執筆者:株式会社ZUU
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パラサイト,韓国映画
(画像=lucid-dream/stock.adobe.com)

2019年のカンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞し、第92回アカデミー賞でも作品賞を含む4冠に輝いたポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』。格差社会のリアルを活写したストーリーが世界的に大きな反響を呼びました。そこで今回、息苦しさや過酷な現実に立脚した“社会派”の韓国映画から傑作を4本、ピックアップしてみました!

『子猫をお願い』(2001年)

パラサイト,韓国映画
(画像=UpU編集部)

チョン・ジェウン監督の長編デビュー作となった『子猫をお願い』は、湾港都市・インチョンの商業高校を卒業した5人の女性たちの友情やすれ違いをみずみずしく切り取った青春映画です。封切り当初は商業的に苦戦したものの、映画評論家や女性たちの支持を受けて徐々に人気を伸ばし、国内外でさまざまな映画賞を受賞。2004年には日本でも公開され、多くの映画ファンを魅了しました。

上昇志向はあるものの高卒ゆえに同僚から軽んじられるヘジュ(イ・ヨウォン)、失業中でヘジュと折り合いが悪いジヨン(オク・ジヨン)、ふたりの仲違いに心を痛める夢想家のテヒ(ペ・ドゥナ)、露天商を営む陽気な双子の姉妹ピリュ(イ・ウンシル)とオンジョ(イ・ウンジュ)。仲良しだった5人組が、社会の厳しい現実にさらされながら、懸命に生きる道を模索していく姿が胸を打ちます。

男性中心主義的な社会風土の韓国で、キャリアのない女性たちが歩む人生は決して簡単なものではありません。ヘジュやテヒは折に触れて自尊心を傷つけられ、ジヨンにはさまざまな不幸が重なり経済的に困窮していきます。

いわゆる“韓国映画”のイメージとは異なる淡い感情表現や、切なさに満ちた飲み会のシーンから、現代の日本にも通じるフェミニズム的な課題を読みとることができるでしょう。

『テロ、ライブ』(2013年)

パラサイト,韓国映画
(画像=UpU編集部)

不祥事によってテレビの花形アナウンサーからラジオ局に飛ばされたアナウンサーのユン・ヨンファと、政府に恨みをもつ爆弾テロ犯とのやりとりをリアルタイム演出で描いたサスペンス映画『テロ、ライブ』。

観客動員数500万人を超える大ヒットとなった同作は、圧倒的なスピード感や娯楽作品としての完成度の高さに加えて、社会の歪みが物語のフックになっているのも特徴のひとつです。ハ・ジョンウ演じる主人公ヨンファらマスコミ関係者と政府の癒着や、テロ中継を断行する露骨な視聴率至上主義など、同作は過激な筋書きでメディアのあり方を批判しています。

イ・ミョンバク元大統領からパク・クネ前大統領にかけての保守政権下で、報道機関に対するさまざまな弾圧があったことが明らかになっている韓国。そんな“暗黒時代”に制作された『テロ、ライブ』は、エンターテイメントとしての痛快さと、社会派な一面を両立させたハイブリッドな映画だといえるのではないでしょうか。

『哭声/コクソン』(2016年)

パラサイト,韓国映画
(画像=UpU編集部)

2008年の『チェイサー』で鮮烈な監督デビューを果たし、次代の韓国映画を引っ張る名匠と目されているナ・ホンジン。そんな彼が日本の名優・國村隼を助演に迎えた異色のスリラーが『哭声/コクソン』です。國村は同作の怪演が高く評価され、韓国最大級の映画賞である青龍映画賞で男優助演賞と人気スター賞のダブル受賞を果たしました。

なんの変哲もない谷城(コクソン)という村で立て続けに起こった凄惨な殺人事件。村人たちは、近くの山中に暮らす謎の日本人(國村)が事件に関わっているのでは、と考えるようになります。やがて警察官のジョング(クァク・ドウォン)らの間で、謎の日本人を排斥しようという機運が高まっていき……。

『哭声/コクソン』に描かれているのは、単に閉鎖的な村社会でのオカルティックな事件の顛末ではありません。噂話(デマゴーグ)の拡散や疑心暗鬼による排他感情といったモチーフは、SNS時代を生きる私たちにこそアクチュアルなものであるはず。寓話的な形をとっていますが、同作もまた“社会派”といっていいテーマをしっかりと内包しています。

『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017年)

パラサイト,韓国映画
(画像=UpU編集部)

韓国の現代史に残る悲劇・光州事件。1980年の5月、民主化を求める学生らの蜂起を戒厳軍が弾圧し、多数の市民が命を落としました。『パラサイト 半地下の家族』でもおなじみのソン・ガンホが主演した『タクシー運転手 約束は海を超えて』は、この事件の真実を伝えるべく現場に赴いたドイツ人ジャーナリストと、彼と行動を共にしたあるタクシー運転手の物語が、実話をベースに描かれています。

韓国の人々にとっていまだ生々しい記憶として残る光州事件を題材にした『タクシー運転手 約束は海を超えて』は、1,200万人を超える観客を動員し、興行的にも大成功を収めました。この数字ひとつとっても、同国ならではの政治意識の高さや、映画文化の成熟を感じずにはいられません。

耽美的な作風でも“実は社会派”な韓国映画

韓国映画をつぶさに観察していくと、苛烈な暴力や貧困が描かれたヤン・イクチュン監督の『息もできない』(2008年)、日本統治時代の朝鮮を舞台にしたパク・チャヌク監督の『お嬢さん』(2016年)、村上春樹の短編『納屋を焼く』を大胆にアレンジしたイ・チャンドン監督の『バーニング 劇場版』(2018年)など、残酷で刹那的、耽美的な印象の作品にも、じつはしっかりと歴史や社会状況が反映されていることがわかります。

日本でも政権批判のニュアンスが込められた『新聞記者』(2019年)が話題になるなど、映画をめぐる環境が変化しつつある昨今。社会の成員としての教養を深め、物事をより多角的にとらえるためにも、シリアスなテーマを扱った作品もしっかりとチェックしていきたいところです。(提供:20代、最高の自己投資メディア UpU

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