世界中で大きな影響を与えた新型コロナウイルス。未知のウイルスの感染拡大は、私たちの健康はおろか、経済にも深刻なダメージを与えた。5月末現在、日本を含めた各国で、新型コロナの拡大は収束しつつあり、経済活動が徐々に再開されている。

明るい兆しが見えてきたこの状況下で私たちが気になるのが、「今後どのように資産形成をすべきか」。

その問いに対し、「やるべきことは普段と変わりません」ときっぱり答えるのが、15年間で27戸の不動産を購入し、今では早期リタイア生活を楽しむ村野博基氏(44)だ。村野氏自身、何か特別な環境にあったわけではなく、サラリーマン生活を20年間続けてきただけだという。そんな村野氏がどうやって27戸もの資産を築いてきたのか。

これまでの投資人生を振り返ってもらいながら、不動産投資に対する考え方と、コロナ・ショック下の投資はどう考えるべきか、質問した。(取材日:2020年5月11日)

目次

  1. 15年間で27戸購入は私たちでもできる
  2. コロナ・ショックでも「本当の投資」なら影響を受けない
  3. 投資の一歩目は「正しい心配をする」こと
  4. 「東京中古ワンルーム」は「レバレッジが掛けられる定期預金」
  5. 【感想をお聞かせください!】

15年間で27戸購入は私たちでもできる

日本財託オーナー様
(買い増すほど収入が増え、リスクも減っていくと語る村野氏)

―最初に現在お持ちの不動産と、運用状況をお教えください。

東京都内16区で中古ワンルームマンションを中心に27戸を所有しています。管理費と修繕積立金を差し引いた手取りの家賃収入が年間約2400万円で、そこからローンの返済や管理費などで約1800万円を支払っています。ローンの残高は住宅ローンも合わせて2億円弱ほど。手元に残るのは月約50万円ですね。

2004年から不動産投資を始めて、2019年で27戸を購入しました。リーマンショックで2009~2012年の間は購入していませんでしたが、それ以外は毎年1~4戸の物件を購入してきました。

―15年間で27戸はすごい数ですね。

ありがとうございます。よくそのように言われるのですが、こつこつと少しずつ購入し続けていたら結果的にこんな数になっていました。しかし、不動産投資は借り入れが活用できるので、時間をかければやろうと思えばできますよ。

おそらく皆さんそこまで増やさないのは「不動産危ないな、怖いな」「ほかの投資方法があるんじゃないか」という気持ちがあるからだと思うんです。そのため、不動産投資を始めて1戸買ってそのまま、という方が多いのではないでしょうか。

所有物件が1戸だけだと、借入があれば空室になると持ち出しとなりますし、手元に残る金額も少ないので選択肢もあまり無いかと思います。しかし、2、3戸と買い増ししていくと、収入も増えますし、たとえ1戸が空室であってもカバーできるようになります。そうすることで、収益の安定感が増し幸せだと感じられるようになると思います。

例えば、自己資金10万円で、フルローンで物件を購入して2万円手元に残ったら、20%の利益が出ますが、空室となると逆にローンの支払い分だけマイナスになります。ですが、2、3戸と買い増ししていけばいくほど、プラスかマイナスの2択ではなくなり、収入が増え、リスクも減っていくのです。

―不動産を購入するとなると、どうしても借金に目がいってしまいます。

不動産は「堅い」投資だと思っているので、考え方としては定期預金や債券に似ているように感じています。定期預金や債券はより多く資金を投入したほうが、多くの利息をもらえるのと同じで、不動産もたくさん所有していれば多くの家賃が入ってきます。

しかし、私たち個人の力では投資に回せるお金に限界があります。そこで、借入をするのです。借入をすることによって金利がかかる分、手元に残る額は減ってしまいますが、それでも借りて運用した収入のほうが多ければ利益は多くなります。

