競売不動産
(画像=dokurose/Shutterstock.com)

通達に基づいて行われた相続不動産の評価を国税局が受け入れず、新たな鑑定額で更正処分が行われた事案に対し、東京地裁は国税局を支持する判決を出した。

そこでの国税庁の主張や東京地裁の判決が意味するものとは何か、また、今後の相続対策や不動産評価を考えるうえでそこから何を学ぶべきかについて解説する。

事案の概要

令和元年8月27日、東京地方裁判所から一つの判決が出された。

その事案の概要は以下のとおりだ。

①被相続人は、90〜91歳で賃貸用不動産を2件(いずれも賃貸用共同住宅の土地建物。以下、甲不動産と乙不動産という)、購入した。

②相続人は5名おり、そのうちの1名がこの2件の賃貸用不動産を相続した。

③購入価格は、甲不動産が8億3700万円、乙不動産が5億5000万円。

④通達に基づく評価をすると、甲不動産が約2億円、乙不動産が約1億3300万円。

⑤相続人は、この通達に基づく評価額で相続税を申告した。

⑥ところが札幌国税局長は、通達による評価を受け入れず、鑑定を行った。鑑定評価額は、甲不動産が7億5400万円、乙不動産が5億1900万円。

⑦札幌国税局は、この鑑定評価額に基づく評価額で更正処分を行った(納税の命令)。

⑧相続人としては、不動産をきちんと通達に従って計算したうえで相続税額を計算したのに、それを否定するなど納得できない!ということで、この更正処分に不服申し立てを行った。

財産評価通達における評価の原則と評価通達6