア、インド、中国のほか、東南アジアのタイやインドネシア、アフリカの南アフリカ共和国、中東のサウジアラビアなどが挙げられる。

投資信託によって対象国は異なり、それぞれの国の債券や株式にどれくらいの比率で投資しているかにも違いがある。

先進国型とは?

一方の先進国型は、北米やEU(欧州連合)諸国を対象としている。各国が発行する債券や企業の株式が投資対象となる点は新興国型と変わらない。

具体的な国名としては、北米のアメリカやカナダ、ヨーロッパのイギリスやドイツ、スイス、アジアの香港やシンガポール、オセアニアではオーストラリアやニュージーランドなどが挙げられる。

新興国型と同様に投資信託によって対象国や投資比率は異なり、ファンドによってはアメリカが70%、ほかの国々で30%というようなアメリカ重視型の投資信託もある。

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新興国型のメリットとデメリット

新興国型の特徴を一言で言うとすれば「ハイリスク・ハイリターン」だ。なぜハイリスク・ハイリターンであるのか、「ハイリターン」というメリットと「ハイリスク」というデメリットについてそれぞれ考えていこう。

新興国型のメリット:経済発展、内需の増加に期待

新興国型の対象となる国々の多くが、これからの経済発展を期待されている。インフラを整えるためなどの投資が盛んに行われれば、経済は活発化する。賃金が先進国より安いことで製造業企業の進出が進むことなども期待される。

多くの新興国において、若年層の比率が高いことも特徴だ。若年層が多いということは、豊富な労働力を有することを意味している。また、若年層が多ければ、今後の人口や内需の増加も期待できる。

こうした強みを背景に新興国が高度経済成長を果たせば、その国の債券や企業の株式の価値は高まっていくことが期待される。そのため新興国型の投資信託は「ハイリターン」が期待できるわけだ。

新興国型のデメリット:政治リスクなど安定性には欠ける可能性も

一方で新興国型が「ハイリスク」といわれる理由だが、新興国の場合は政治的な安定性が先進国に比べて低いことが考えられる。政変やクーデターが起きれば、経済成長が減速するどころかマイナス成長に陥ってしまう可能性もある。

また、新興国の多くは先進国に比べて市場自体が小さく、株価などの変動が大きくなりがちだ。そのため、株価下落が一気に進むリスクもある。

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先進国型のメリットとデメリット

新興国型が「ハイリスク・ハイリターン」といわれる一方、先進国型は「ローリスク・ローリターン」とされる。新興国型と比較するとメリットは「ローリスク」であることだが、デメリットは「ローリターン」であると言えよう。

先進国型のメリット: 堅実な成長が期待できる

先進国の多くは、政治的に安定した状態が続いており、金融システムやルールも整備されている。時価総額で世界トップ100に名前を連ねるような企業も各国に多数存在しており、急激な経済成長は見込めないものの、堅実な伸びは中長期的に期待できる。こうした点が、先進国型が「ローリスク」といわれる理由だ。

先進国の代表格ともいわれるアメリカでは、先進技術を手掛けるスタートアップ企業への投資も盛んに行われており、現にユニコーン(時価総額が10億ドル以上の非上場企業)の上位にはアメリカ企業が多くランクインしている。こうした企業に重点的に投資する投資信託であれば「ハイリターン」も期待できる。

先進国型のデメリット: 新興国と比較すると伸びしろはそれほど期待できない

新興国型と比較すると、爆発的な成長が期待できないことは、先進国型のデメリットと言えるかもしれない。

労働力不足や高齢化などの社会課題に直面しているほか、インフラや企業の事業活動という視点からも新興国よりかなり成熟が進んでいる。簡単に言えば、成長の伸びしろが新興国より小さいということだ。

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それぞれの特徴を知ったうえで運用方針を立てよう

これまで解説してきたように、新興国型と先進国型の投資信託には、それぞれにメリットとデメリットがある。冒頭でも指摘したように、どちらを選ぶかは運用方針次第なので、絶対的な正解はないと言える。

そのため、投資信託を選ぶ際には、メリットとデメリットを十分に理解したうえで自分の指向に合った投資信託を選ぶ必要があるだろう。