借金にも2種類あって、借りたお金をそのまま消費してしまうこと、これは悪い借金です。しかし、借りたお金を投資して別のものに変えているのであれば、借金が増えた分はバランスシート上でみると資産にもなっているんですよね。結局は借金の使い方をどうするか次第だと思います。

―ローンで購入するとしても、融資額には限度があります。それはどうクリアされたのですか。

私の場合は、不動産投資を始めてからそれなりに時間がたっているので、何もしていなくても家賃収入から毎月のローン支払いで借金が返せています。しかし、不動産会社の提携ローンを使用した場合、普通のサラリーマンの年収だけでは5、6戸程度が限界かなと思います。

ですが、日本政策金融公庫(以下、公庫)などで利用できる「根抵当権」を設定すれば与信枠はどんどん空いていきますし、どこかのタイミングで借り換えをすれば、今まで返済していた分の枠を活用することもできます。

銀行は区分の物件だと担保として認めないという話も聞きますが、これも交渉次第です。例えば一棟で20部屋持っているより、区分で20部屋持っている方が、分散しているのでリスクは少ないですよね。このように事業としてどちらが低リスクかを説明すると、銀行の担当者も分かってくれるケースもあるのです。

―では私たちのような普通のサラリーマンでも15年間で27戸所有することは可能だということですか。

時間さえかければできると思います。そもそも私自身、難しいことは何もしていないんですよ。15年間こつこつと買い続けているだけです。本来、普通のサラリーマンでも1年に1戸ずつであれば買えないわけは無いと思うのです。

最初は提携ローンで不動産を購入すると思いますが、できれば与信枠が限度いっぱいになる前に、銀行や公庫などに行くことをおすすめします。借金は同時に資産であること、家賃収入で借金は減っているということを理解し、どうすれば継続して不動産投資ができるかを考えながら進めていければいいのではないでしょうか。なぜ不動産投資を始めたのかを自分自身に問い直すことが大事なのではないかと思います。

コロナ・ショックでも「本当の投資」なら影響を受けない

日本財託オーナー様
(コロナ・ショック後も投資へのスタンスは変わらないという)

―新型コロナウイルスで状況が変化する中で、私たちが資産を築くにはどうすればよいのでしょうか。

いろいろな考え方はありますが、まずは「投機」と「投資」を分けて理解することが大事だと思います。投機はその時々の経済状況による変動をみて、その都度勝負すること、投資は資産として購入し、積み上げていくものです。

結局、コロナで影響を受けているのは、タイミングを見計らって行う「投機」なんですよね。私は購入した不動産を売却することは考えておらず、投機ではなく「投資」として行っています。投資としての不動産は今回の「コロナ・ショック」のような経済危機があろうがなかろうが、売却するわけではないため物件価格は気にしませんし、家賃自体には変動はほとんどありませんので、基本的に影響を受けません。

私は、不動産は国債などの債券と同じようなものだと考えています。例えば、ある10年債を100の値段で買うとします。もちろん、購入後の10年間で、100だった価格が95に下がったり、逆に105に上がったりして価格は変わります。

しかし、購入時に10年後いくら受け取れるかはあらかじめ決まっているので、満期となったとき、購入した価格100と、利息分は確実に受け取れるのです。私は物件を売る気がないので、「満期が100年後ぐらいの『私がいない世界』に設定された債券」だと思って購入しています。そのため、物件がいくらで、家賃の利回りが何%になるかを計算した上で購入すれば、あとはその通りの利益を受け取るだけなのです。

売却を前提で購入するようなキャピタル・ゲインを狙う方は、その利ざやで利益を上げる形になります。タイミングを見計らい安く購入し、高く売る。つまりタイミングを見る「投機」なんですね。なので「値段が下がるかもしれない」「今が買い時だ」などと考える方にとってはコロナによる影響はあると思いますが、私は「投資」としてやっているので、本質的には影響はなくて、物件の値段が下がると「利回りの良い商品が出てくるから良かった」くらいの気持ちです。

―確かに、村野さんがおっしゃる意味での「投資」であれば経済危機に左右されず安定した利益を見込めます。

その通りです。もしコロナ・ショックで不動産の価格が下がったとしても、私は10戸一気に買うというようなことはしません。例年と同様、今年も数戸を購入しようと考えています。要するに、コロナ・ショックであろうがなかろうが、やることは普段と変わらないということです。市場によって左右されるということがない、というのが結局は「本当の投資」だと思います。

株でも不動産でも、価格が上がるか下がるかは誰にも分かりません。分からないものに悩むよりも、どちらでも良いような状態を作ったほうが合理的だと思うのです。私はあくまでも、入り口のタイミングで儲けを狙うのではなく、その先の運用を通して時間をかけて利益を見込むことに注力しています。

―なるほど。ではコロナ・ショックがあろうがなかろうが、今後も淡々と物件を買い続けるということですか。

そうですね。「東京中古ワンルーム」投資以上に手堅く、利回りが良い商品がない限りは、今後もこつこつと買い増ししていきます。例えば、もし定期預金の金利が10%になるなど、他にもっと良い商品があれば、今まで購入した不動産はそのまま所有しつつ、そちらにシフトしていくと思います。

私は不動産投資一本で勝負するいわゆる「不動産投資のプロ」ではないので、一投資家としてその時々に最も良いものを選ぶことができるのが強みだと思っています。

―手取りの収益がこれ以上下がったら物件購入をやめよう、という基準はありますか。

借入の金利より家賃収入が下回ったら当然、買いません。収支がぎりぎりであっても、少しでも利益になる「損をしない」物件であれば、購入するのはありだと思っています。今は利回り5%程度で、金利は1%台で借りることができていますから、4%ほどは手元に残るんですよね。レバレッジがかけられることを前提としていますが、私としてはまだ、他の投資よりは良いのではないかと思っています。

投資の一歩目は「正しい心配をする」こと

―私たちが今後、投資に対して意識すべきことは何でしょうか。

まずはお金を遊ばせないことですね。そもそも経済はお金が動いていないと回らないのです。普通預金や国債を購入しても、お金はほとんど増えないじゃないですか。それはお金が動かないから低い利回りなんですよ。

おそらく投資に興味がない方は銀行口座に100万単位のお金があると安心だと感じると思いますが、私の場合は「何かに投資しなきゃ」と焦るんです(笑)。お金はどんなに働かせても文句はいいません。むしろ仲間を連れて戻ってきます。とにかくお金を遊ばせないこと、それが鉄則です。

あとは「正しく心配をしよう」ということです。不動産投資でよく皆さんが心配するのが、「地震が起きたらどうしよう」「火事が起こらないだろうか」などなんですね。もちろん地震が起こるのは困りますが、新耐震基準で建てられたワンルームが崩壊するレベルの地震が発生した時は、そもそも私も含め東京にいる人はほとんど生き残れないと思います。運よく逃れることができたとしても、東京が壊滅したら日本は終わりです。

それを心配して「日本円を持っていたら危ない」と考える人はいないでしょう。火事にしても、発生して多大な損害を受ける確率はほとんどありませんし、それほどの火事が起きた場合には保険金が支払われます。

リスクを回避するという考え方は大事なのですが、「杞憂」という言葉のもととなった故事のように、天が落ちてくるような心配をしても、落ちてきたときに対処しようがないし、そもそも落ちてくるのか、という部分もあるので、そんな心配はしてもしょうがないと思うのです。

―確かに、漠然とした不安に支配されて投資に踏み切れない方は多いと思います。

私たちが意識すべきことは、常に「正しく心配をする」ということです。例えば、借金をして物件を購入する場合、「こんなにたくさんの借金、返せなかったらどうしよう」と心配するのは間違った心配です。そうではなく、「空室になって借金が払えなくなる」ことを心配したほうが良くて、借金やその額が多いこと自体は関係なく、空室になることが本質的な問題なのです。

実は私も、サラリーマンを辞める時は心配したんです。私には妻と高校生、中学生の息子がいますので、漠然と給与がなくなると生活していけないんじゃないかと。しかし、今後の生活や教育にいくらお金がかかるのかをシミュレーションして計算してみたら十分大丈夫だと分かったんです。

つまり、何に対して心配するかを間違えないようにし、その心配を具体的にしていくことです。そしてその心配をクリアできるか許容できるようであれば、その投資はやっても良いのだと考えています。

「東京中古ワンルーム」は「レバレッジが掛けられる定期預金」

―村野さんの不動産投資の中心である「東京中古ワンルーム」についてはどうお考えですか。

世の中にあふれる投資方法から相対的にみて、現在一番手堅く、利回りが良い商品が東京中古ワンルームだと思っています。日本に住んでいるのであれば、これ以上手堅い投資はないと思います。

私にとっては不動産投資は先ほどお話したように「レバレッジが掛けられる定期預金」のようなものなんですよ。定期預金のようにある程度決まった利益が見込める手堅さをベースとして、借入をすることでレバレッジかけて利回りを上げていくという考え方です。株などのように短期間で一気に儲かることはありませんが、少しずつ安定して資産を増やしていくことができます。

―確かにその通りです。では数ある投資用不動産会社の中で、日本財託を選ばれた理由を教えてください。

日本財託は長く続く会社だと思ったからです。私自身、最初に不動産を購入しようと考えた2003年には、休日を利用して全部で計20社弱、不動産投資会社を訪ねました。当時は不動産の知識がないので、担当者にあれこれ質問していたのですが、その裏で何を考えていたかというと、「どうやってこの会社は儲かっているのか」ということでした。

会社が存続するためには当然、取引を通じて利益をあげる必要があります。しかし、それは私たちにしてみれば、利益分高く売られるわけで損している状態です。食料品などは生きていくために必要ですが、不動産投資はそうではありません。そう考えると、わざわざ必要のないものを損してまで購入するのが、なんだか悔しかったのです。

そこでどう考えたかというと、そのときは損はするけれども、長期にわたって面倒をみてもらえるなど、長い期間で回収できるだけのメリットがあればその「手間賃」を先払いするのだ、と発想を変えて自分を納得させたのです。ということは、長く続いてくれる会社じゃないと意味がないですよね。

このため、会社の「継続性」を意識して選んでいました。世の中には不動産投資会社は数多くありますが、売買のみを扱う会社だと、今回のような経済危機などで売り上げが落ち込むと倒産してしまいます。

そう考えたとき、日本財託は当時お会いした会社の中で唯一、管理費用を取って管理をしっかりと行うことを打ち出していたのです。この会社はもし経済危機で売買が止まり、不動産が売れなくなったとしても、管理での収入があるので継続ができるだろうと思いました。

―不動産は購入したら終わり、という商品ではないですものね。

不動産投資会社は私たち投資家が大きくなっていくためのパートナーであってほしいのです。日本財託さんにも不動産投資会社ではなく、「自分たちは『投資家を育てる会社』だ」と思ってほしいと考えます。会社としても、私たちが儲かり、お金が貯まるとまた購入し、管理戸数が増えますよね。つまりお互いウィンウィンの関係を築いていきたいのです。

不動産投資会社を選ぶ際は、投資で成功するように育ててもらえるかどうか見極めることが重要ですし、私たちはお客さんとして上から接するのではなく、対等なパートナーだと思って付き合うべきです。それが本当の意味での「投資」につながるのだと考えています。

村野博基氏
村野博基氏
2004年に不動産投資をスタート。今では27室の不動産を所有し、年間の手取り家賃収入は2,400万円に上る。

2019年まで大手通信会社に勤務していたが、44歳でアーリーリタイアを実現。 現在では不動産投資セミナーで講師としても活躍しており、サラリーマンとして働きながら、不動産経営で成功するために意識すべきことなどについて、自身の経験をもとに伝えている。

【感想をお聞かせください!】